格言 Season204

kakugen 格言

― 人工股関節術後の回復を加速させる“本当の原動力”とは? ―

1. はじめに|リハビリを頑張れる人には共通点があります

整形外科医の塗山正宏です。

人工股関節置換術(THA)を受ける患者さんに、

「手術が終わったら何をしたいですか?」

とお聞きすると、実にさまざまな答えが返ってきます。

  • また温泉旅行に行きたい
  • 京都の紅葉を見に行きたい
  • 孫と動物園に行きたい
  • 夫婦で海外旅行に行きたい
  • 飛行機に乗って故郷へ帰りたい

そんなとき私は思います。

塗山先生
塗山先生

また旅行に行きたい。その気持ちが、最高のリハビリになります。

人工股関節のリハビリで本当に大切なのは、筋力トレーニングの回数ではありません。

その先にある「目的」です。


2. 人工股関節の手術はゴールではなくスタート

人工股関節置換術は、変形性股関節症に対する非常に優れた治療です。

近年の人工股関節は耐久性や機能性が大きく向上し、多くの患者さんが痛みの軽減と歩行能力の改善を実感しています。

しかし、手術だけで人生が変わるわけではありません。

手術はあくまでも、

「人生を取り戻すためのスタートライン」

なのです。


3. なぜ旅行が最高のリハビリになるのか?

理由① 目標があると人は動ける

単に

「歩いてください」

と言われるより、

「京都旅行に行くために歩きましょう」

と言われた方が頑張れます。

人間の脳は、

  • 痛みを避けるため
  • 義務だから

ではなく、

  • 楽しみのため
  • 夢のため

に行動するときの方が強い力を発揮します。

理由② 歩行能力の回復につながる

旅行には自然と多くの歩行が含まれます。

  • 駅の移動
  • 観光地の散策
  • 空港での移動
  • ホテル内の移動

つまり旅行は、

人工股関節術後に必要な

  • 持久力
  • バランス能力
  • 歩行能力

を総合的に鍛える目標になります。

理由③ 心の回復につながる

変形性股関節症が進行すると、

痛みだけでなく、

  • 外出を避ける
  • 人に会わなくなる
  • 趣味を諦める

という変化が起こります。

これは身体の問題だけではありません。

人生の楽しみが少しずつ失われていく状態です。

旅行を目標にすることで、患者さんは再び未来を見るようになります。


4. 実際の患者さんのエピソード

50代の女性患者さん。

重度の変形性股関節症で、

「もう旅行は無理だと思っています」

と話されていました。

人工股関節置換術後、リハビリを続ける中で、

私はこう聞いていました。

「旅行はどこへ行きたいですか?」

患者さんは笑いながら、

「北海道です」

と答えていました。

術後6か月。

外来で見せてくださったのは、北海道旅行の写真でした。

そのとき患者さんが言われた言葉を今でも覚えています。

なみさん
なみさん

股関節が治ったこともうれしいですが、また旅行を計画できる自分に戻れたことが一番うれしいです。




5. 人工股関節術後におすすめの旅行時期

患者さんから最も多い質問の一つです。

一般的には、

  • 国内旅行:術後3〜6か月頃
  • 海外旅行:術後6か月以降

が目安となります。

ただし、

年齢
筋力
回復状況
合併症

によって異なるため、主治医と相談することが大切です。


6. リハビリが続かない人へ

もし今、

  • リハビリがつらい
  • モチベーションが上がらない
  • 回復が遅い気がする

そんな気持ちになっているなら、

「何のために歩くのか」

を考えてみてください。

行きたい場所はありませんか?

会いたい人はいませんか?

見たい景色はありませんか?

その答えが、あなたを前に進める力になります。


7. まとめ

塗山先生
塗山先生

また旅行に行きたい。その気持ちが、最高のリハビリになります。

人工股関節置換術の目的は、単にレントゲンをきれいにすることではありません。

本当に大切なのは、

  • 行きたい場所へ行けること
  • 会いたい人に会えること
  • やりたいことができること

です。

歩くために旅行へ行くのではありません。

旅行へ行くために歩くのです。

その目標がある限り、リハビリは単なる訓練ではなく、未来への準備になります。

人工股関節は人生を取り戻すための手術です。

そして、その人生を前へ進める原動力は、

「また旅行に行きたい」

という希望なのかもしれません。

以上、参考になりましたでしょうか!?

では、筋トレ行ってきます。




【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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