股関節194 人工股関節置換術をALSの手術方法で行っている理由

手術方法 股関節

おはようございます。
工作といえばノッポさん世代の塗山正宏です。
ノッポさん、亡くなってしまっていましたね…涙。




今日のテーマは、

人工股関節置換術をALSの手術方法で行っている理由についてです。




人工股関節置換術の手術方法には色々あります。

手術を行うための進入法(皮膚を切開する位置)が主に4つあります。

・前方(Direct Anterior Approach)

・前外側(Antero-Lateral Supine Approach、OCM、Mini-One)

・側方(Direct Lateral Approach)

・後方、後側方(Posterior Approach, PosteroLateral Approach)



そして、前方系MIS(Minimally Invasive Surgery)としては、主に3つあります。

・仰臥位前方進入法(DAA:Direct Anterior Approach)

・仰臥位前外側進入法(ALS:Antero-Lateral Supine Approach)

・側臥位前外側進入法(OCM)


私が普段人工股関節置換術で行っているのは、この3つのなかの「仰臥位前外側進入法(ALS)」です。

なぜ私がこの手術方法を選択しているのか。

理由は色々あります。

塗山正宏がALSの手術方法で人工股関節置換術を行っている理由

①仰臥位(あおむけ)であるため、骨盤の位置が安定し、カップを目標の位置に設置しやすい。

②臼蓋カップを設置するために、臼蓋の骨を削る方向が視認しやすい。

③筋肉の間から手術をするため、筋肉に対するダメージが少なく、脱臼リスクを低減できる。

④前方の関節包靭帯(腸骨大腿靭帯)を温存することが出来る。

⑤股関節の後方組織を温存することが出来る。

⑥仰臥位のため、脚長差の確認が行いやすい。

⑦体位変換が必要ないため、両側同時人工股関節置換術が行いやすい。

⑧どんなステムでも挿入することが可能である。

⑨展開が困難である際に別のアプローチに変更可能である。

⑩術中レントゲン撮影が容易である。

⑪助手が一人いればオペを行う事が可能である。

改めて考えてみると、色々な理由がありましたね(笑顔)。

私は人工股関節置換術の手術方法として、

・前方
・前側方
・側方
・後方

これら4種類のすべての手術方法の経験があります。

前方で手術してほしいと言われれば出来ますし、側方で手術してほしいと言われれば出来ますし、後方で手術してほしいと言われれば出来ます。

これらの色々な手術方法を全て経験してきたなかで、やはり仰臥位前外側進入法(ALS)が一番バランスが取れた良い手術方法だと感じています。

やはり全てのアプローチを経験しないと、どの手術方法が良いのかって語る事って出来ないと思いますね。

そして、もし今後より良い手術方法が開発されるのであれば、変更する可能性は全然ありますよ。

常にベストな手術方法で手術を行いたいですからね。

患者さんにとってベストな結果を出すために、最大の努力するのが私の役目ですから!

ゴールは無いと思っています(笑顔)。




常にベストな手術方法を目指していくのが私のスタイル。

「手術はハートで行うもの!」

向上心は貪欲に持ち続けている整形外科医の塗山正宏でした。


【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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