おはようございます!
中学生時代から腰痛を感じ続けている気がする塗山です。
今回のテーマは、
変形性股関節症と腰痛についてです。

股関節と腰痛の関係について語りましょう。

腰痛は嫌だわね…
変形性股関節症で腰痛が起こる理由とは?
こんにちは!整形外科医の塗山正宏ですよ?
「変形性股関節症と診断されたけれど、腰も痛い…これは関係があるのか?」
実は、変形性股関節症と腰痛は密接に関係しており、股関節が原因で腰に負担がかかっているケースは少なくありません。
本記事では、
✅ 股関節と腰の解剖学的なつながり
✅ 腰痛が生じるメカニズム
✅ 治療のポイント
を中心に、エビデンスに基づいた整形外科医塗山正宏の視点から詳しく解説します。
🔎 変形性股関節症とは
変形性股関節症(Hip Osteoarthritis)は、股関節の軟骨がすり減って炎症や変形が起こり、痛みや動作制限を引き起こす疾患です。
主な原因:
- 寛骨臼形成不全(骨盤の形が浅い先天的要因)
- 加齢や肥満による軟骨の摩耗
- 過去の外傷や感染
症状:
- 足の付け根やお尻の痛み
- 股関節の可動域の低下
- 歩行困難や跛行(はこう)
- 長時間の立位や座位での違和感
🧠 なぜ腰痛が起こるのか?
① 股関節の動きが制限されることで腰椎に過剰な負荷がかかる
- 股関節の屈曲・内旋が制限されると、歩行や立ち座りのたびに骨盤や腰椎が過剰に動いて代償します。
- これにより、筋疲労や椎間関節のストレスが蓄積し、慢性腰痛につながることがあります。
📘 参考文献:Prather H et al. (2012). PM&R, 4(5 Suppl), S17–23.
股関節障害と腰痛の関連性は、整形外科的に広く認められている。
② 骨盤の傾きや姿勢の変化による影響
- 変形性股関節症により骨盤の前傾や後傾が強まると、腰椎の弯曲(前弯)にも影響し、腰痛を引き起こします。
③ “Hip-Spine Syndrome”の存在
- 股関節と腰椎が同時に変性する状態で、診断と治療の難易度が高くなります。
- 腰が痛いと思っていたら、実は主原因が股関節だったということもあります。
📘 Offierski CM & MacNab I. (1983). Spine, 8(3):316–321.
「Hip-Spine Syndrome」として、股関節と腰椎の病態を一体的にとらえる重要性を指摘。
🧪 腰痛を伴う股関節疾患の診断アプローチ
整形外科外来では、以下のような検査を組み合わせて評価します。
検査 | 内容 |
---|---|
関節可動域テスト | 股関節の内旋・屈曲制限の有無を確認 |
Thomasテスト、Patrickテスト | 股関節由来の痛みを誘発する |
腰椎MRI・レントゲン | 腰部疾患の鑑別(椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症) |
🛠️ 治療方法:腰だけでなく“股関節も治療対象”
保存療法(リハビリ・運動療法)
- 中殿筋、大腰筋などの股関節周囲筋の強化
- 体幹・骨盤の安定化トレーニング
- ストレッチと姿勢矯正
- 杖や足底板による荷重調整
関節注射・薬物療法
- NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)
- ヒアルロン酸注射
- 筋弛緩薬や末梢神経ブロック
手術療法(重度の場合)
- 人工股関節置換術によって、股関節のアライメントを改善し、結果的に腰痛が軽減される症例もあります。
📘 Shon WY et al. (2019). Clin Orthop Surg, 11(3):337–345.
THA後、腰痛の改善を示した症例報告が多数あり。
📝 まとめ
適切なリハビリや治療介入により、腰痛の軽減が期待できます。
変形性股関節症では、股関節だけでなく腰にも負担がかかるので注意が必要です。
股関節の可動域制限 → 骨盤の代償動作 → 腰椎の負荷 → 腰痛 という流れで股関節の変形から腰痛に影響を及ぼします。
というわけで、股関節の変形と腰痛は密接な関係があるということを理解していただけましたでしょうか?
慢性的な腰痛は股関節に原因があるかもしれませんので、気をつけてください!
では、また!
変形性股関節症と腰痛は密接な関係があるから要注意!

「わたし、にんじんですけど!?」
野菜は食べるようにしているけどにんじんはそんなに食べない派の整形外科医の塗山正宏でした!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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