おはようございます!
何事にも全力で取り組む方針の塗山です!
今回のテーマは、
人工膝関節置換術後の可動域訓練についてです。
とりあえず可動域訓練の話をしましょうか!
え?リハビリの話?
人工膝関節置換術後の可動域訓練:成功するリハビリの鍵
こんにちは。整形外科医の塗山正宏です。
今回は、人工膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty:TKA)を受けた患者さんにとって非常に重要なリハビリプロセスである「可動域訓練」についてお話しします。
このリハビリは、術後の回復を促進し、日常生活への早期復帰を目指すための不可欠なステップです。
1. 人工膝関節置換術後の可動域訓練とは?
人工膝関節置換術後、膝関節が硬くなり、動きに制限が生じることがよくあります。
これは、手術による膝関節周囲の組織の損傷や、長期間の膝の変形に起因するものです。
可動域訓練は、この硬さを改善し、膝関節の柔軟性と運動範囲を最大限に回復させるためのリハビリテーションです。
可動域とは?
可動域(Range of Motion:ROM)とは、関節がどれだけ自由に動くかを示す指標です。
人工膝関節手術後、膝がどれだけ曲げ伸ばしできるかを高めることが、日常生活に戻るための重要な目標になります。
2. 可動域訓練が重要な理由
術後の早期回復において、膝の可動域を維持し、拡大することは非常に重要です。
なぜなら、膝関節が固まってしまうと、関節拘縮と呼ばれる状態に陥り、膝を十分に動かせなくなるからです。
これを防ぐためにも、手術後すぐに適切なリハビリを始めることが推奨されています。
- 柔軟性の向上:膝関節が柔軟に動くことで、日常生活の動作が楽になります。
- 筋力強化:可動域訓練を通じて、膝周囲の筋肉も強化され、歩行や階段昇降がスムーズに行えるようになります。
- 痛みの軽減:可動域を広げることで、膝関節への圧力が分散され、痛みが軽減される場合があります。
3. 人工膝関節置換術後の可動域訓練のタイミング
人工膝関節置換術の直後から、早期にリハビリを開始することが推奨されます。
術後数日以内に、理学療法士の指導の下、軽いストレッチや膝の動きを促すエクササイズが始まります。
早期に始めることで、拘縮を予防し、術後の回復がスムーズに進みます。
4. 可動域訓練の具体的な方法
可動域訓練には、いくつかのエクササイズが含まれます。以下に、代表的な訓練を紹介します。
1. アクティブな膝の曲げ伸ばし運動
術後最初の段階では、ベッドに仰向けになり、膝をできるだけ曲げたり伸ばしたりする運動を行います。
最初は少しずつ曲げ伸ばしを行い、無理のない範囲で可動域を広げていきます。
2. 脚を台に乗せたストレッチ
椅子に座り、足を台に乗せ、膝を伸ばした状態を保つストレッチです。この姿勢を維持することで、膝裏の筋肉がストレッチされ、可動域が広がります。
3. ペダリング運動
固定された自転車を使ったペダリング運動は、膝の可動域を広げるだけでなく、心肺機能の向上や脚の筋力強化にも効果的です。初めはペダルを完全に回せなくても、少しずつ範囲を広げていくことが重要です。
4. ハムストリングと四頭筋のストレッチ
膝の周囲の筋肉、特にハムストリング(太ももの裏)や大腿四頭筋(太ももの前)の柔軟性を保つことも大切です。これらの筋肉が硬くなると、膝の動きが制限されやすいため、定期的なストレッチが必要です。
5. 自宅でできる可動域訓練
術後、自宅で行える簡単なエクササイズもあります。
自宅でのリハビリは、病院での指導を受けながら、自分のペースで継続して行うことが大切です。
- タオルを使った膝の曲げ運動:座った状態で足の裏にタオルをかけ、膝を曲げる動きをサポートします。
- 壁を使ったストレッチ:壁に向かって立ち、膝をゆっくりと壁に近づけていくことで、ストレッチ効果を得られます。
6. 可動域の目標
人工膝関節置換術後、目標とされる膝の曲げ角度は120度程度が一般的です。
これにより、日常的な動作(椅子に座る、階段を昇り降りするなど)が快適に行えるようになります。
もちろん、目標は患者さんの状態や手術前の膝の状態によって異なりますので、個別の目標設定が重要です。
7. 注意点とアドバイス
可動域訓練を進める中で、無理をしないことが大切です。
痛みを我慢して無理に関節を動かすと、炎症を悪化させる可能性があります。
痛みを感じたらリハビリ担当者や医師に相談し、適切なペースでリハビリを進めましょう。
また、リハビリが順調に進んでも、完全な回復には数か月~1年程度はかかります。
焦らず、日々の訓練を積み重ねていくことが成功への鍵です。
まとめ
人工膝関節置換術後の可動域訓練は、術後の回復を左右する重要なリハビリプロセスです。
正しい方法でリハビリを進めることで、膝の柔軟性を取り戻し、日常生活に復帰できるようになります。
もしリハビリに関して不安や疑問があれば、担当医や理学療法士に相談しましょう。
とにかく焦りは禁物。
焦らず気長にリハビリを続けていくことが何よりも大事です。
私はいつだって応援していますよ!
ふぁいと~~♪
人工膝関節置換術の可動域訓練は継続することが何よりも大事。
「みなさん、跳び箱やってますか?」
まだ跳び箱は飛べそうな気がするけど実は飛べないかもしれないと怯えている整形外科医の塗山正宏でした!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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