手術はスタートライン。進む力は、あなたの一歩がつくる。By塗山正宏
― 人工関節手術後のリハビリで一番大切なこと
ハロー。整形外科医の塗山正宏です。
人工股関節置換術や人工膝関節置換術を受けられる患者さんから、

手術したらどれくらいで普通の生活に戻れますか?
とよく質問をいただきます。

手術はスタートライン。進む力は、あなたの一歩がつくります。
手術はゴールではなく、回復への道のりの“第一歩”に過ぎません。
ここからどれだけ前に進めるかは、術後のリハビリをどう取り組むかに大きく左右されます。
■ 人工関節手術は「痛みの解消」ではなく「動きの再構築」
人工関節置換術の目的は、関節の痛みを取り除き、歩行能力や生活の質(QOL)を改善することです。
確かに術後早期から痛みの改善を実感する方が多いですが、筋力・柔軟性・バランス能力 は手術だけでは回復しません。
特に、変形性関節症が長く続いていた方は、痛みのために筋力が低下し、歩き方のクセがついてしまっています。
この状態を「正常の身体の使い方」に戻すには、術後のリハビリテーションが不可欠 です。
■ リハビリは「毎日の積み重ね」が未来を作る
人工関節手術後のリハビリに関する研究では、継続的な運動療法が歩行速度や筋力の改善に有効 であることが示されています。(Bade MJ et al., J Orthop Sports Phys Ther, 2010)
また、術後3〜6か月の運動量が1年後の機能回復に大きく関係する と報告されています。
(Minns Lowe CJ et al., Cochrane Database Syst Rev, 2009)
つまり、
・1回の努力より、毎日の一歩
・「できる範囲の継続」が最大の効果を生む
ということです。
私が「進む力は、あなたの一歩がつくる」とお伝えする理由はここにあります。
■ 「無理なく・正しく・続ける」ことが最強のリハビリ
術後のリハビリで大切なポイントは3つです。
① 無理をしない(痛みは身体からのサイン)
痛みを我慢して行う運動は逆効果です。
痛みが強い時は休むことも、立派な治療の一部です。
② 正しいフォームで行う
人工関節に負担がかからない姿勢・動作を習得することが、
長期的な関節の寿命にも関わります。
③ 毎日少しずつ続ける
5分の体操でも、毎日なら大きな結果につながります。
「昨日の自分に1ミリ勝つ」ことを目指しましょう。
■ 誰かと比べる必要はありません
術後の回復スピードは、年齢、筋力、手術前の活動量、そしてモチベーション…
個々によって全く異なります。
外来で良く言われるのが、

私はあの人より回復が遅いのはなんでかしら?
他の人と比べる必要はありません。
個々で状態がまったく違いますから。
比べる意味がないのです。
大切なのは、

昨日の自分より一歩前に進んでいるかどうかです。
これが回復の本当の指標です。
■ 最後に ― あなたの一歩が未来を変える
人工関節手術は、痛みから解放されるための大きなチャンスです。
しかし、その先には「自分の足で歩き続ける未来」を作る作業が待っています。
だからこそ私は患者さんに伝えたいのです。

手術はスタートライン。進む力は、あなたの一歩がつくる。
その一歩が、必ずあなたの生活を変えていきます。
私は、その一歩を全力で支え続けます。
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医


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