股関節292 人工股関節置換術と転倒

転倒 股関節

おはようございます!
1週間これしか食べられないならカレーライスを選ぶ気がしている塗山正宏です。
ライスカレーじゃなくてカレーライス派。






今回のテーマは、

人工股関節置換術と転倒についてです。




塗山先生
塗山先生

転倒は誰であろうと一生気をつけなければいけません!

全国の股関節の痛みに悩まされている皆様、大変お待たせしました!

こんにちは、整形外科医の塗山正宏です。

今回は「人工股関節置換術と転倒」についてお話しします。

人工股関節置換術(THA:Total Hip Arthroplasty)は、痛みを軽減し、股関節の機能を改善するための効果的な手術ですが、術後の転倒リスクについても注意が必要です。

このブログ記事では、転倒のリスク要因、予防策、および対策について整形外科医塗山が笑顔で優しく説明します。


人工股関節置換術の概要

人工股関節置換術は、変形性股関節症や関節リウマチ、外傷による股関節の損傷などに対して行われる手術です。

損傷した股関節を人工関節に置き換えることで、痛みを軽減し、股関節の機能を回復させます。

人工股関節の構造

人工関節は通常、金属、セラミック、またはプラスチックで作られています。

人工股関節は、大腿骨側のステムと、骨盤側のソケットで構成されており、これらの部品が滑らかに動くことで股関節の機能を代替します。




1. 筋力の低下

手術後は筋力が一時的に手術の影響で低下します。

特に、股関節周囲の筋肉が弱くなると、バランスを保つ能力が低下し、転倒のリスクが高まります。

2. バランス感覚の低下

高齢者や手術後の患者さんは、バランス感覚が低下することがよくあります。

バランス感覚の低下は、転倒のリスクを増加させる要因の一つです。

3. 痛みや違和感

術後の痛みや違和感は、歩行や動作を不安定にすることがあります。

痛みを避けようとする動作が、結果として転倒を引き起こすことがありますので注意する必要があります。

4. 環境要因

家庭内の環境や日常生活の中での障害物(カーペットの端、コード、滑りやすい床など)も、転倒のリスクを高める要因となります。

そのため、術後は家庭内の環境整備が重要です。

5. 薬の副作用

一部の鎮痛薬やその他の薬剤は、めまいやふらつきを引き起こし、転倒リスクを増加させることがあります。




1. リハビリテーション

筋力トレーニング

術後のリハビリテーションは、筋力の回復に非常に重要です。

特に股関節周囲の筋肉(大腿四頭筋、ハムストリング、臀筋)を強化するトレーニングを行うことで、安定性を向上させます。

バランストレーニング

バランス感覚を改善するためのトレーニングも重要です。理学療法士の指導のもとで、バランスボードや片足立ちなどのエクササイズを取り入れると良いでしょう。

2. 環境整備

家庭内の安全対策

家の中の障害物を取り除き、滑りやすい床には滑り止めマットを敷くなどの工夫をしましょう。

階段や浴室には手すりを取り付けることも有効です。

適切な照明

適切な照明は転倒防止に重要です。

特に夜間の移動時に、十分な明るさを確保することで転倒のリスクを減らすことができます。

3. 歩行補助具の使用:杖や歩行器

必要に応じて、杖や歩行器などの補助具を使用しましょう。

これらの補助具は、安定性を高め、歩行時のバランスを改善するのに役立ちます。

4. 適切な靴の選択:滑りにくい靴

滑りにくい底の靴を選ぶことは、転倒防止に効果的です。

また、かかとが安定している靴を選ぶことで、歩行の安定性が向上します。

5. 健康管理と薬の調整

定期的な健康チェック

定期的な健康チェックを受けることで、体調や薬の副作用を管理し、転倒リスクを低減することができます。

薬の見直し

主治医と相談して、使用している薬の副作用を確認し、必要に応じて調整を行いましょう。




1. 速やかな対応:医師の診察

転倒後に痛みや違和感がある場合は、速やかに医師の診察を受けましょう。

特に、人工股関節周囲の骨折が疑われる場合は、早期の診断と治療が重要です。

2. 適切なリハビリテーション

転倒後のリハビリテーションも重要です。再度の転倒を防ぐために、筋力やバランス感覚を再び強化するプログラムを実施します。

3. 心理的サポート

転倒後には心理的な不安や恐怖感が生じることがあります。心理的サポートを受けることで、心のケアも行い、前向きにリハビリテーションに取り組むことができます。




人工股関節置換術後の転倒は、リハビリテーション、環境整備、適切な健康管理などの対策を講じることで、リスクを大幅に減少させることが可能です。

手術後の生活の質を向上させるためには、患者さん自身が積極的に予防策を実施し、転倒リスクを最小限に抑える努力が重要です。

もし、転倒に関する不安や疑問がある場合は、ぜひ専門医に相談してください。

術後の転倒、ダメよ、絶対!

転んじゃダメダメ!

怪我しちゃダメ!

約束ですよ!


人工股関節置換術後の転倒は絶対に避けましょう!

転倒

「だから転ぶの気をつけて!って言ったじゃん!」




【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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