おはようございます。
慢性的に軽い腰痛を抱えている塗山正宏です。
今回のテーマは、
人工股関節置換術と神経障害についてです。
人工股関節置換術の合併症のひとつに神経障害があります。
神経障害といっても色々な神経障害があります。
手術方法によって損傷を受けやすい神経が変わります。
後方アプローチの場合は、坐骨神経を損傷する可能性が高くなります。
前方アプローチの場合は、大腿神経を損傷する可能性が高くなります。
ただ後方アプローチでも大腿神経を損傷したり、反対に前方アプローチでも坐骨神経を損傷する場合があります。
それぞれ、
・坐骨神経麻痺
・大腿神経麻痺
と言います。
通常神経障害の発生率は1%~3%というデータがありますが、私の印象では実際1%程度でしょう。
もし発生率が2~3%台だと手術の手技に問題があると思われます(私個人の感想)。
では、神経麻痺を起こすと、一体どんな症状が出るのでしょうか?
神経麻痺を起こすと、麻痺を起こした神経が走行する部位にしびれが出ます。
さらに神経が支配している筋肉がうまく機能しないため、筋力が発揮できません。
簡単に言えば、力をいれようとしても力が入らないのです。
「あれ?動かない?」という感じです。
実は神経によって回復のしやすさが変わります。
坐骨神経麻痺に比べて大腿神経麻痺は回復が早い傾向にあります。
大腿神経麻痺は回復が早い傾向があり、関節の機能障害があまり残りません。
一方で坐骨神経麻痺は回復に時間がかかる傾向があり、関節の機能障害が残ってしまうことがあります。
ちなみに末梢神経障害にはSeddon分類というものがあります。
実際にどれくらい神経が損傷されたかによって、神経の回復度合いが変わります。
もちろん損傷の程度が強ければ回復の見込みが薄くなるわけです。
恐ろしいですよね・・・。
そう、恐ろしいのです・・・。
神経麻痺の症状は基本的には時間と共に回復していきますが、回復には一定の時間が必要になります。
・1か月で回復する場合
・3か月で回復する場合
・6か月で回復する場合
・1年で回復する場合
・2〜3年で回復する場合
反対に2~3年経過しても回復しない場合もあります。
実際の神経のダメージの度合いによって、回復期間が変わります。
神経の種類によっても回復の具合が変わります。
もし神経麻痺が起きてしまった場合には、まずは回復を待つしかありません。
特に坐骨神経麻痺は回復に時間がかかる傾向がありますので、月単位で気長に待ちましょう!
経過観察のなかで完全に神経麻痺の回復傾向がなければ、足関節を動かせるようにする腱移行手術という方法もありますので考慮してもいいかもしれません。
神経麻痺は回復に時間がかかる。
「なにその顔~~!!」
子供時代にファミコンの魔界村が難しすぎることに悩んでいた整形外科医の塗山正宏でした。
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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