おはようございます!
手の怪我には人一倍敏感な塗山です。
怪我したら人生終わり!って思ってます笑。
今回のテーマは、
人工股関節置換術と弾発股についてです。

弾発股って聞いた事ありますか?

そんなの知らないわ…
人工股関節置換術と弾発股—その関係と対策
みなさん、お待たせしました。
整形外科医の塗山正宏がちょっとだけ蘊蓄と書いて「うんちく」を披露する時間がやってまいりました。
では、始めていきましょう!
人工股関節置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)は、股関節の痛みや機能障害を改善するための効果的な手術です。
しかし、一部の患者さんで術後に「弾発股」(Snapping Hip)と呼ばれる症状が発生することがあります。
この記事では、人工股関節置換術と弾発股の関係、原因、診断方法、そして対策について整形外科医の塗山正宏が腰を据えて解説します。
1. 弾発股とは?
弾発股は、股関節周囲で「クリック音」や「弾くような感覚」を伴う症状を指します。主に以下の3つのタイプに分類されます:
- 外側型弾発股: 大転子上を大腿筋膜張筋または腸脛靭帯が滑ることで生じる。
- 内側型弾発股: 腸腰筋腱が寛骨臼縁や人工股関節のカップと接触することで発生。
- 関節内型弾発股: 関節内の骨棘や遊離体などが原因で発生。
2. 人工股関節置換術と弾発股の関係
人工股関節置換術後の弾発股は主に内側型に分類されます。
この症状は腸腰筋腱が寛骨臼縁や人工関節のカップの前縁に接触することで引き起こされることが原因になります。
(1) 術後に弾発股が起こる理由
- 人工股関節の設置位置: カップの前方突出が大きい場合、腸腰筋腱への摩擦が増加する。
- 腸腰筋腱の過緊張: 手術後の歩行パターンの変化や筋力バランスの乱れ。
- 炎症反応: 術後の腸腰筋周囲で炎症が起きやすく、これが症状を悪化させる。
(2) 発生頻度
研究によると、人工股関節置換術後の弾発股の発生率は1–10%程度とされています(文献1)。
3. 診断方法
(1) 問診と身体診察
患者さんの症状の詳細を聞き取り、股関節の動作でクリック音や不快感を再現することで診断を行います。
(2) 画像診断
- X線検査: 人工関節の設置の状態や骨形態の確認。
- 超音波検査: 腸腰筋腱の動きや炎症の有無を評価。
- CT:人工股関節のカップの設置状態や遊離体や骨片の有無の確認。
- MRI: 股関節周囲の軟部組織の評価。
4. 弾発股の治療と対策
(1) 保存的治療
- 理学療法
- 腸腰筋のストレッチと筋力強化。
- 歩行指導や姿勢改善。
- 薬物療法
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で痛みや炎症を緩和。
(2) 手術療法
保存的治療で改善が見られない場合、手術が検討されます。
- 腸腰筋腱の部分切離術: 腱を緩めることで摩擦を減少。
- インプラントの再置換: 人工股関節のカップの突出が大きい場合に行われます。
(3) 術後のフォローアップ
- 定期的な診察で症状の進行や改善を評価。
- 適切なリハビリテーションを継続することが重要。
5. 弾発股を予防するためのポイント
- 手術前の評価
- 腸腰筋腱の状態を確認し、術後リスクを低減。
- 腸腰筋腱の状態を確認し、術後リスクを低減。
- 適切な人工関節の選択と設置
- 患者さんの解剖学的特徴に合わせたインプラントの選択。
- 患者さんの解剖学的特徴に合わせたインプラントの選択。
- 術後リハビリの徹底
- 腸腰筋の柔軟性向上と筋力バランスの改善を重視。
- 腸腰筋の柔軟性向上と筋力バランスの改善を重視。
6. 関連文献
- Kao, J. T., et al. (2009). “Iliopsoas Tendonitis After Total Hip Arthroplasty.” Journal of Arthroplasty, 24(1), 119-123.
→ 人工股関節置換術後の腸腰筋腱炎と弾発股の関連性を検討。 - Zalzal, P., et al. (2004). “Snapping Hip: Clinical Examination and Operative Treatment.” Journal of Bone and Joint Surgery, 86(1), 15-21.
→ 弾発股の臨床診断と治療法に関する包括的なレビュー。 - Rakhra, K. S., et al. (2013). “Imaging the Snapping Hip.” Clinical Radiology, 68(9), 914-921.
→ 弾発股の画像診断技術に焦点を当てた文献。
7. まとめ
人工股関節置換術は多くの患者さんにとって痛みの軽減と機能回復をもたらす素晴らしい手術ですが、弾発股のような術後合併症が発生する可能性があります。
適切な診断と治療を行うことで、多くのケースで症状を改善することができます。
患者さんごとに最適な対応を検討し、術後も快適な生活を送れるようサポートすることが重要です。
以上、人工股関節の術後の弾発股についてお知らせしました!
参考になれば幸いです。
では、また!
人工股関節置換術後に弾発股の症状が発生する場合あり!

「サイゼリヤのチキンソテー!」
サイゼリヤに行ったら必ずチキンソテーを食べる事にしている整形外科医の塗山正宏でした!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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