できると思えばできる、できないと思えばできない。
これは、ゆるぎない絶対的な法則である。
ヘンリー・フォード
「できると思えばできる」―人工関節手術後のリハビリと“心の力”
こんにちは。整形外科医の塗山正宏です。
今回は、アメリカの実業家 ヘンリー・フォード(Henry Ford) の言葉を引用したいと思います。
できると思えばできる、できないと思えばできない。
これは、ゆるぎない絶対的な法則である。
自動車王フォードのこの言葉は、人工股関節・人工膝関節手術後のリハビリに取り組む患者さんにも、深く響くメッセージだと思います。
■ 「心」が動きを変える
人工関節手術を受けた患者さんの中には、「もう昔のようには歩けないのではないか」と不安を抱く方も多いです。
しかし、医学的にも「ポジティブな思考」は回復を促すことが示されています。
例えば、術後の心理状態が運動機能の回復に影響することを示した研究があります(Helminen EE et al., Disabil Rehabil, 2009)。
この研究では、前向きな心理状態を持つ患者ほど、筋力・歩行速度の回復が早い傾向があると報告されています。
つまり、「できる」と思うことが、実際の回復スピードを左右するのです。
■ 「できない」と決めつけない
リハビリの現場では、「もう歳だから」「手術したから無理だろう」と口にされる方がいます。
でも、私がこれまで診てきた多くの患者さんは、その“思い込みの壁”を超え、以前よりも活動的な生活を取り戻しています。
実際、人工股関節置換術(THA)後に登山やハイキングを再開できた症例も多く報告されています(Girard J et al., J Arthroplasty, 2013)。
「できる」と思って一歩を踏み出す勇気があれば、身体もそれに応えてくれるのです。
■ 自分を信じるリハビリ
リハビリは、「心のトレーニング」でもあります。
筋肉を鍛えるだけでなく、「自分には回復する力がある」と信じることが、継続の原動力になります。
ポイントは以下の3つです:
- 「昨日より今日、今日より明日」と少しずつ前進する
- 目標を小さく設定する(例:杖なしで5分歩く)
- できたことに目を向ける(「今日はここまでできた」と肯定する)
リハビリにおける「自己効力感(self-efficacy)」は、実際に回復スピードを高める要因として知られています(Lorig KR et al., Med Care, 1989)。
■ 結びに
ヘンリー・フォードのこの言葉、
「できると思えばできる、できないと思えばできない」は、単なる精神論ではありません。
科学的にも裏づけのある「心と身体の連動」を表しています。
人工関節手術後のリハビリは、長い道のりに感じるかもしれません。
しかし、「できる」という信念を持って取り組むことが、何よりの治療になります。
整形外科医として、私は患者さんにこう伝えたいです。

手術で関節を変えたら、次は“心”を変えていきましょう。
その変化が、真の回復を引き寄せるのです。
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医


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