「千里の道も一歩から」
老子
こんにちは、整形外科医の塗山正宏ですよ~。
私は日々、人工股関節置換術や人工膝関節置換術を行っています。
その中で常に患者さんにお伝えしているのが、
「術後のリハビリは一度に大きな成果を求めるものではなく、小さな積み重ねの継続が何より大切」
ということです。
ここで、老子の言葉を引用したいと思います。
「千里の道も一歩から」
この格言は、どんなに遠い道のりも、まずは一歩を踏み出すことから始まるという意味です。
人工関節手術のリハビリもまさに同じです。
人工関節手術と「一歩の重み」
手術直後は、「本当に歩けるようになるのだろうか」と不安に感じる方も少なくありません。
しかし、最初の一歩、数メートルの歩行練習から始まり、少しずつ筋力が戻り、やがて階段の昇降や屋外での散歩ができるようになっていきます。
このプロセスは、まさに「千里の道も一歩から」という言葉の体現です。
最初の一歩を恐れず踏み出すこと、そしてその歩みを止めずに継続することが、最終的に大きな成果へとつながります。
リハビリにおける「小さな積み重ね」
人工股関節や人工膝関節のリハビリでは、日々の地道な運動療法が欠かせません。
例えば、
- 関節の可動域訓練(股関節・膝関節を固まらせないための運動)
- 筋力トレーニング(大腿四頭筋や殿筋の強化)
- 歩行練習(杖や歩行器から始め、最終的には独歩へ)
これらをコツコツと継続していくことが、術後の回復に直結します。
文献的な裏付け
人工関節手術後のリハビリ効果については、多くの研究で報告されています。
例えば、Riesら(2003年, Clinical Orthopaedics and Related Research)は、術後の早期リハビリテーションが筋力回復と歩行能力の改善に有効であることを示しました。
また、Minns Loweら(2009年, Cochrane Review)は、理学療法や運動療法が人工関節置換術後の機能回復に有益であると結論づけています。
まとめ
老子の「千里の道も一歩から」という言葉は、人工関節手術後のリハビリにそのまま当てはまります。最初は小さな一歩であっても、その積み重ねが数か月後には大きな成果となって現れます。
私は整形外科医として、患者さん一人ひとりがその「一歩」を大切にし、日々の努力を継続できるようサポートしていきたいと思っています。
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医


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