膝関節185 人工膝関節置換術と術後の疼痛コントロール

疼痛コントロール 膝関節

おはようございます!
たびたび腰痛に襲われたりする塗山です。
かれこれ中学生の時から!長い!





今回のテーマは、

人工膝関節置換術と術後の疼痛コントロールについてです。




塗山先生
塗山先生

痛みっていうワードは嫌ですよね…

みつりさん
みつりさん

術後の痛みがどれだけあるのか怖いのよ…

さぁさぁさぁ、今日も張り切っていきますよ!

整形外科医の塗山正宏ですよ!

人工膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty: TKA)は、変形性膝関節症や関節リウマチによる重度の膝関節障害を解消し、生活の質(QOL)を向上させるための重要な手術です。

しかし、術後の疼痛コントロールは患者の早期回復やリハビリテーションの成功に影響を与える重要な要素です。

本記事では、人工膝関節置換術後の疼痛管理の方法や最新の研究成果について整形外科医の塗山正宏が笑顔解説していきます。


術後疼痛のメカニズム

人工膝関節置換術後の疼痛は、主に以下の要因によって生じます。

  1. 組織の損傷
    手術中に軟部組織や骨を切開することで炎症が生じ、疼痛が発生します。

  2. 炎症反応
    術後の炎症は、痛みや腫れの主な原因となります。この炎症反応は、術後早期から数週間以上続く傾向があります。

  3. 中枢および末梢感作
    術後の痛みによる神経の感作は、痛覚が過敏になる状態を引き起こすことがあります。


術後疼痛管理の重要性

術後の疼痛を適切にコントロールすることで、以下のような効果が期待されます。

  • 早期離床やリハビリの促進
    痛みが軽減されることで、患者さんは積極的に歩行訓練や筋力トレーニングに取り組むことができます。

  • 患者満足度の向上
    疼痛管理が不十分だと患者さんの満足度が低下し、手術そのものの評価にも影響します。

  • 慢性痛の予防
    術後早期に疼痛を適切にコントロールすることで、慢性的な痛みの発生を抑えることができます。


術後疼痛コントロールの方法

1. 薬物療法

術後疼痛管理の中心となるのは、適切な薬物療法です。

  • マルチモーダル鎮痛法
    複数の作用機序を持つ薬剤(NSAIDs、アセトアミノフェン、オピオイドなど)を組み合わせて使用します。

  • 関節周囲カクテル注射
    手術中に関節周囲に局所麻酔薬を含めて複数の鎮痛薬を注射することで、術後早期の痛みを効果的に軽減します。

  • オピオイドの使用とリスク管理
    強い痛みにはオピオイドが使用されますが、依存や副作用を防ぐため、使用量と期間を厳密に管理します。

2. 神経ブロック

  • 大腿神経ブロック
    大腿神経への局所麻酔薬の注入により、術後の疼痛を効果的に抑えます。

  • 末梢神経ブロック
    坐骨神経ブロックやその他の末梢神経をターゲットにしたブロック法も、疼痛管理に有効です。

3. リハビリテーションの工夫

  • 早期離床と可動域訓練
    術後の動きを促進することで、痛みの軽減と筋力維持を目指します。

  • 冷却療法
    手術部位を冷却することで、炎症を抑え、疼痛を軽減します。

4. 患者教育

術後の疼痛やその管理方法について、患者さんが十分に理解することは、術後の安心感と疼痛緩和につながります。


最新の研究とエビデンス

  1. Kehlet H, et al. (1993). “Multimodal strategies to improve surgical outcome.” Annals of Surgery.
    マルチモーダル鎮痛法の有効性が初めて提唱され、術後疼痛の総合的管理の重要性が示されました。
  2. Koh IJ, et al. (2019). “Effectiveness of femoral nerve block in total knee arthroplasty.” Journal of Arthroplasty.
    大腿神経ブロックは、術後初期の疼痛を大幅に軽減し、リハビリの進行を促進することが確認されています。
  3. Kehlet H, Jensen TS, et al. (2006). “Persistent postsurgical pain: risk factors and prevention.” The Lancet.
    術後の慢性疼痛を予防するための要因と戦略について解説しています。

まとめ

人工膝関節置換術後の疼痛コントロールは、患者さんの早期回復と手術成功の鍵となる重要な要素です。

薬物療法、関節周囲カクテル注射、神経ブロック、冷却療法などの様々な方法を組み合わせることにより、痛みを効果的に管理し、患者さんの満足度を向上させることができます。

医療チームと患者さんが協力して、最善の術後ケアを目指しましょう。

とにかく術後の疼痛コントロールは疼痛が慢性化しないためにも、とても重要です。

痛みのない膝を目指していきましょう!

目指せ、No Pain!


人工膝関節置換術の術後疼痛コントロールはとても重要です!

サムギョプサル

「サムギョプサル!!」


たまにサムギョプサルを食べたくなる気がするけど結局食べない整形外科医の塗山正宏でした!


【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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