おはようございます。
マスク生活により風邪をひく回数が明らかに減った気がする塗山正宏です。
でも、たまにひいちゃいますけどね笑。
今日のテーマは、
人工股関節置換術と表層感染についてです。
人工股関節置換術の合併症のなかに感染症というものがあります。
人工股関節置換術で起こりうる合併症のなかで、最も起きてほしくない合併症です。
感染症というのは、細菌が人工関節の周囲に繁殖することにより発症します。
細菌というのは、異物と壊死組織があると非常に増殖しやすくなります。
人工股関節の感染症が発症すると、抗菌薬を使用しただけでは通常治癒が困難です。
人工関節には血流がないため、抗菌薬を投与するだけでは、抗菌薬が人工関節には届かないために感染症を抑える事が非常に難しいのです。
人工股関節置換術における感染症といっても、実は表層感染と深部感染があります。
表層感染は、皮下組織までの感染症です。
深部感染は、人工関節まで及んでしまう感染症です。
表層感染の状態であれば、溜まった膿を排膿し、抗菌薬を使用すれば改善することが殆どです。
そこには人工関節が無いために改善しやすいです。
採血を行っても、炎症反応(CRP)の数値はさほど上がりません。
発熱も殆ど出ません。
表層感染は早期に対応すればあまり問題にはならないってことですね。
しかし、深部感染になると、そうは問屋が卸しません(涙)。
炎症反応(CRP)は高値になることが多く、発熱(38~39℃)を伴います。
そして、創部からは多量の浸出液や膿が出てきます。
こうなってしまうと、再手術が必要になります。
多量の生理食塩水を使った洗浄を行う必要があります。
感染症の発症初期であれば、インプラントを温存する事が可能な場合もありますが、慢性期の感染では人工関節を抜去する必要性が高くなります。
とても大変そうですよね。。。
実際とても大変です。
入院期間も長くなり、複数回の手術が必要になる場合があります。
メンタル的にも相当落ち込むケースが多くなります。
感染症を起こさないためにも、私は常に細心の注意を払っています。
ただし、細心の注意を払っても感染症の発生率はどうしてもゼロにはなりません。
どうしても一定の確率で起きてしまいます。
ただその確率を少しでもゼロにむけて努力を続けていきます。
感染症に苦しむ方が一人でも増えないために!
創部がおかしいと思ったら早期に病院を受診しましょう!
「エビフリャー!」
エビフライの尻尾も割と食べてしまうことが多い整形外科医の塗山正宏でした。
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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