股関節368 大腿骨頚部骨折と骨粗鬆症

大腿骨頚部骨折 股関節

おはようございます!
骨折はまだ一度しかしたことがない塗山です。






今回のテーマは、

大腿骨頚部骨折と骨粗鬆症についてです。




塗山先生
塗山先生

大腿骨頚部骨折は知ってますか?

やえこさん
やえこさん

骨折は怖いわ…



1.転倒は“きっかけ”、骨粗鬆症は“黒幕”

こんにちは。整形外科医の塗山正宏です。

外来でよく聞く言葉のひとつに、

ちょっと転んだだけなのに折れちゃいました……

というものがあります。

しかし、私はこう心の中でつぶやいています。

塗山先生
塗山先生

転倒は犯人ではありません。真犯人は骨粗鬆症です

今日は、大腿骨頚部骨折と骨粗鬆症の“切っても切れない関係”について、医学的根拠と少しのユーモアを交えてお話しします。





2.大腿骨頚部骨折とは?

大腿骨(太ももの骨)の付け根部分が折れる骨折で、高齢者に多く、一度骨折すると以下を招きます。

  • 歩行能力の低下
  • 寝たきりのリスク
  • 認知機能の低下
  • 合併症の増加

実際、大腿骨頚部骨折の約90%は転倒が原因と言われています。
(Parkkari J et al., Lancet 1999)

ただし、“転倒=折れる”ではありません。
同じように転んでも骨折する人としない人がいますよね?

そこに関わるのが……そう、骨粗鬆症です。



3.骨粗鬆症は“静かに進む”骨の病気

骨粗鬆症では、骨密度が低下し、骨がスカスカになります。

  • 痛みなく進む
  • 気づいたときには骨折後
  • 女性に多い(閉経後の急激な骨量低下)
  • 男性でも加齢で発症

骨粗鬆症は“沈黙の病気”ですが、骨折した瞬間に存在が判明し…
まるで犯行声明を出すかのように存在を主張してきます。




4.骨粗鬆症があると、どうして折れやすいのか?

骨密度が低いと、外力への耐性が低下します。

●スカスカの骨 → 衝撃を吸収できない

わずかな転倒でも骨が耐えられず、骨折に。

●骨梁(骨を支える柱)が減少

骨の内部構造そのものが弱くなる。

●筋力低下・バランス低下も併発

骨粗鬆症の方は、筋量減少(サルコペニア)とセットで起きやすく、転倒リスクも上昇します。(Cruz-Jentoft et al., Age Ageing 2010)

つまり、骨粗鬆症は、折れやすい骨+転びやすい身体という“二刀流”で攻めてくるのです。




5.大腿骨頚部骨折を予防するには?

結論から言うと、骨粗鬆症の治療が最重要ポイントです。

🦴① 骨を強くする治療

骨粗鬆症ガイドラインで推奨される薬剤には:

  • ビスホスホネート(第一選択)
  • デノスマブ
  • テリパラチド
  • ロモソズマブ
  • SERM(女性のみ)

などがあります。

特にビスホスホネートは大腿骨頚部骨折リスクを約40%低減させるという報告があります。
(Black DM et al., JAMA 2007)

💪② 筋力トレーニング

大腿四頭筋・殿筋を鍛えることで転倒予防になります。

  • 椅子からの立ち上がり運動
  • スクワット(痛みのない範囲で)
  • チューブトレーニング

🚶③ 適度な運動

ウォーキング、太極拳、ステップ運動は特に効果的。
(Sherrington C et al., Br J Sports Med 2017)

🍽️④ 食事管理

  • カルシウム:800〜1000mg/日
  • ビタミンD:800IU程度
  • タンパク質の摂取強化

🏡⑤ 家庭環境の整備

  • カーペットの段差をなくす
  • 暗い廊下に照明を
  • 手すり設置

つまずきポイントを排除しましょう。


6.もし大腿骨頚部骨折が起きたら?

治療の基本は手術です。

  • スクリュー固定
  • 人工骨頭置換術
  • 人工股関節置換術(THA)

骨折の状態によって適切な方法を選びます。

術後は早期離床が極めて重要。

塗山先生
塗山先生

布団と仲良くしすぎると、
足がますます仲良くなって動かなくなりますよ!

という、あまり嬉しくない現象が起きます。



7.参考文献

日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2023」

Parkkari J, et al. Hip fractures related to fall mechanisms. Lancet. 1999.

Black DM et al. Bisphosphonates and fracture risk. JAMA. 2007.

Cruz-Jentoft AJ, et al. Sarcopenia: European consensus. Age Ageing. 2010.

Sherrington C et al. Exercise for falls prevention. Br J Sports Med. 2017.



8.整形外科医の塗山からひとこと

大腿骨頚部骨折は、“転倒”という犯行現場は派手でも、“骨粗鬆症”という黒幕はとても静かです。

整形外科医塗山の仕事は、骨折という事件の背後に潜む真犯人(骨粗鬆症)を捕まえることです。

そして、骨粗鬆症は治療できます。

治療を始めた瞬間、骨は必ずあなたの味方になります。

転倒しないことも大切ですが、転んでも折れない強い骨を作ることが最も重要です。

以上、参考になりましたでしょうか!?

では、また!


大腿骨頚部骨折の裏には必ず骨粗鬆症が隠れているので要注意ですよ!

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ゲームに課金したくなるけどぐっと我慢して結局課金しない整形外科医の塗山正宏でした!

【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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