おはようございます!
今日もブログ作成に精を出す塗山です。
もう何本ブログを書いたことか…笑
今回のテーマは、
変形性膝関節症とステロイド関節症についてです。

ステロイド関節症って知ってますか?

それはなんですか!?
変形性膝関節症とステロイド関節症
ちゅわーっす!整形外科医の塗山正宏です!
今日は膝の話をたんまりしていきますよ~♪
変形性膝関節症は、高齢者を中心に多くみられる膝関節疾患であり、関節軟骨の摩耗や骨変形によって疼痛や可動域制限を引き起こします。
初期には保存療法が選択されることが多いですが、症状が進行すると手術療法が検討されます。
その中でも、保存療法の一環として行われるステロイド関節注射は、一時的な疼痛緩和に利用される有効な手段です。
しかし、長期使用や過剰投与が引き起こす「ステロイド関節症(Steroid Arthropathy)」には注意が必要です。
この記事では、変形性膝関節症におけるステロイド治療の効果とリスクについて、最新のエビデンスを基に整形外科医の塗山正宏が満面の笑顔で解説します。
1.ステロイド関節注射の効果
ステロイド関節注射は、強力な抗炎症作用を持ち、急性増悪期における疼痛コントロールに有効です。
特に滑膜炎が強い場合には、速やかに炎症を抑制し、関節機能を改善します(McAlindon et al., 2017)。
一般的にはトリアムシノロンやメチルプレドニゾロンが使用され、その効果は通常数週間持続します。
臨床試験においても、短期間の症状改善効果が示されています。
例えば、McAlindonらのメタアナリシスでは、ステロイド注射群で疼痛スコアが有意に改善したと報告されています。
しかし、その効果は一時的であり、長期的な関節機能改善には結びつかない点が課題です。
2.ステロイド関節症のリスク
一方で、ステロイド関節注射にはリスクも伴います。
頻回投与や長期使用は、軟骨の変性や骨壊死を引き起こし、かえって関節破壊を加速させる恐れがあります(Werner et al., 2020)。
また、感染リスクの増加や腱断裂などの合併症も報告されています。
特に、糖尿病の患者さんでは血糖値の上昇が懸念され、注意が必要です。
3.ステロイド注射と変形性膝関節症の進行リスク
近年の研究では、ステロイド注射が変形性膝関節症の進行を促進する可能性が指摘されています。
例えば、Wernerらの研究では、ステロイド注射を受けた患者群において、対照群と比較して軟骨体積の減少が顕著であったと報告されています。
また、軟骨の菲薄化や骨髄浮腫が進行し、関節破壊が加速するリスクが示唆されています。
このため、頻回投与や長期使用は慎重に検討すべきです。
4.ステロイド注射の適応と限界
適応症としては、急性滑膜炎や難治性疼痛があり、一時的な症状緩和には有効です。
しかし、慢性期や軟骨破壊が高度な場合には、他の保存療法(ヒアルロン酸注射やPRP療法)や手術療法を検討する必要があります。
患者さんごとの病態に合わせた個別化治療が重要であり、過度な依存は避けるべきです。
5.参考文献
・Werner BC, et al. (2020). The Impact of Intra-Articular Steroid Injections on Knee Osteoarthritis Progression. Orthop Clin North Am.
・McAlindon TE, et al. (2017). Intra-Articular Corticosteroid Injections in Osteoarthritis: A Meta-Analysis. JAMA.
6.まとめ
変形性膝関節症におけるステロイド関節注射は、急性期の疼痛緩和には効果的ですが、長期使用や頻回投与には注意が必要です。
最新のエビデンスを踏まえ、治療の選択は慎重に行うべきでしょう。
患者さんごとの状態を評価し、適切な治療計画を立てることが重要ですね。
というわけで、私自身はステロイド注射のリスクを考慮し、基本は関節内にステロイド注射は行っていません。
痛みは取れたけど、関節の破壊が進んでは困りますからね…汗。
というわけで、ステロイド関節症について参考になりましたでしょうか?
また、お会いしましょう!
ステロイド注射は短期には有効だが、長期的には副作用が発生する可能性があるので要注意!

「スカイダイビング!!」
いつかはスカイダイビングをしてみたいけど勇気が出ない整形外科医の塗山正宏でした!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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