おはようございます!
来世はキレキレダンスを踊る予定の塗山です。
今回のテーマは、
人工股関節置換術後のダンスについてです。

ダンスやっていますか?

私、社交ダンスやっていますが、手術後に復帰できるのかしら?
人工股関節置換術後にダンスはできる?復帰の目安と安全のポイント
1. ダンスは人工股関節にとってNGなのか?
人工股関節置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)は、痛みを軽減し日常生活を改善するだけでなく、趣味やスポーツへの復帰を目指す方にも有効な治療です。
ダンスは股関節の可動域やバランス感覚を活かす運動ですが、一方で回旋やジャンプなどの動きが人工関節に負担をかけることもあります。
結論から言えば、「正しいタイミングと方法を守れば、ダンスへの復帰は可能」です。
この記事では、
- ダンスの種類と負荷の違い
- 復帰までのスケジュール目安
- 注意すべき合併症
などについて、医学的根拠と整形外科医塗山正宏の臨床経験をもとに解説します。
2. ダンスの種類と負荷の違い
人工股関節にかかる負担はダンスの種類によって大きく異なります。
- 低負荷:社交ダンス(ワルツ、タンゴ)、フォークダンス
- 中負荷:ラテンダンス(サンバ、ルンバ)、ズンバ、軽めのジャズダンス
- 高負荷:バレエ、ヒップホップ、アクロバティックなダンス
低負荷のダンスは比較的早期に安全に復帰しやすく、高負荷になるほど脱臼や摩耗のリスクが高まります。
3. 復帰までのスケジュール目安
人工股関節置換術後のスポーツ復帰に関する研究(Swanson EA et al., 2020)では、多くの整形外科医が3〜6か月以降を推奨しています。
ダンスの場合も以下のような目安が参考になります。
| ダンス負荷 | 復帰目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 低負荷 | 3か月以降 | ヒール靴や滑る床は避ける |
| 中負荷 | 6か月以降 | 骨盤回旋やジャンプは徐々に追加 |
| 高負荷 | 長期的には制限も | 無理な外旋・開脚は避ける |
4. ダンス復帰のためのリハビリ戦略
- 筋力強化
中殿筋・大殿筋・腸腰筋を中心に鍛え、姿勢保持と安定性を向上。 - バランス訓練
片脚立位やステップ練習で動的バランスを養う。 - 可動域管理
無理な外旋や深い屈曲は避け、日常生活で必要な範囲を確保。 - 段階的復帰
基本ステップ→短時間の練習→本格的なダンスへと段階を踏む。
5. 注意すべき合併症
- 脱臼:深い屈曲+内転+内旋は危険ポジション。
- インプラント摩耗:高衝撃のジャンプや急停止動作は摩耗を早めるリスクあり
- 転倒:ペアダンスや混雑した場所では接触・転倒に注意。
6. 参考文献
・Healy WL, Sharma S, Schwartz B, Iorio R. Athletic activity after total joint arthroplasty. J Bone Joint Surg Am. 2008;90(10):2245-2252.
・Swanson EA, Schmalzried TP, Dorey FJ. Activity Recommendations After Total Hip and Knee Arthroplasty: A Survey of the American Association of Hip and Knee Surgeons. J Arthroplasty. 2020;35(6):1549-1556.
・Klein GR, Levine BR, Hozack WJ, et al. Return to athletic activity after total hip arthroplasty. J Arthroplasty. 2007;22(2):171-175.
7. まとめ
人工股関節置換術後でも、適切な時期と方法を守れば、多くの方がダンスに復帰できます。
再開は術後3〜6か月が目安ですが、個人差があるので注意しましょう。
復帰の際は主治医や理学療法士と相談しながら、負荷の低い種目から始め、徐々にステップアップすることが安全な踊りの秘訣です。
安全な種目選びと正しいフォームが重要ですね。
踊っていて、痛みや違和感を感じたら無理をせず、早めの相談をするようにしましょう。
以上、参考になりましたでしょうか!?
では、さらば!
人工股関節置換術後でも、適切な時期と方法を守れば、多くの方がダンスに復帰できます!

「ツッコミがドロップキック!」
驚異的な跳躍力が欲しい整形外科医の塗山正宏でした!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医


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