股関節118 人工股関節置換術と手術室滞在時間

手術室滞在時間 股関節

おはようございます。
戦国時代の武将に生まれてみたかった塗山正宏です。




今回のテーマは、

人工股関節置換術と手術室滞在時間についてです。




人工股関節置換術を行う場合には、実際手術室にどのくらいの時間、滞在するのでしょうか?

私が人工股関節置換術を実際に行っている時間は、約30分程度が目安になっていますが、手術室に入ってすぐに手術が始まるわけではありません。

そうなんです。

手術室に入室して、すぐに手術が始まるわけではないのです。

患者さんのなかには、たまに手術時間(実際に手術を行っている時間)と手術室滞在時間を混同されている方がいらっしゃいます・・・。



手術が始まるまでには、色々な準備があります。

手術が始まるまでには、まず患者さんに血圧や脈拍を測定する機械や血液中の酸素飽和度を測定する機械等を装着します。

その後、しばらくマスクから酸素を吸入します。

それから全身麻酔が始まります。

点滴から鎮静剤が投与されると数秒で眠りについてしまいます。

完全に眠った状態になってから、尿管カテーテルを留置します。

全身麻酔が確実にかかったことを確認し、手術をするために患者さんの身体の位置を調整し固定します。

病院によって仰向け(仰臥位)で手術をする場合や、横向き(側臥位)で手術をする場合があります。

私は仰向けで手術を行いますので、大きな体位変換はありませんが、この身体の位置を正しく決めることが、手術をするにあたって非常に重要になります。

なぜなら身体を少し傾いて固定してしまうと、それが人工関節の設置位置に影響が出てしまうためです。

私が手術をするうえで、こだわる部分のひとつです。

その後、執刀医である私は一度オペ室を出て手を洗いに行きます。

念入りに手を洗ってから、アルコールを手~肘にかけてしっかり塗り込みます。

そして、メンタルをオペモードにスイッチを入れ、オペ室に再度入ります。

手を入念に洗ってから、手術室に再度入ってから手術衣を着ます。

患者さんの脚を心を込めて消毒してから、身体に滅菌のシーツをかけます。

そして、手術に使用する器械を色々とセッティングしてから、やっと手術が始まります。


そうなんです。

これだけの工程が手術が始まるまでにあるのです。

手術室に入ってすぐに手術が始まるわけではないのです。

繰り返しますが、患者さんのなかには、手術室に入ったらすぐに手術が始まると思っている方も一定数いらっしゃるようですが、すぐには始まりません。



そして、人工股関節の手術が終わると、手術後のレントゲンを撮影し、人工関節の設置の状態が問題無い事を確認します。

手術が問題なく終わっている事を確認してから、全身麻酔を覚まします。

全身麻酔がしっかり覚めて、血圧や脈拍などが安定していることを確認してから、病室用のベッドに移動してオペ室を退室します。

簡単に述べましたが、これだけの工程が手術にはあるのです。

というわけで手術室滞在時間は、片側の人工股関節置換術の場合は、通常約1時間半程度が目安になっています。

個人差はありますので、麻酔をかけるのに時間がかかったり、麻酔がなかなか覚めなかったり、手術に時間がかかったりすると、手術室滞在時間は2時間を超える事もあったりします。

もちろん、この手術室滞在時間は病院によって結構差がありますのでご理解ください(大学病院は麻酔にかかる時間が長い傾向あり、滞在時間が3~4時間程度の病院もあり)。

参考になりましたでしょうか!?


手術の前後には色々な工程がある!

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「なんでやねん!どないやねん!」

ツッコミを入れるのが好きな整形外科医の塗山正宏でした。



【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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