昨日より1ミリ良くなれば、それは立派な前進です。
― 人工関節手術後の回復は“ゆっくり”が正解
こんにちは!!整形外科医の塗山正宏ですYO!
人工股関節置換術や人工膝関節置換術を受けた患者さんから、

もっと早く良くなりたいです…

回復が遅い気がします…
という声をよく聞きます。
そんなとき、私がお伝えしたい言葉があります。

昨日より1ミリ良くなれば、それは立派な前進です。
回復とは、劇的な変化よりも、「小さな積み重ね」が最も大切なのです。
■ 回復は直線ではない
人工関節手術後の経過は、多くの患者さんが想像するよりも波があります。
- ある日はよく歩ける
- 別の日は腫れが強い
- 痛みが出たり引いたりする
これは異常ではありません。むしろ正常です。
研究でも、術後3〜6か月にかけて緩やかに改善していくことが示されています。
(Bade MJ et al., J Orthop Sports Phys Ther, 2010)
つまり、焦る必要はありません。
■ “1ミリの改善”が未来を変える
リハビリは魔法ではありません。
しかし、継続することで確実に身体は応えてくれます。
- 歩く距離が少し増えた
- 階段が昨日より楽だった
- 朝のこわばりが減った
- 表情が明るくなった
それらはすべて「1ミリの前進」です。
ヘルスケアの世界では、小さな成功体験が自己効力感を高め、回復速度を上げることが知られています。
(Lorig KR et al., Med Care, 1989)
だからこそ、“できたこと”に目を向けましょう。
■ 比べる相手は他人ではなく「昨日の自分」
同じ人工関節手術を受けても、回復スピードは人によって異なります。
- 年齢
- 術前の筋力
- 痛みの期間
- 持病の有無
- リハビリの頻度
誰一人として同じ回復曲線はありません!
他人と比べる必要はありません。
だからこそ大切なのは、
「昨日より1ミリ良くなったか」
それだけです。
■ リハビリ継続のコツ
小さな前進を積み上げるために、以下をおすすめしています。
① 記録をつける
歩数、階段の段数、痛みの程度など。
② できたことに○をつける
「今日は転ばずに歩けた」など、小さな成功を見える化。
③ 無理はしない
痛みは身体のブレーキ。休む勇気も重要です。
④ 喜びを共有する
家族・理学療法士・医療者と達成を分かち合う。
努力は、可視化すると続きやすくなります。
■ 最後に ― 回復は“足し算”
人工関節手術は、痛みから解放されるための大きな一歩です。
しかし、元の生活を取り戻すのは、手術後のリハビリの積み重ねによって実現します。
だから私は患者さんにこう伝え続けます。

昨日より1ミリ良くなれば、それは立派な前進です。
1ミリが1センチになり、1センチが1メートルになり、やがて人生がまた前に進み始めます。
その道のりを、私は全力で支えますよ。
頑張っていきましょ!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医


コメント