おはようございます!
週に1回は指の爪を切る塗山です!
常に清潔な指でいたいですからね。
今回のテーマは、
人工膝関節置換術と血流障害についてです。
今回は人工膝関節の合併症の話ですよ!
合併症!?嫌な言葉ですね…
人工膝関節置換術と血流障害: 術後のリスクとその管理
こんにちは、整形外科医の塗山正宏です。
今回は「人工膝関節置換術と血流障害」をテーマに、手術後の血流障害のリスク、原因、そしてその予防と対策についてお話しします。
人工膝関節置換術は、主に変形性膝関節症による膝の痛みや機能障害を改善するための有効な手術ですが、術後に発生する可能性のある血流障害についても理解しておくことが重要です。
人工膝関節置換術とは?
人工膝関節置換術(TKA: Total Knee Arthroplasty)は、膝関節の損傷した部分を人工関節に置き換える手術です。
主に変形性膝関節症や関節リウマチ、外傷後の変形性膝関節症などで膝の痛みや機能障害が進行した患者さんに対して行われます。
手術は、損傷した軟骨と骨の一部を取り除き、その部分に金属やポリエチレン製の人工関節を装着します。
これにより、膝関節の痛みの軽減と膝関節の可動域の回復が期待されます。
血流障害とは?
血流障害は、血液の循環が正常に行われない状態を指します。
人工膝関節置換術の術後においては、血栓(血液の塊)が血管内に形成され、血流を妨げることで、血流障害が生じるリスクがあります。
最も一般的な血流障害には以下のものがあります。
- 深部静脈血栓症(DVT: Deep Vein Thrombosis): 主に下肢の深部静脈に血栓が形成され、血流を阻害する状態です。症状としては、足やふくらはぎの腫れ、痛み、発赤が見られます。
- 肺塞栓症(PE: Pulmonary Embolism): 深部静脈で形成された血栓が血流に乗って肺に移動し、肺の血管を塞ぐ状態です。これは命に関わる危険な状態であり、呼吸困難や胸痛、急な息切れが症状として現れます。
人工膝関節置換術と血流障害のリスク
人工膝関節置換術後の血流障害は、いくつかの要因によってリスクが高まります。
- 術後の安静期間: 手術後は一時的に安静が必要ですが、この期間に長時間動かないことで血流が滞りやすくなり、血栓が形成されるリスクが高まります。
- 既往歴: 過去に血栓症を経験している患者や、心血管疾患の既往がある場合、血流障害のリスクが増加します。
- 肥満: 体重が過剰であると、静脈に圧力がかかり、血栓が形成されやすくなります。
- 年齢: 高齢者は血流障害のリスクが高く、特に人工膝関節置換術を受ける年齢層では注意が必要です。
血流障害の予防と対策
術後の血流障害を予防するためには、いくつかの対策が重要です。
1. 術後早期のリハビリテーション
術後早期にリハビリテーションを開始することが、血流障害の予防に非常に有効です。
リハビリテーションの初期段階では、以下のような活動が推奨されます。
- 足の運動: 術後すぐに可能な範囲で足首やつま先を動かす運動を行い、血液の流れを促進します。
- 歩行訓練: 理学療法士の指導のもとで、歩行訓練を開始します。これにより、下肢の血流が改善され、血栓形成のリスクが減少します。
2. 薬物療法
血流障害の予防には、抗凝固薬(血を固まりにくくする薬)の使用が効果的です。
以下の薬がよく使用されます。
- リクシアナ: 血栓を予防するために、手術後から短期間(約2週間程度)使用されることが多いです。
3. 圧迫療法
術後の血流障害予防には、圧迫療法も有効です。
- 弾性ストッキング: 下肢を圧迫することで、血流を促進し、血栓形成を防ぎます。
- 断続的空気圧迫装置(IPC): 定期的に圧迫と解放を繰り返す装置で、下肢の血流を促進します。
4. ライフスタイルの改善
術後の血流障害を予防するためには、生活習慣の改善も大切です。
- 禁煙: 喫煙は血管を収縮させ、血流を悪化させるため、禁煙が推奨されます。
- 適度な運動: 退院後も継続的に適度な運動を行い、血流を促進することが重要です。ウォーキングや軽いストレッチが効果的です。
まとめ
人工膝関節置換術は、膝の痛みを軽減し、生活の質を向上させる効果的な手術です。
しかし、術後の血流障害には十分な注意が必要です。
適切な予防策を講じることで、血流障害のリスクを最小限に抑え、安心して術後の回復を迎えることができます。
術後のケアや血流障害に関する具体的な疑問がある場合は、とやまに相談してみてください。
皆さんが安心して回復できるよう、最善のサポートを提供いたします。
合併症には最大限注意していきましょう!
以上、塗山が現場からお伝え致しました。
では、さらば~!
人工膝関節置換術の血流障害には気をつけましょう!!
「たま~や~~!!」
来世は花火師になるかもしれない整形外科医の塗山正宏でした!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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