おはようございます!
常に進化しようと前に出続けている塗山です。
今回のテーマは、
人工股関節置換術は何歳で受けるのがベスト?についてです。

何歳で手術を受けたらいいと思いますか?

わからんばい!
人工股関節置換術は何歳で受けるのがベスト?
1. 「早すぎる?遅すぎる?」に整形外科医が本音で答えます

人工股関節って、何歳で受けるのが一番いいんですか?
これは外来で、年齢を問わず必ず聞かれる質問です。
- 40代の方は
👉「まだ早いですよね…」 - 70代の方は
👉「もう遅いでしょうか…」
まず、結論からお伝えします。
2. 結論|人工股関節に「ベストな年齢」はありません
正確に言うと、

人工股関節を受ける“ベストな年齢”は存在しません。
ベストなのは「その人の人生にとって最適なタイミング」です。
年齢だけで手術を決めることは、医学的にも、人生設計的にも正しくありません。
3. それでも年齢が気になる理由
患者さんが年齢を気にする理由は、ほぼこの3つです。
- 人工股関節の寿命
- 再手術になる可能性
- 体力・回復力
それぞれ、正直に整理します。
① 若いと人工股関節は「もたない」のか?
答えは NO です。
近年の文献では、
- 20年生存率:約90%
- 25〜30年もつ症例も多数
であることが示されています(Lancet 2019)。
確かに、
- 40代で手術 → 使用年数は長くなる
- =再置換の可能性は高くなる
これは事実です。
ただし重要なのは、

「再手術の可能性」より
「痛みを我慢する年数」のほうが、人生に与える影響は大きいです。
という点です。
② 「もう少し我慢」は本当に得策か?
外来で、私はこう感じることがあります。

もう5年早ければ、
この患者さんはもっと楽に動けたはず…
痛みを我慢し続けると、
- 歩行能力の低下
- 筋力低下
- 腰・膝への二次障害
- 外出機会の減少
が、静かに進行します。
人工股関節は
👉 “痛みが限界になってから受ける手術”ではありません。
③ 高齢だと遅すぎる?
これも、よくある誤解です。
結論から言うと、

80代でも90代でも体力さえあれば人工股関節の手術は可能です。
重要なのは年齢ではなく、
- 心臓・肺など全身状態
- 認知機能
- 術後リハビリができるか
です。
実際、70代・80代の患者さんで手術後に「もっと早く手術を受ければよかった」とおっしゃる方は、非常に多いです。
4. 年代別|人工股関節を考えるポイント
▶ 40代〜50代
- 仕事・子育て・趣味の中心世代
- 活動量を取り戻す価値が大きい
- 将来の再手術も「想定内」として考える
👉 「人生を止めないための手術」
▶ 60代
- 最も多い手術年代
- 体力・回復力・寿命のバランスが良い
👉 医学的に最も“安定したタイミング”
▶ 70代以降
- 痛み=生活の質を直撃
- 回復後の満足度が高い
👉 「残りの人生を楽にする手術」
5. 人工股関節を考える“本当の判断基準”
私は、患者さんにこう質問します。
- 痛みで、やめたことはありますか?
- 行きたい場所を、あきらめていませんか?
- 1年後も、今と同じ生活を続けたいですか?
これらにYESが多いほど、年齢に関係なく「手術を検討する価値」があります。
6. 参考文献
Judge A, et al.
Patient-reported outcomes after total hip replacement by age group.
Bone Joint J. 2014;96-B:1227–1234.
👉 高齢者でも術後満足度が高いことを示した研究
Evans JT, et al.
How long does a hip replacement last?
Lancet. 2019;393:647–654.
👉 人工股関節の20年・25年・30年生存率を示した最重要論文
Bayliss LE, et al.
The effect of patient age at intervention on risk of implant revision after total hip replacement.
Lancet. 2017;389:1424–1430.
👉 若年者と高齢者の再置換リスクを比較した大規模研究
Kurtz SM, et al.
Highly cross-linked polyethylene in total hip arthroplasty.
J Bone Joint Surg Am. 2011;93:144–151.
👉 材質進歩による摩耗低下を示した基礎文献
7. 整形外科医・塗山正宏の考え
私は、人工股関節をこう考えています。

手術は魔法ではありません。
でも、未来を変える道具にはなります。
人工股関節は、年齢を若返らせる装置ではありません。
人工股関節は「人生の“行動範囲”を広げる道具」なんです。
8. まとめ|人工股関節は何歳で受けるのがベスト?
- ❌ 年齢だけで決めるものではない
- ✅ 「痛み」と「人生の質」で考える
- ✅ 若すぎることも、遅すぎることもない
- ✅ 我慢しすぎないことが大切
人工股関節は、年齢を若返らせる手術ではありません。
でも、人工股関節は人生を前に進める力は、確実にあるでしょう。
やりたいことを諦めないでくださいね。
人生は1回しかないんですから…。
以上、参考になりましたでしょうか!?
では、塗山は筋トレに行ってきます。
人工股関節は人生の“行動範囲”を広げる道具です!

「どこでもドア!」
いつかどこでもドアで世界中に行きたい整形外科医の塗山正宏でした!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医


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