股関節343 人工股関節置換術と喫煙

喫煙 股関節

おはようございます!
寒いよりは暑いほうが好きな塗山です。




今回のテーマは、

人工股関節置換術と喫煙についてです。




塗山先生
塗山先生

タバコ吸ってますか?

たけしさん
たけしさん

タバコ吸ってます…






こんにちは。整形外科医の塗山正宏です。

じげんさん
じげんさん

「人工股関節置換術を予定しているけれど、タバコはやめた方がいいの?」


これは、喫煙習慣のある患者さんから頻繁に聞かれる質問です。

結論から申し上げると、人工股関節の手術を安全に成功させるには禁煙が極めて重要です

この記事では、人工股関節置換術と喫煙の関係、手術への影響、禁煙のタイミングと方法について、わかりやすく整形外科医塗山が解説します。


1. どうして喫煙が問題になるのか?

喫煙によって血管が収縮し、体の隅々まで酸素が届きにくくなります。

その結果、手術後の傷の治りが遅くなり、感染や合併症のリスクが高まるのです。

喫煙が与える主な悪影響:

  • 🔴 創傷治癒の遅延
  • 🔴 感染症(特に人工関節周囲感染)のリスク増加
  • 🔴 再手術のリスク増加
  • 🔴 肺合併症(肺炎、無気肺など)
  • 🔴 深部静脈血栓(DVT)や肺塞栓(PE)



2. 実際にどれくらいリスクが上がるの?

・創部感染:非喫煙者の約2倍

・再手術率:非喫煙者より30〜50%高い

・呼吸器合併症:麻酔後の回復が遅れやすい

ある研究では、喫煙者は非喫煙者より入院期間が長く、費用も高くなりやすいことが報告されています(Sloan M et al. 2018)。


3. 術前にいつ禁煙を始めるべき?

理想的には手術の少なくとも4〜8週間前から禁煙を開始することが望まれます。

この期間禁煙を維持することで、感染や合併症のリスクを大きく下げられることがわかっています。




4. 禁煙が難しい方へ:こんな方法があります

☑ 禁煙外来を利用する

医療機関で保険適用の禁煙治療が可能です。ニコチンパッチや内服薬を併用します。

☑ 家族や周囲に協力を頼む

生活環境から喫煙のきっかけを排除することが大切です。

☑ 術後も継続を

「手術のためだけ」と思わず、術後も禁煙を続けることで人工関節の長持ちや全身の健康維持に繋がります。



5. 📚 参考文献

・Singh JA et al. Effect of smoking on outcomes after total hip arthroplasty. J Bone Joint Surg Am. 2011.

・Kapadia BH et al. Smoking increases complications after total hip arthroplasty. J Arthroplasty. 2014.

・Møller AM et al. Effect of preoperative smoking intervention on postoperative complications. Lancet. 2002.

・Sloan M, et al. Smoking and total joint arthroplasty: Outcomes and cost. Clin Orthop Relat Res. 2018.



6. 整形外科医塗山からのメッセージ

人工股関節置換術は痛みを取り除き、歩行機能を改善する優れた治療法ですが、喫煙によってその効果が十分に得られないことがあります。

「たった1本のタバコ」が感染や再手術の引き金になってしまうこともあります。

喫煙者の方も、禁煙に取り組めば安全に手術を受けることができ、回復もスムーズになります。

手術を受けるのをきっかけにして、是非禁煙してみましょう!

ちなみに、私は一切喫煙しない派ですね。

根っからの健康志向ですからね(笑顔)

そこんとこよろしく!


人工股関節置換術の手術を受けるには喫煙する事が重要です!

ラーメン

「汁なし二郎!」

ハイカロリーが年々食べられなくなってきている整形外科医の塗山正宏でした!




【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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