股関節70 人工股関節置換術とカップの固定方法

カップ 股関節

おはようございます。
なんだかんだで白髪が増えてきてしまっている塗山正宏です。
老化には逆らえないですね・・・涙


今回のテーマは

人工股関節置換術とカップの固定方法についてです。




人工股関節のパーツには主に、

人工股関節の部品

・カップ

・ライナー

・ヘッド

・ステム

の4つがあります。

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今回は、骨盤に設置するカップの固定方法について話をします。

カップを固定する際には、骨セメントを使用する場合と使用しない場合がありますが、今回は骨セメントを使用しない場合(セメントレス)について触れてみます。

以前は、カップを骨盤に固定する際には、スクリュー(ネジ、ボルト)を挿入することによって、カップを骨盤に固定することが当たり前でした。

現在も一般的には、カップにスクリューを1本~3本入れる先生が多いかと思います。

しかし、最近はカップの表面加工が進歩したことにより、スクリューを使用しなくても、カップが着実に固定できるようになりました。

それは、カップの表面摩擦が強くなったために、カップを骨盤に打ち込むだけでカップがしっかりと骨盤に固定されるようになりました。

実際、私の場合は9割以上の患者さんでスクリューを入れることはしていません。

必要のないインプラントは入れる意味がないですからね。

ちなみに、スクリューを入れなかったことにより、術後にカップがずれてしまったという経験は今の所ありません。

しっかりカップが固定されたことを必ず入念に確認をしていますからね。

もちろんカップの固定性に不安がある場合には、スクリューを用いてガッチリと固定しますよ。

そこは骨の状態や股関節の変形の状態をみて臨機応変に対応していますよ。




では、実際にどうやって、セメントレスのカップを固定しているのかについて説明したいと思います。

まず、骨盤のなかの寛骨臼の直径は約50mm(約5cm)くらいの大きさであることが多いのですが、仮に直径50mmのカップを骨盤内に設置するとしましょう。

その場合は、寛骨臼の中を49mmの半球状になるように骨を削ります。

あえて予定カップサイズの1mm程小さく削るのです。

49mmの半球状の穴が削られた骨盤内に、1mm大きい50mmのセメントレスカップをハンマーを用いて骨盤に打ち込みます。

金属ハンマーでガン!ガン!ガン!と・・・笑

そうすると、骨盤の削られた半球状の部分に1mm大きいものが強い力で打ち込まれると、プレスフィットと言ってカップが骨盤の中にがっちりと固定されてしまうのです。

一度固定されてしまうと手の力では簡単に動かせません。

カップを動かそうとすると、骨盤ごと動いてしまいます。

それくらいしっかりと骨盤に強固に固定されてしまいます。

セメントレスカップの初期固定がきちんと得られれば、3か月程度するとカップに骨が入り込み、骨盤とカップが一体化してしまいます。

骨とインプラントが一体化してしまえば、もう簡単には取れません。

カップから骨を剝がさない限り、カップを抜くことはできません。

以上、カップの固定方法について説明させていただきました(笑顔)。




カップの性能も昔に比べて進化している!

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「いや、それはマグカップだから!」


悲しい時は小田和正の歌声が聞きたくなる整形外科医の塗山正宏でした。



【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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