股関節228 人工股関節置換術の合併症

合併症 股関節

おはようございます!
朝起きたら、身長が2mくらいになっていたら汗がとまらない気がする塗山正宏です。
身長が2mだったらとりあえずバスケットボールの選手になりますね!



今日のテーマは、

人工股関節置換術の合併症についてです。



人工股関節置換術は整形外科の中でも非常に優れた手術のひとつです。

しかし、手術に伴う合併症がないわけでありません。

どの合併症も確率は低いのですが、いくつかの合併症が存在します。



今回は主な人工股関節置換術の合併症を列挙してみましょう。

出血:当然皮膚や皮下脂肪を切開し、さらに骨を切除しますので出血が起こります。必要に応じて、手術前から患者さんご自身の血液をあらかじめ貯めておき、手術時に体内に戻します(自己血輸血をする場合があります)。

感染症:術後に人工股関節に細菌感染を起こした場合には、再手術の可能性があります。場合によっては人工股関節を抜去する場合があります。

脱臼:万が一、人工股関節が脱臼した場合には鎮静剤を使用し、眠った状態にしてから脚を引っ張り整復します。整復が困難であれば再手術をする可能性があります。また、脱臼を繰り返す場合にも再手術をする可能性があります。

人工関節のゆるみ、摩耗:時間の経過と共に、人工関節のゆるみが生じる可能性があります。場合によっては人工関節の入れ替えの再手術が必要になるかもしれません。ただし、人工股関節の耐久性が非常に向上しているため、ゆるみが発生する可能性は非常に低くなっています。

深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症:下肢の静脈に血の塊(血栓)ができて血管をふさいでしまうことがあります(深部静脈血栓症)。血栓が何かの拍子にはがれて、血流に乗って肺まで到達し、肺の血管をふさいでしまうのが肺血栓塞栓症です。肺の血管がふさがると、血液ガスの交換がうまくおこなわれず、呼吸困難や胸の痛みを感じるようになります。まれに命を脅かす重篤な症状を引き起こす可能性があります。

脚の長さの差:可能な限り脚の長さを揃えますが、若干脚の長さの差が残る場合があります。

神経障害:術後神経の障害に伴う痺れ、筋力の低下が起こる場合があります。大腿神経麻痺は予後良好ですが、坐骨神経麻痺は、麻痺が残存してしまう可能性があります。

大腿部痛:大腿部のだるさ、違和感、鈍痛、などがしばらく発生する場合があります。

術中、術後骨折:手術中に骨盤や大腿骨に骨折が発生する場合があります。術中に骨折が発生した場合には追加で骨折部を固定する処置を行う場合があります。また、術後に骨折が発生し、再手術が必要になる場合もあります。骨粗鬆症があると、骨折の発生リスクが高くなりますので要注意です。

創部の腫脹、熱感:術後1か月程度は創部の腫脹や熱感が続きます。術後熱感や腫脹が続く間は、創部周囲のアイシングをしましょう。

発熱:術後しばらく手術の影響で微熱が続く事があります。時間と共に熱が下がってきます。

予期しない合併症:手術によって内科的な合併症などの予期しない合併症が発生する可能性があります。

というわけで、色々な合併症が発生する可能性はありますが、どれも確率は非常に低いものなので必要以上に怖がる必要はないかと思いますよ!


人工股関節置換術の合併症には色々なものがある。

「え、ふざけてませんけど?」

タケコプターで空を飛んでみたい整形外科医の塗山正宏でした。



【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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