格言 Season180

格言 格言

― 人工関節治療における“本当のゴール”とは ―

整形外科医の塗山正宏です

外来で患者さんから、こんな言葉をよく聞きます。

えみこさん
えみこさん

先生、ちゃんと治りますか?

そのたびに私は、心の中でこう問い直します。

塗山先生
塗山先生

“治る”とは、いったい何を指しているのだろうか…

痛みが消えること?

レントゲンがきれいになること?

手術が無事に終わること?

もちろん、それらは大切です。

しかし私が考える医療の本当のゴールは、もう少し先にあります。


塗山先生
塗山先生

大事なのは治すことではなく、また動ける未来を一緒に作ることです。




■ 「治療=ゴール」ではない時代へ

変形性股関節症や変形性膝関節症に対する人工股関節置換術、人工膝関節置換術。

現代医療では、関節の痛みを取り除く技術は大きく進歩しました。

しかし、手術が終わった瞬間に、人生が自動的に良くなるわけではありません。

  • その後、どんな生活を送りたいのか
  • 何を「できるようになりたい」のか
  • どんな未来を描いているのか

そこまで考えてこそ、医療は完成します。


■ 未来は「一緒に」作るもの

医師ができることには限界があります。

  • 手術をする
  • 痛みを軽減する
  • 安全な回復の道筋を示す

しかし、歩くこと、動くこと、続けること は、患者さん自身の力です。

だからこそ、医療は「してあげるもの」ではなく、「一緒に作るもの」 だと考えています。

患者さんの目標を聞き、不安を共有し、立ち止まる日も含めて伴走する。

それが“未来を一緒に作る医療”です。


■ 動ける未来には、形があります

「動ける未来」と一言で言っても、人それぞれです。

  • 痛みなく散歩がしたい
  • 孫と手をつないで歩きたい
  • 旅行に行きたい
  • 山に登りたい
  • 仕事に戻りたい
  • 踊りたい
  • テニスをしたい

どれも正解で、どれも尊い目標です。

大切なのは、医師が決めたゴールではなく、患者さん自身が描いた未来 であること。


■ 手術は“通過点”にすぎない

人工関節手術は、人生を変える大きな出来事です。

しかしそれは、あくまで通過点

  • 手術前の準備
  • 術後のリハビリ
  • 日常生活への復帰
  • その先の人生

すべてがつながって、初めて意味を持ちます。

「治す」ことだけに目を向けると、その先の大切な時間を見失ってしまいます。


■ 最後に ― 医療の本質

医療は、結果を押し付けるものではありません。

未来を一方的に決めるものでもありません。

塗山先生
塗山先生

大事なのは治すことではなく、また動ける未来を一緒に作ることです。

その未来が、少しずつでも前に進むように。

医師として、そして同じ“人”として、これからも寄り添い続けたいと思います。

塗山は皆さんと共に歩んでいきますから。



【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

コメント

タイトルとURLをコピーしました