おはようございます!
たまに暴飲暴食したくなる衝動に駆られる塗山です。
今回のテーマは、
変形性膝関節症と両側同時人工膝関節置換術についてです。
片膝か、両膝か、どう違うのでしょうか?
両膝手術して大丈夫なんですか?
これから説明していきましょう!
変形性膝関節症と両側同時人工膝関節置換術|メリットとデメリットを解説
こんにちは、整形外科医の塗山正宏です。
今回は、変形性膝関節症における治療法の一つである両側同時人工膝関節置換術(Bilateral Total Knee Arthroplasty)についてお話しします。
両膝に変形性膝関節症を抱えている患者さんにとって、この手術は痛みの改善と生活の質の向上をもたらす重要な選択肢となります。
この記事では、両側同時人工膝関節置換術のメリットとデメリット、適応となる患者さんの特徴、そして手術のリスクについて詳しく解説します。
手術を検討している方に役立つ情報を塗山が提供できれば幸いです。
変形性膝関節症とは?
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が摩耗し、膝関節が変形してしまう慢性疾患です。
症状が進行すると、膝の痛みやこわばりが日常生活に支障をきたし、歩行困難になることもあります。
特に両膝に変形が進行した場合、患者さんは膝関節に強い痛みを感じ、O脚になりバランスが悪くなり、運動能力が大きく制限されます。
人工膝関節置換術とは?
人工膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty:TKA)は、変形性膝関節症の進行した際に行われる外科的治療です。
損傷した膝関節を人工関節に置き換えることで、痛みを軽減し、膝の機能を回復させます。
通常は片膝ずつ行う手術ですが、両膝に重度の変形がある場合には、両側同時の人工膝関節置換術が選択されることがあります。
両側同時人工膝関節置換術のメリット
- 一度の手術で両膝を治療できる
最大のメリットは、両膝の手術を一度に行える点です。通常、片膝ずつ手術を行う場合、最初の膝が回復してから次の手術を行うまでに数ヶ月かかることがありますが、同時手術ではその待ち時間が必要ありません。入院、手術が一度で終わるのは大きなメリットです。 - リハビリ期間の短縮
両膝を同時に手術することで、リハビリを一度に行うことができ、結果的に全体の回復期間を短縮することができます。片膝ずつ手術を行う場合に比べ、全体的な療養期間が短くなるため、早期の社会復帰や日常生活への復帰が期待できます。 - 手術・入院コストの削減
両側の手術を同時に行うことで、手術費用や入院費用を一度にまとめて済ませることができ、全体的な医療費が抑えられます。また、通院回数も減少するため、患者さんにとって経済的な負担が軽減されることがあります。 - 痛みが早く軽減される
両側の膝に痛みを抱えている患者さんにとっては、一度に痛みの原因を取り除くことができるため、手術後に左右差なく痛みが軽減され、バランスの取れたリハビリが行いやすくなります。両脚のO脚が同時に改善されるのは大きなメリットです。
両側同時人工膝関節置換術のデメリット
- 手術時間が長い
両側同時に手術を行うため、通常の片膝手術よりも手術時間が長くなります。単純に言えば手術は倍の時間になります。これに伴い、麻酔や手術中の合併症のリスクがわずかに増加する可能性があります。 - 回復初期が大変
両膝同時に手術を行うと、術後初期の回復期間が辛いと感じることがあります。片膝だけの手術に比べ、両膝が同時にダメージを受けているため、術後すぐのリハビリや日常生活動作において片膝の手術に比べて痛みや不便さを感じることがあります。 - リスクが高い患者には不向き
特に心臓や肺に持病がある患者、または高齢の患者にとっては、長時間の手術や全身麻酔のリスクが高まる可能性があります。このため、術前の評価が重要であり、場合によっては片膝ずつの手術が推奨されることもあります。
両側同時人工膝関節置換術が適している患者
両側同時人工膝関節置換術は、以下のような条件を満たす患者に特に適しています。
- 両膝に重度の変形性膝関節症がある
両膝に同程度の変形が進行している場合、同時に手術を行うことでバランスの取れた回復が期待できます。 - 全身の健康状態が良好である
心臓や肺に持病がない、もしくは安定している患者であれば、両側同時手術のリスクを最小限に抑えられます。 - リハビリをしっかりと行える
両膝同時の手術では、術後のリハビリが重要です。手術後すぐに積極的なリハビリを行う意欲と能力がある患者に適しています。
両側同時人工膝関節置換術のリスク管理
両側同時手術の成功には、徹底したリスク管理が必要です。
手術前には、患者さんの全身状態を詳しく評価し、麻酔のリスクや手術後の合併症の予防策を講じることが重要です。
手術後も、感染症や血栓症のリスクを抑えるための適切なケアが求められます。
両側同時人工膝関節置換術の術後リハビリ
術後リハビリは、回復の重要な鍵を握っています。
両膝同時手術を受けた患者は、片膝手術よりもリハビリが大変になることがあるため、適切なリハビリプランを作成し、継続的なリハビリを行うことが重要です。
理学療法士と協力し、日常生活に戻るための歩行訓練や筋力強化を行っていくことが求められます。
まとめ
両側同時人工膝関節置換術は、両膝に変形性膝関節症を抱える患者さんにとって有効な治療法ですが、手術のメリットとデメリットをよく理解し、適切な判断が求められます。
全体的な回復期間を短縮し、早期に痛みの軽減を期待できる一方で、術後のリハビリやリスク管理も重要な要素となります。
病院によっては片膝ずつしか手術をしない病院もありますので、両膝の手術を検討している場合には、両膝手術に慣れている病院で手術を検討したほうが良いでしょう。
私自身は、両膝の変形が強い場合には基本的に両膝同時手術をオススメしております。
手術、入院、リハビリが一度で終わるのは非常に大きなメリットだと思います。
そして、O脚が一度で治るので歩行時のバランスが改善するのも大きなメリットです。
手術を検討している方は、ぜひ一度専門医にご相談ください。
患者さん一人ひとりに最適な治療法をご提案し、痛みのない生活を取り戻すサポートを塗山が全力でいたします。
両膝同時の人工膝関節置換術は有用な治療の選択肢です!
「バケツ持ってて立ってなさい!!」
学生時代にバケツ持たされて廊下に立たされる罰ゲームが懐かしい整形外科医の塗山正宏でした。
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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