股関節126 特発性大腿骨頭壊死症と人工股関節置換術

特発性大腿骨頭壊死症 股関節

おはようございます!
人生で入院は1回しかしたことがない塗山正宏です。
まだまだ健康でいたいですね!



今回のテーマは、

特発性大腿骨頭壊死症と人工股関節置換術についてです。




股関節の病気で最も多いのが、変形性股関節症ですが、それ以外にも特発性大腿骨頭壊死症という病気があります。

特発性大腿骨頭壊死症とは、大腿骨の骨頭の骨組織が壊死し、関節が変形・破壊する病気であり、これらのうち原因がはっきりしないものを特発性大腿骨頭壊死症といいます。

特発性大腿骨頭壊死症は厚生労働省が指定する難病のひとつです。

難病ということは基本治らない病気です。

原因としては、

特発性大腿骨頭壊死症の原因

・ステロイド性
ステロイド薬を一日平均で15mg以上程度(代表的なステロイド薬のプレドニゾロン換算)を服用したことがある。

・アルコール性
お酒を日本酒で2合以上、毎日飲んでいる。

・喫煙
1日20本以上

・原因不明(狭義の特発性)

などがあります。


日本全国における1年間の新規発生数は約2,000~3,000人です。

特発性大腿骨頭壊死症の好発年齢は、全体では30~50歳代が中心となります。

ステロイド関連に限ると30歳代が中心になります。

新規患者における男女比は、全体では1.2~2.1:1と報告されています。

ちなみに、特発性大腿骨頭壊死症遺伝の関連性ですが、遺伝が関連しているという報告が一部ありますが、まだはっきりとしていません。



次に特発性大腿骨頭壊死症の治療についてです。

特発性大腿骨頭壊死症は、壊死範囲が広い場合には手術治療が必要になります。

手術の選択肢としては、骨切り手術と人工股関節置換術が挙げられますが、以前にくらべて、人工股関節置換術を適応することが増えている印象です。

特発性大腿骨頭壊死症に人工股関節置換術を行うにあたっては注意する点があります。

特発性大腿骨頭壊死症の特徴として、術前にあまり脚長差がない場合があります。

変形性股関節症の場合は軟骨が摩耗しているため、変形している股関節のほうは脚の長さが短くなっていることが多いのです。

人工股関節置換術を行う際には、筋肉や腱、靭帯などを切るアプローチの場合、股関節の安定性が落ちます。

そのため股関節の安定性を保つために、脚を伸ばすことによって筋肉の緊張を保ち、関節の安定性を保てるのです。

しかし、特発性大腿骨頭壊死症の場合には、脚を伸ばしてしまうと反対の脚よりも長くなってしまいます。

手術をして痛みが取れたはいいけど、脚の長さが違うと歩行時のバランスが悪くなってしまいます。

それは嫌ですよね・・・。

私が普段行っている筋肉や腱を切らない人工股関節置換術の場合は、脚を伸ばさずに股関節の安定性を保つことが出来るため、特発性大腿骨頭壊死症に対して人工股関節置換術を行う際に有利な手術方法になります。

身体のバランスを整えるのって歩行するうえではとても大事ですからね!

以上、特発性大腿骨頭壊死症についてお伝え致しました。


特発性大腿骨頭壊死症は難病ですが、諦める必要はない!

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「イタタタ!そんなに強く押さないで!!」

足つぼマッサージが好きな整形外科医の塗山正宏でした。



【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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