おはようございます!
傷の治りが年々悪くなっている気がする塗山です。
いや気じゃなくて確実に悪くなっているな…汗。
今回のテーマは、
人工股関節置換術の術後感染の危険因子についてです。

感染って本当に嫌ですよね…

感染って言葉、怖いわね…
人工股関節置換術の術後感染の危険因子:リスクを理解して最善の予防を
人工股関節置換術(Total Hip Arthroplasty,:THA)は、股関節の痛みを軽減し、機能を改善する効果的な治療法です。
しかし、術後の感染は稀ではありますが、患者さんと医療従事者双方にとって大きな課題です。
術後感染は、早期治療が求められる深刻な合併症(どんなに対策を行っても完全に防ぐ事が出来ない事象)であり、適切な予防とリスク管理が重要です。
本記事では、人工股関節置換術後の感染リスクを高める危険因子について詳しく解説し、予防のために知っておくべきポイントを塗山が切ない顔で紹介します。
人工股関節置換術後の感染とは?
術後感染は、人工関節を埋め込んだ部位で細菌が増殖し、炎症や痛みを引き起こす状態です。
感染は大きく以下の2つに分類されます。
1. 急性感染
- 手術後3か月以内に発生
- 症状:発熱、手術部位の腫れや赤み、強い痛み
2. 慢性感染
- 手術後3か月以上経過してから発生
- 症状:軽度の腫れ、持続的な違和感や痛み、股関節機能の低下
いずれの感染も早期の診断と治療が必要です。
人工股関節置換術後感染の危険因子
術後感染のリスクを高める因子は多岐にわたります。
これらを把握し、適切な対応を取ることが感染予防の第一歩です。
1. 患者要因
- 糖尿病:高血糖が免疫機能を低下させ、感染リスクを増加させます。
- 肥満:過剰な体重は術中および術後の合併症を引き起こしやすくなります。
- 免疫抑制状態:ステロイド治療や化学療法などで免疫が抑制されている場合。
- 慢性疾患:腎疾患、肝疾患、心疾患など、全身状態が低下していると感染リスクが高まります。
- 喫煙歴:喫煙は血流を悪化させ、傷の治癒を妨げます。
2. 手術要因
- 手術時間の延長:手術時間が長いほど感染リスクが高まります。
- 手術部位の清潔野の確保:手術部位の清潔操作が不十分な場合、細菌が侵入する可能性があります。
3. 術後ケアの要因
- 傷口の適切な管理が不十分:清潔な状態が維持されていない場合。
- 術後フォローアップの欠如:早期の感染兆候を見逃してしまう場合があります。
術後感染の予防方法
危険因子を理解した上で、以下の方法を実践することで術後感染の予防できる可能性が高くなります。
1. 術前の準備
- 糖尿病や肥満の管理:術前に血糖値を安定させ、体重を減らす努力をします。
- 喫煙の中止:手術前少なくとも4週間は禁煙を実施。
- 感染症の治療:手術前に虫歯や尿路感染症など、全身の感染源を取り除くことが重要です。
- 清潔な皮膚の状態:皮膚を清潔に保つことが重要です。
2. 術中の対策
- 無菌手術の徹底:清潔な手術環境を維持。
- 手術時間の短縮:迅速かつ正確な手術を行うことが求められます。
- 抗菌薬の適切な投与:術中および術後に抗菌薬を適切に使用します。
3. 術後のケア
- 傷口の清潔保持:定期的な傷口の観察をすることが重要です。
- 早期リハビリテーション:術後の血流を促し、免疫力を高めます。
- 医師との密な連携:違和感や痛みがあれば早めに相談する。
術後感染を早期に発見するポイント
感染は早期発見が重要です。以下のような症状が見られた場合は、直ちに医師に相談してください。
- 手術部位の腫れや赤みの悪化
- 発熱(38℃以上)
- 術後数週間を経てからの痛みの増加
- 傷口からの液体の漏出
まとめ
人工股関節置換術の術後感染は稀ですが、適切な予防とリスク管理が非常に重要です。
患者さん自身が危険因子を理解し、術前・術中・術後のケアを徹底することで感染リスクを最小限に抑えることが可能です。
術後は創部になにかおかしいと思ったら、はやめに外来を受診する事が大事です。
そして、私は、出来る限りの感染予防対策を行っています。
それでもどんなに対策を行ったとしても、稀に起きてしまうのが術後感染です。
しかし、少しでも起きる確率を下げるための努力は私は惜しみませんよ。
これからも感染症対策に全力を注ぎこみます!
塗山、頑張りますっ!
人工股関節置換術の術後感染対策には色々あるが完全に防ぐのが難しいのが現実。

「ご飯、盛りすぎやっっ!!」
ご飯をお腹一杯食べた時に幸せを感じる気がする整形外科医の塗山でした!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
コメント