変形性股関節症

変形性股関節症

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変形性股関節症

変形性股関節症は股関節が痛くなる代表的な病気です。変形性股関節症の主な症状は、股関節の痛み機能障害です。股関節は鼠径部(脚の付け根)にあるので、最初は立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。

日本全国には300~400万人くらいいると言われています。

原因としては、子供の頃の発育性股関節形成不全の後遺症や、股関節が浅い寛骨臼形成不全などが多いですが、加齢により股関節の軟骨がすり減ってしまうことが原因になることもあります。

変形性股関節症は、なかなか症状が出てこないことがあり、股関節以外に症状が出る患者さんもたくさんいます。

股関節症の一般的な症状は股関節の痛み、股関節の動きの制限が出てきます。

変形性股関節症の初期には太もも、お尻、膝などに痛みや違和感、だるさなどが現れるため、股関節の病気からおきているものだと気づかないことも多いようです。

坐骨神経痛と思われていたお尻の痛みが、変形性股関節症による痛みの場合もあります。

また、股関節症の発症や進行の危険因子としては、高齢、肥満、股関節痛、股関節屈曲制限、寛骨臼形成不全などがあります。これらの危険因子に注意することも重要です。

変形性股関節症には様々な治療方法がありますが、まず日常生活指導、運動療法、薬物治療などの保存療法を行います。しかし、股関節症の状態によっては早期に手術が必要になる場合があります。主な手術方法としては骨切り術人工股関節全置換術を行います。

正常な股関節
変形性股関節症

変形性股関節症の原因

変形性股関節症になる原因としては一次性二次性があります。

それぞれ説明してみましょう。

一次性変形性股関節症

股関節の形態に明らかな異常がないにもかかわらず肥満、加齢、重労働、激しいスポーツなどの継続した負荷によって股関節の軟骨がすり減ってしまうタイプです。

二次性変形性股関節症

何かしらの原因があり発症する変形性股関節症のタイプです。

代表的な二次性変形性股関節症は、生まれつき股関節の形態に異常があり、歳を重ねるつれて徐々に軟骨がすり減っていく原因が寛骨臼形成不全(臼蓋形成不全)になります。


二次性変形性股関節症には寛骨臼形成不全以外にも様々な原因があります。

具体的には、

二次性変形性股関節症の原因

・寛骨臼形成不全(臼蓋形成不全)
・小児期の股関節疾患(ペルテス病、大腿骨頭すべり症)
・関節リウマチなどの炎症性疾患
・特発性大腿骨頭壊死
・内分泌・代謝性疾患(先端巨大症や副甲状腺機能亢進症)
・外傷性(股関節脱臼や股関節周囲骨折)
・感染性疾患(結核や骨髄炎など)
・腫瘍性疾患(滑膜性骨軟骨腫症や色素性柔毛結節性滑膜炎など)
・大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI:Femoroacetabular impingement)


など様々な原因があります。



二次性変形性股関節症の代表的な原因が寛骨臼形成不全(臼蓋形成不全)になります。

日本人の二次性変形性股関節症の約8割以上が、寛骨臼形成不全による二次性変形性股関節症です。

寛骨臼形成不全は、生まれつき大腿骨頭を覆う寛骨臼(臼蓋)の面積が狭くなっている状態です。

そのため、体重を支える面積が狭いことにより軟骨に集中的に負荷がかかるため、股関節の軟骨が早くすり減ってしまいます。

歳を重ねるつれて徐々に軟骨がすり減っていってしまいます。

寛骨臼形成不全は生まれつき大腿骨頭を覆う寛骨臼(臼蓋)の面積が狭くなっている状態です。

そのため、体重を支える面積が狭いことにより軟骨に集中的に負荷がかかるため股関節の軟骨が早くすり減ってしまいます。

寛骨臼形成不全があるようなら、早めに変形性股関節症にならないように予防していきましょう。

保存療法

股関節に無理な負担をかけないことがとても大切です。

床にすわる、布団に寝るなどの和式生活よりも、ベッド・椅子・洋式トイレなどを使用する洋式生活が望ましく、股関節に負担がかかる激しい運動、重労働、長時間の立位、正座などはなるべく避けるようにしてください。

靴は、ハイヒールや、底の硬いサンダルは避け、なるべくクッション性があるスニーカーを履くようにして下さい。

体重管理は非常に重要です。体重が重ければ重いほど、それだけ股関節にかかる負担が増えて、股関節の痛みが悪化する場合があります。適正な体重を保つようすることが大切です。

歩くときに痛みが出る場合には、杖を使用することで股関節にかかる負担を軽くすることができます。杖は痛い股関節と逆の手に持って使用します。右股関節が痛い場合には左手に持ち、左股関節が痛い場合には右手に持って、使用します。痛い足が地面に着く時に、杖を一緒につきます。

運動療法

運動療法は非常に大切です。

股関節周囲の筋肉のストレッチ、筋力トレーニングをすることで、変形性股関節症の進行を遅らせる効果があります。

筋力トレーニングやストレッチは短期間ではあまり効果はないので最低3か月以上は継続しましょう。

徐々に効果が期待できると思います。

ただし、やりすぎは禁物です。股関節症が悪化してしまう場合があります。無理のない範囲で行うようにしてください。

薬物療法

薬物療法も効果的です。

股関節の痛みが強い時は、消炎鎮痛剤で対処します。鎮痛目的で使われますが、消炎鎮痛薬はあくまで対症療法ですので、変形性股関節症が治るわけではありません。

股関節の痛みが強い時は、消炎鎮痛剤で対処します。ひとつ注意点としては、消炎鎮痛薬は鎮痛目的で使われますが、消炎鎮痛薬はあくまで対症療法ですので、変形性股関節症が治るわけではありません。

この点はよく覚えておいたほうが良いでしょう。

「痛み止めを飲んでも、変形性股関節症が治るわけではない。」

これ重要なポイントです。

鎮痛剤には色々な種類があります。

鎮痛薬

・アセトアミノフェン(カロナールなど)

・NSAID(非ステロイド性抗炎症薬・・・ロキソニン、セレコックスなど)

・プレガバリン(リリカ、タリージェなど)

・トラマドール塩酸塩(トラムセット、トラマドールなど)

・デュロキセチン(サインバルタ)

・ノイロトロピン

など色々な鎮痛薬があります。

また、皆さんが割と好きな湿布では、

湿布

・ロコアテープ(NSAIDsとの併用注意)

・ロキソニンテープ、ロキソニンパップ

・モーラステープ

・セルタッチ

・ノルスパンテープ

などがあります。

内服薬は、関節の痛みが強い場合に一時的に飲むことはおススメしますが、漫然と長期的に内服することはおススメできません。

漫然と内服することにより、胃潰瘍腎機能障害、肝機能障害など様々な内科的合併症を引き起こすリスクがあるからです。

また、強い鎮痛薬を使い続けると、関節の痛みがないために、股関節の変形が知らず知らずのうちに進行してしまうリスクもあります。

薬物療法では薬を適切なタイミングで使用することがとても重要です。

手術療法

変形性股関節症では、保存療法を行っても股関節の痛みが軽減しない場合や、病状がかなり進行している場合などには手術を検討します。

手術を行うかどうかは、股関節痛の程度、日常生活の不便さ、年齢、仕事の内容など、さまざまな要素を総合的に考慮して決定します。

股関節痛のために日常生活でどれだけ支障をきたしているかということが、手術を決定するうえで最も重要な要素になります。

変形性股関節症の手術方法には、大きく分けて自分の関節を温存する関節温存手術(骨切り術)と関節を人工のものに変える人工股関節全置換術があります。


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【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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