おはようございます。
哲学は詳しくありませんが、意外に好きな塗山正宏です。
今回のテーマは、
人工膝関節置換術と冷却についてです。
人工関節の手術をすると、患部の周囲は炎症によって腫れてしまいます。
虫歯で抜歯したあとって顔が腫れますよね?
あれと一緒です。
特に股関節よりも膝関節のほうが腫れが出やすくなります。
さらに腫れるだけでなく、患部周囲は熱を持ちます。
手術もある意味、外傷(怪我)と一緒なので、骨折したあとのように腫れるのです。
そして、腫れれば腫れるほど・・・それが痛みに繋がるのです!
そのため、術後になるべく腫れないように注意しなければなりません。
腫れが強いとそれが痛みに繋がり、リハビリがうまく進みません。
膝の曲がりにも影響が出てしまいます。
そこで腫れをいかに早くひかせるかが大事になります。
むしろ腫れさせないことが大事なのです。
人工関節置換術後のスムーズな機能回復のためには、術後早期のクライオセラピーの重要性が言われています。
クライオセラピーとは、「冷却療法」のことを言います。
術後に患部を持続的に冷却することによって、痛みの緩和、浮腫、血種などの腫脹、炎症の抑制などの効果が期待できます。
術後急性期は、リハビリ後などにも腫れや熱感が強くなったりしますので、しっかりと患部を冷却することが大事です。
ただし、人工膝関節置換術後の冷却の効果については、今まで様々な研究が行われていますが、統一された結論は得られていません。
最近はアイシングに否定的な意見も一部ではあります。
アイシングによって組織修復に悪影響とする考え方があるためです。
一般的には、術後の急性炎症期に冷却することが推奨されていますが、急性炎症期を過ぎた回復期においては、患部を冷やしても前額部を冷やしても同程度の鎮痛効果と満足度が得られることが報告されていたりします。
また、患部の冷却は直接的な鎮痛効果よりも精神的な慰安の効果が強い可能性が示唆されています。
というわけで、患部の状態(腫れや熱感がある時)に合わせて適宜アイシングを行うようにしましょう。
術後に膝に熱があったり、腫れていたら冷やしましょう!!
「アイスを愛す」
なんだかんだでミックスソフトクリームが好きな整形外科医の塗山正宏でした。
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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