股関節341 人工股関節置換術とテニス

テニス 股関節

おはようございます!
テニスは全然できない塗山です笑。
やったことはありますけどね!




今回のテーマは、

人工股関節置換術とテニスについてです。





塗山先生
塗山先生

みなさん、テニス好きですか?

もみじさん
もみじさん

昔はテニスをやっていたわ…



こんにちは、整形外科医の塗山正宏です。

今回は、「人工股関節置換術とテニス」について解説します。

人工股関節置換術(THA: Total Hip Arthroplasty)は、変形性股関節症や大腿骨頭壊死症などにより、股関節の痛みや可動域制限が強くなった場合に非常に有効な手術です。

しかし、スポーツ愛好家の中には、「手術後にまたテニスができるのか?」と心配される方も多いでしょう。

この記事では、人工股関節置換術後のテニス再開の可否、注意点、リスクについて、最新のエビデンスを踏まえて整形外科医の塗山が優しすぎる笑顔でわかりやすくご紹介します。


1. 人工股関節置換術後にテニスは可能か?

結論から言うと、人工股関節置換術後でもテニスは可能です。

実際、多くの患者さんが、適切なリハビリを経て術後6か月〜12か月でテニスに復帰しています。

特にレクリエーションレベル(友人との軽い試合やラリー)であれば、再開は十分可能です。(Mont MA,2014)

ただし、競技レベル(ハードな試合、トーナメント出場)を目指す場合には、いくつかの重要なリスクも存在しますので注意が必要です。


2. テニスの特性と股関節への負担

テニスは、

  • ダッシュとストップ
  • ジャンプと着地
  • 切り返し動作(サイドステップ)
  • 体幹の捻り動作

といった動きを繰り返すスポーツです。

これらの動作は、股関節に圧縮力だけでなく、せん断力(ずれる力)を生じさせ、人工関節に負担をかける可能性があります。

特に、脱臼リスクと、インプラント摩耗のリスクが問題となります。


3. 人工股関節術後のテニス復帰におけるリスク

術後にテニスを行う際に注意すべきリスクは以下の通りです。

1. 脱臼リスク

特に術後1年以内は、無理な体勢での打球や急激な方向転換で脱臼を起こすリスクがあります。(Crowninshield RD,2006)

2. インプラントの摩耗・緩み

強い衝撃や繰り返しの負荷により、人工股関節のライナー(特にポリエチレンライナー)が徐々に摩耗し、インプラントの寿命を短くする可能性があります。

3. 筋力・柔軟性の低下による負傷

股関節周囲の筋力が不十分な状態で無理をすると、腰痛や膝の痛みなどの二次的な障害を招きやすくなります。


4. 安全にテニスを再開するためのポイント

1. 主治医とリハビリ担当者の許可を得る

術後のリハビリ経過や股関節の安定性を確認し、主治医の許可が下りてからプレーを開始しましょう。

2. ダブルスから始める

最初は、運動量が比較的少ないダブルスからスタートし、徐々に体を慣らしていくのが理想です。

3. クレーコートやオムニコートを選ぶ

ハードコートよりも、足腰への負担が少ないクレーコートやオムニコートでプレーすることが勧められます。

4. 適切なウォーミングアップとクールダウン

股関節周囲の筋肉をしっかり温め、終わった後もストレッチやアイシングを欠かさず行いましょう。

5. 無理をしない

痛みや違和感を感じたらすぐに中止し、休息を優先しましょう。


5. 参考文献

・Crowninshield RD, Maloney WJ, et al. Patient demographics and the evolution of hip arthroplasty. J Bone Joint Surg Am. 2006.

・Mont MA, Issa K, et al. Sports participation following total hip arthroplasty. J Am Acad Orthop Surg. 2014;22(6):365-371.


6. まとめ

人工股関節置換術後でもテニスは可能です。

しかし、復帰には慎重さと段階的なトレーニングが求められます。

適切なリハビリと医師の指導のもと、安全にスポーツを楽しむことができます。

もう一度コートに立ちたい」と願う皆さんを、私は全力でサポートします。

以上、参考になりましたでしょうか?

術後のリハビリを頑張ってテニスに復帰しましょう!

では、また!


人工股関節置換術の術後のリハビリをしっかりやって段階的にテニスに復帰しましょう!

相撲

「うっちゃり~♪」

来世は力士になるかもしれないとこっそり思っている整形外科医の塗山でした!



【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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