おはようございます!
手の怪我は絶対しないようにしている塗山です。
手を怪我したら外科医としての人生終わりなんで!
今回のテーマは、
外反膝の人工膝関節置換術についてです。

外反膝って聞いた事ありますか?

ないですなぁ~。
外反膝(ノックニー)の人工膝関節置換術
こんにちは。整形外科医の塗山正宏です。
人工膝関節置換術(TKA: Total Knee Arthroplasty)は、変形性膝関節症に対する根本的な治療法です。
なかでも外反膝(がいはんしつ)=ノックニーを伴う症例では、通常のTKAよりも手術の難易度が高く、術前計画と靱帯バランスの調整が特に重要になります。
本記事では、「外反膝の人工膝関節置換術」について、整形外科医の塗山正宏が術者としての視点と文献的エビデンスを交えながら笑顔で詳しく解説していきます。
✅ 外反膝(valgus knee)とは?
外反膝とは、膝関節が湾曲し、膝が内側に寄って見える状態を指します。いわゆる“X脚”で、内側よりも外側の軟骨がすり減ることで生じる変形です。
- 膝外側の靱帯(外側側副靭帯、膝窩筋腱 )や関節包が拘縮
- 膝内側の内側側副靭帯が拘縮しにくいため、靱帯バランスが崩れやすい
- 重症化すると歩行障害や不安定感が強くなります
📘 Ranawat CS et al. J Bone Joint Surg Am. 2005; 87(11): 2249–2256
→ 外反膝人工膝関節置換術症例の中でも中等度(10〜20度)外反変形が最も頻度が高いと報告。
🛠 外反膝に対する人工膝関節置換術の特徴
🩺 術前の評価と画像診断
- 立位X線像(長軸アライメント)による角度評価が重要
- FTA(大腿脛骨角)が170度未満であれば中等度以上の外反膝
- CTやMRIで骨欠損や靱帯断裂の有無を評価
⚙ 術中のポイント
項目 | 注意点 |
---|---|
大腿骨遠位骨切り | 外側の骨欠損がある場合は要注意 |
脛骨骨切り | 内側の安定性が重要 |
軟部組織のバランス | 外側の過緊張を適切に開放し、内側を安定化 |
拘縮・変形の程度によってインプラント選択 | 半拘束型やヒンジ型の検討も必要 |
📘 Bellemans J et al. J Arthroplasty. 1999; 14(3): 339–346
→ 外反膝のTKAでは、90%以上の症例で外側靱帯の軟部組織リリースが必要。
🎯 外反膝TKAにおけるインプラント選択
外反膝は、軟部組織の不均衡が強く、脱臼や不安定性のリスクが高いため、より安定性の高いインプラントを選択することがあります。
インプラント | 適応 |
---|---|
CR(Cruciate Retaining)型 | 軽度の変形で靱帯が健常な場合 |
PS(Posterior Stabilized)型 | 中等度の外反でPCL機能が低下している場合 |
CCK(Condyle Constrained Knee)型 | 靱帯不全や高度変形例で使用される拘束型 |
ヒンジ型 | 多靱帯損傷や重度の不安定性がある症例に限定的使用 |
⚠ 外反膝TKAの術後合併症リスクとその対策
合併症 | 原因 | 対策 |
---|---|---|
不安定性 | 外側靱帯の過剰リリース | リリース量の調整と適切なインプラント選択 |
再外反変形 | 骨欠損の温存不足 | 適切な骨移植またはスペーサー使用 |
膝蓋骨のマルアライメント | 外側構造のタイト | Patellar tracking の確認 |
📘 Krackow KA et al. Clin Orthop Relat Res. 1991; (273): 199–205
→ 外反膝人工膝関節置換術での再変形は術中の靱帯調整不足と骨欠損放置が大きな要因。
📈 術後の成績とリハビリテーション
外反膝に対する人工膝関節置換術は術後満足度は高い一方、正確なアライメント修正と軟部組織のバランスが前提条件です。
- 術後3〜6ヶ月で筋力と可動域の改善が期待
- 外側広筋の強化と、内外側バランス訓練が重要
📝 まとめ
十分な術前評価と軟部組織のリリース戦略を立てることが、良好なアライメントと膝関節の機能の獲得につながります
外反膝に対する人工膝関節置換術は、通常の人工膝関節置換術とは異なる手術的工夫が必要です。
靱帯バランス、骨欠損、インプラント選択など総合的なマネージメントが必要で、それらが成績を大きく左右します。
以上、参考になりましたでしょうか?
今日はマニアックでちょっと難しい話でしたね!笑。
失礼いたしました!
では、さらば!
外反膝に対する人工膝関節置換術は難易度が高いので要注意!

「大盛焼きそば!!」
お祭りでは焼きそばを食べたくなる気がする整形外科医の塗山正宏でした!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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