股関節257 人工股関節置換術の再置換術の原因

再置換術の原因 股関節

おはようございます!
いつだって健康的に生きていきたいと願っている塗山正宏です。
パワー!!




今回のテーマは、

人工股関節置換術の再置換術の原因についてです。





塗山先生
塗山先生

今回は人工股関節置換術の再置換術の原因について

少し説明していきます!

人工股関節置換術とは、変形性股関節症や特発性大腿骨頭壊死症などで股関節が変形し、痛みや動きの制限がある場合に、人工の関節に置き換える手術です。

この手術により、多くの患者さんは痛みが軽減され、歩行や日常生活が改善されます。

しかし、人工股関節は永久に持つものではなく、ある程度の年数が経過すると、再び痛みや不具合が出てくる可能性があります。

その場合、人工股関節を取り出して新しいものに入れ替える手術が必要になることがあります。

これを人工股関節再置換術と呼びます。

整形外科業界ではリビジョン(Revison)と呼びます。



人工股関節再置換術が必要になる原因には、以下のようなものがあります。

①摩耗・骨溶解:人工股関節は、人工の軟骨(ライナー)と人工の大腿骨頭(ヘッド)が接触して動く構造になっています。このとき、人工の軟骨は徐々に摩耗してすり減っていきます。摩耗した部分からは、摩耗粉と呼ばれる微細な粒子が発生します。この摩耗粉に対して、免疫系が反応して周囲の骨を溶かしてしまうことがあります。これを骨溶解と呼びます。骨溶解によって、人工股関節と骨の間に隙間ができてしまい、人工股関節がぐらぐらとゆるんでしまいます。これをゆるみと呼びます。ゆるみが進むと、痛みや変形、歩行障害などが起こります。ただし、現在の人工股関節はポリエチレンの材質が改良されたことにより摩耗粉がほとんど出なくなっています。

②人工股関節の破損:人工股関節は、金属やセラミックなどの強度の高い素材でできていますが、金属疲労や衝撃などによって破損することがあります。人工股関節の破損は、ヘッドが割れたり、ライナーが破損したり、人工股関節を固定するためのネジが折れたりすることがあります。人工股関節の破損は、痛みや腫れ、動きの制限などを引き起こします。

③感染:人工股関節は、体内に異物として存在しています。そのため、細菌などの感染源が体内に侵入すると、人工股関節の周囲に感染が起こす可能性があります。感染は、手術の際に細菌が入り込むことで起こる術後早期感染と、手術後に体の他の部位から血液を介して細菌が移動することで起こる晩期感染に分けられます。感染は、創部周囲の痛みや発赤、発熱、創部から膿の排出などを引き起こします。感染が長期間続くと、細菌感染した骨が溶解し、人工股関節がゆるむ原因になります。

④脱臼:人工股関節は、自然な股関節と比べて脱臼しやすい構造になっています。人工股関節の脱臼は、手術直後に起こることもありますが、手術後に何年も経ってから起こることもあります。脱臼の原因には、手術の方法や人工股関節の種類、筋力の低下や骨粗鬆症、無理な動作や転倒などがあります。脱臼すると歩行困難になります。数年経過してからの脱臼は、術後早期の脱臼に比べて再発しやすい傾向がありますので要注意です。

⑤骨折:人工股関節の周囲の骨は、骨粗鬆症や骨溶解などによって弱くなる可能性があります。そのため、インプラント周囲の骨が弱くなると転倒などの外傷によって骨折するリスクが高まります。人工股関節の周囲の骨折は、痛みや腫れ、動きの制限などを引き起こします。骨折の部位や程度によっては、人工股関節の位置がずれたり、破損したりすることもあります。

以上が、主な人工股関節置換術の再置換術の原因についての説明です。




では、実際に再置換術の原因としては何が多いのでしょうか?

人工股関節再置換術の原因ベスト5を紹介します。

人工股関節置換術の再置換術の原因 ベスト5

1位 脱臼

2位 感染

3位 カップのゆるみ

4位 大腿骨骨折

5位 ステムのゆるみ

(2020年の人工関節学会のデータより)

1位は脱臼でしたね。

脱臼を繰り返す場合には再置換術が必要ということですね。



人工股関節再置換術は、一度目の人工股関節置換術よりも難易度が高く、合併症のリスクも高い手術です。

そのため、人工股関節再置換術を避けるためには、以下のようなことに注意する必要があります。

①定期的な受診と検査:人工股関節の状態をチェックするために、定期的に受診し、画像検査などを受けることが大切です。早期に摩耗やゆるみ、感染などの異常を発見することで、小さな手術で済む場合もあります。

②骨粗鬆症の予防と治療:骨粗鬆症は、人工股関節のゆるみや骨折などの原因になります。そのため、骨密度を測定し、必要ならば骨粗鬆症の治療薬を服用することが重要です。また、カルシウムやビタミンDなどの骨に良い栄養素を摂取し、適度な運動を行うことも骨粗鬆症の予防に役立ちます。

③適切な運動と負荷のコントロール:運動は、筋力や関節の可動域を維持するために必要ですが、過度な負荷や衝撃は人工股関節に悪影響に与えるので気をつけましょう。例えば、水泳や自転車、ウォーキングなどは人工股関節に適した運動です。

④感染の予防と早期発見:感染は、人工股関節の機能を低下させるだけでなく、全身に重大な影響を及ぼすことがあります。そのため、感染の予防と早期発見が非常に重要です。感染の予防のためには、手術後の傷口の衛生管理、歯科治療や尿路感染などの他の感染症の治療などに注意する必要があります。また、感染の早期発見のためには、発熱や痛み、腫れなどの症状があったらすぐに医師に相談することが必要です。


人工股関節置換術は、変形性股関節症などで苦しむ患者さんの生活の質を向上させる素晴らしい手術ですが、再置換術を必要とする可能性もあります。

再置換術を避けるためには、上記のようなことに注意して、人工股関節を大切に扱うことが大切です。

人工股関節の寿命を延ばすためには、定期的な受診と検査、骨粗鬆症の予防と治療、適切な運動と負荷のコントロール、感染の予防と早期発見などが重要です。

人工股関節を出来る限り長く使うことで、快適な生活を送っていきましょう!



人工股関節置換術の再置換術にならないよう気をつけていきましょう!

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「私の事、呼びました?」

たまには動物と戯れたくなる整形外科医の塗山正宏でした。



【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医


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