「また旅行に行きたい。その気持ちが、最高のリハビリになります。」
― 人工股関節術後の回復を加速させる“本当の原動力”とは? ―
1. はじめに|リハビリを頑張れる人には共通点があります
整形外科医の塗山正宏です。
人工股関節置換術(THA)を受ける患者さんに、
「手術が終わったら何をしたいですか?」
とお聞きすると、実にさまざまな答えが返ってきます。
- また温泉旅行に行きたい
- 京都の紅葉を見に行きたい
- 孫と動物園に行きたい
- 夫婦で海外旅行に行きたい
- 飛行機に乗って故郷へ帰りたい
そんなとき私は思います。

また旅行に行きたい。その気持ちが、最高のリハビリになります。
人工股関節のリハビリで本当に大切なのは、筋力トレーニングの回数ではありません。
その先にある「目的」です。
2. 人工股関節の手術はゴールではなくスタート
人工股関節置換術は、変形性股関節症に対する非常に優れた治療です。
近年の人工股関節は耐久性や機能性が大きく向上し、多くの患者さんが痛みの軽減と歩行能力の改善を実感しています。
しかし、手術だけで人生が変わるわけではありません。
手術はあくまでも、
「人生を取り戻すためのスタートライン」
なのです。
3. なぜ旅行が最高のリハビリになるのか?
理由① 目標があると人は動ける
単に
「歩いてください」
と言われるより、
「京都旅行に行くために歩きましょう」
と言われた方が頑張れます。
人間の脳は、
- 痛みを避けるため
- 義務だから
ではなく、
- 楽しみのため
- 夢のため
に行動するときの方が強い力を発揮します。
理由② 歩行能力の回復につながる
旅行には自然と多くの歩行が含まれます。
- 駅の移動
- 観光地の散策
- 空港での移動
- ホテル内の移動
つまり旅行は、
人工股関節術後に必要な
- 持久力
- バランス能力
- 歩行能力
を総合的に鍛える目標になります。
理由③ 心の回復につながる
変形性股関節症が進行すると、
痛みだけでなく、
- 外出を避ける
- 人に会わなくなる
- 趣味を諦める
という変化が起こります。
これは身体の問題だけではありません。
人生の楽しみが少しずつ失われていく状態です。
旅行を目標にすることで、患者さんは再び未来を見るようになります。
4. 実際の患者さんのエピソード
50代の女性患者さん。
重度の変形性股関節症で、
「もう旅行は無理だと思っています」
と話されていました。
人工股関節置換術後、リハビリを続ける中で、
私はこう聞いていました。
「旅行はどこへ行きたいですか?」
患者さんは笑いながら、
「北海道です」
と答えていました。
術後6か月。
外来で見せてくださったのは、北海道旅行の写真でした。
そのとき患者さんが言われた言葉を今でも覚えています。

股関節が治ったこともうれしいですが、また旅行を計画できる自分に戻れたことが一番うれしいです。
5. 人工股関節術後におすすめの旅行時期
患者さんから最も多い質問の一つです。
一般的には、
- 国内旅行:術後3〜6か月頃
- 海外旅行:術後6か月以降
が目安となります。
ただし、
年齢
筋力
回復状況
合併症
によって異なるため、主治医と相談することが大切です。
6. リハビリが続かない人へ
もし今、
- リハビリがつらい
- モチベーションが上がらない
- 回復が遅い気がする
そんな気持ちになっているなら、
「何のために歩くのか」
を考えてみてください。
行きたい場所はありませんか?
会いたい人はいませんか?
見たい景色はありませんか?
その答えが、あなたを前に進める力になります。
7. まとめ

また旅行に行きたい。その気持ちが、最高のリハビリになります。
人工股関節置換術の目的は、単にレントゲンをきれいにすることではありません。
本当に大切なのは、
- 行きたい場所へ行けること
- 会いたい人に会えること
- やりたいことができること
です。
歩くために旅行へ行くのではありません。
旅行へ行くために歩くのです。
その目標がある限り、リハビリは単なる訓練ではなく、未来への準備になります。
人工股関節は人生を取り戻すための手術です。
そして、その人生を前へ進める原動力は、
「また旅行に行きたい」
という希望なのかもしれません。
以上、参考になりましたでしょうか!?
では、筋トレ行ってきます。
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医


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