股関節240 化膿性股関節炎

化膿性股関節炎 股関節

おはようございます!
3歩歩いて2歩下がる塗山正宏です。




今回のテーマは、

化膿性股関節炎についてです。




実は化膿性股関節炎については、今まで触れた事がなかったテーマですね。

というわけで、今回は化膿性股関節炎とはどんな病気なのか少し説明していきたいと思います。

化膿性股関節炎とは、股関節内に細菌が侵入し、化膿してしまう病気です。

この病気は非常に重症で、放置すると股関節の機能が失われたり、感染が全身に広がったりする危険性があります。

そのため、早期に発見して治療することがとても重要です。

それでは、化膿性股関節炎の原因、症状、診断方法、治療方法、予防方法などについて勉強してみましょう。

化膿性股関節炎の原因

化膿性股関節炎の原因として最も多いのは黄色ブドウ球菌です。

この細菌は皮膚や鼻腔などに常在しており、傷口や手術部位などから体内に侵入することがあります。その他にもレンサ球菌や肺炎球菌などの細菌が原因となることもあります。

細菌が股関節内に侵入する経路としては、以下の3つが考えられます。

  • 血行性:他の部位に感染巣がある場合(例えば肺炎や尿路感染など)、血流に乗って細菌が股関節に運ばれることがあります。これは高齢者や免疫力の低下した人に多くみられます。

  • 直接性:外傷や手術などで股関節周囲の皮膚や骨が損傷された場合、その部位から細菌が直接股関節内に侵入することがあります。これは若年者やスポーツ選手などに多くみられます。

  • 隣接性:骨髄炎や軟部組織感染などで隣接する部位に感染巣がある場合、その部位から細菌が股関節内に波及することがあります。

化膿性股関節炎の症状

化膿性股関節炎の主な症状は、以下のようなものです。

  • 股関節の激しい痛み:細菌による感染で神経が刺激されるため、激しい痛みを感じます。動かすとさらにひどくなります。

  • 股関節の腫れや発赤:細菌による感染で血管が拡張し、白血球や血液成分が流入するため、腫れや発赤を起こします。

  • 股関節の可動域制限:細菌による感染で関節内圧が上昇し、筋肉が収縮するため、可動域が制限されます。特に屈曲や外旋が困難になります。

  • 発熱や全身倦怠感:細菌による感染で体温調節中枢が刺激され、発熱や全身倦怠感を引き起こします。

化膿性股関節炎の診断方法

化膿性股関節炎の診断方法は、以下のようなものがあります。

  • 問診:症状の発現時期や程度、感染のリスク因子(外傷や手術の既往、基礎疾患など)などを詳しく聞きます。

  • 血液検査:白血球数やCRPなどの炎症反応などの感染反応を測定します。これらの値が高くなると化膿性関節炎の可能性が高まります。

  • 関節穿刺:関節内に注射針を刺して関節液を採取します。関節液の外観や細胞数、グラム染色や培養などを行います。関節液が濁っていたり、白血球数が増加していたり、細菌が検出されたりすると化膿性関節炎と診断されます。

  • 画像検査:レントゲンやCTやMRIなどで関節の状態を観察します。関節裂隙の狭小化や骨の吸収や破壊、関節内にガスや液体が溜まっていることが確認できると化膿性関節炎と診断されます。

化膿性股関節炎の治療方法

化膿性股関節炎の治療方法は、以下のようなものがあります。

  • 抗菌薬投与:原因菌に効果的な抗菌薬を静脈内に投与します。培養結果によって抗菌薬を変更することもあります。

  • 関節洗浄:関節内に溜まった膿や細菌を除去するために、関節内に生理食塩水などを注入して洗浄します。ただし、注射だけで洗浄するのは実際には困難です。

  • 手術:関節内に溜まった膿や細菌を除去するために、手術(股関節をしっかり開いて手術、または関節鏡視下手術)を行うこともあります。特に関節周囲組織や骨に感染が広がっている場合や、人工関節置換術後に発生した場合は手術が必要になる可能性が非常に高いです。

  • リハビリテーション:感染が治まった後は、股関節の可動域や筋力を回復するためにリハビリテーションを行います。装具や松葉杖などを使用することもあります。

化膿性股関節炎の予防方法

化膿性股関節炎の予防方法は、以下のようなものがあります。

  • 他部位の感染症の早期治療:肺炎や尿路感染などの他部位の感染症は、血流によって股関節に波及する可能性があります。そのため、早期に治療を受けるようにしましょう。

  • 外傷や手術の際の衛生管理:外傷や手術の際には、股関節周囲の皮膚や骨が損傷される可能性があります。そのため、清潔な環境を保つようにしましょう。また、手術後は抗菌薬の予防投与や定期的な診察や検査を受けるようにしましょう。

  • 免疫力の向上:免疫力が低下すると、細菌に対する抵抗力が弱まります。そのため、栄養バランスの良い食事や十分な睡眠や適度な運動などで免疫力を向上させるようにしましょう。

というわけで、化膿性股関節炎について色々真面目に解説してみました。

化膿性股関節炎は非常に重症な病気であり、早期に発見して治療することが重要です。

早期発見、早期治療!ここ大事!

以上です!


化膿性股関節炎は非常に重症な病気であり、早期に発見して治療することが重要です!

カレー

「今日のお昼、チーズカレーにしませんか!?」

1週間これしか食べられないって言われたらカレーを選ぶ可能性がある整形外科医の塗山正宏でした。




【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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