膝関節255 変形性膝関節症と腰部脊柱管狭窄症

knee 膝関節

1.「膝が悪いと思ったら腰だった?」整形外科医が本音で解説

整形外科医の塗山正宏ですけどなにか?

「先生、膝が痛くて歩けません。」

そう言って来院された患者さんを診察すると、

実は――

👉 原因は腰だった

ということがあります。

逆に、

「腰部脊柱管狭窄症ですね」

と言われていた方が、

実際には

👉 変形性膝関節症が主犯だった

というケースもあります。

外来では珍しくありません。

患者さんからすると、

たまこさん
たまこさん

腰なの?膝なの?どっちなんですか先生!

という気持ちになりますよね。

私も診察室で画像を見ながら、

👉 「犯人は単独犯か、共犯か」

を探ることがあります。

実は変形性膝関節症と腰部脊柱管狭窄症は、

  • 年齢とともに増える
  • 歩きにくくなる
  • 下肢痛が出る

という共通点があり、

非常に紛らわしい疾患です。

今回は、

✔ 変形性膝関節症と腰部脊柱管狭窄症の違い
✔ なぜ同時に起きるのか
✔ 見分け方
✔ 治療の考え方

を整形外科医の塗山が専門医としてわかりやすく解説します。


2. 変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減り、

  • 痛み
  • 腫れ
  • O脚変形
  • 歩行障害

を引き起こす病気です。

特に50歳以降で増加し、

日本では非常に多い疾患です。


3. 腰部脊柱管狭窄症とは?

腰部脊柱管狭窄症は、

加齢によって腰の神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、

神経が圧迫される病気です。

代表的な症状は、

  • お尻〜脚の痛み
  • しびれ
  • 間欠性跛行(歩くとつらくなり休むと改善)

です。


4. なぜこの2つは間違えやすいのか?

理由はシンプルです。

👉 どちらも「歩けなくなる」から。

変形性膝関節症

  • 膝が痛い
  • 曲がらない
  • 階段がつらい

腰部脊柱管狭窄症

  • 脚がしびれる
  • 歩くと悪化
  • 休むと改善

しかし実際には、

患者さんは

👉 「足が痛い」

と表現することが多いため、

鑑別が難しくなります。


5. 実は同時に持っている人が多い

ここが重要です。

高齢になると、

  • 膝も変形する
  • 腰も変形する

ため、

👉 両方を合併しているケースが非常に多い

のです。


6. 膝が悪くなると腰も悪くなる?

答えはYESです。

O脚になる

変形性膝関節症が進行すると、膝が曲がった姿勢になります。

骨盤が後傾する

身体のバランスを取ろうとして、

骨盤や腰椎のアライメントが変化します。

腰に負担がかかる

その結果、腰椎へのストレスが増加します。

膝OA患者の腰痛には、骨盤後傾との関連が指摘されています。


7. Knee-Spine Syndrome(膝-脊椎症候群)とは?

最近注目されている概念です。

👉 膝と腰は別々ではなく連動している

という考え方です。

変形性膝関節症による姿勢変化が、腰椎アライメントへ影響し、腰痛や脊柱管狭窄症症状を悪化させる可能性があります。


8. 見分けるポイント①

前かがみで楽になる?

これは重要です。

脊柱管狭窄症

前かがみになると楽。

スーパーのカートを押すと歩ける。有名な特徴です。

膝OA

前かがみになっても膝はあまり変わりません。


9. 見分けるポイント②

しびれがある?

しびれは腰由来を疑います。

脊柱管狭窄症

✔ しびれ
✔ 灼熱感
✔ 電気が走る感じ

膝OA

主症状は痛みです。


10. 見分けるポイント③

レントゲンだけで決めない

これも大切です。

70代以降では、MRIやレントゲンで

👉 「腰も膝も悪い」

ことが普通にあります。

つまり、画像だけではなく

👉 「どちらが症状の主犯か」

を見極める必要があります。


11. 治療はどちらを先にする?

これが外来で非常によくある質問です。

ケース①

膝痛が主体

  • 階段痛
  • 膝の腫れ
  • O脚進行

なら膝治療優先。

ケース②

しびれ・間欠性跛行主体

なら腰治療優先。

ケース③

両方強い

正直あります。

その場合は、

  • 症状
  • 画像
  • 神経所見

を総合判断します。


12. 人工膝関節をすると腰も楽になる?

意外ですが、

👉 「腰痛も改善した」

という患者さんは少なくありません。

理由は、

  • 姿勢改善
  • 歩行改善
  • 骨盤アライメント改善

などです。

ただし、本物の脊柱管狭窄症がある場合は、腰の治療が必要になることもあります。


13. 専門医の本音

私は外来で、

👉 「膝だけ見てはいけない」

と常に思っています。

膝の患者さんでも、

  • 股関節
  • 足関節

まで診るようにしています。

なぜなら、身体は

👉 「チーム戦」

だからです。

膝だけ責めても、腰がサボっていたら解決しません。

逆も同じです。


14. まとめ|膝と腰はセットで考える

変形性膝関節症と腰部脊柱管狭窄症は、非常に似た症状を示します。

共通点

✔ 歩きにくい
✔ 下肢痛
✔ 高齢者に多い

違い

膝OA
  • 膝痛主体
  • O脚
  • 階段痛
脊柱管狭窄症
  • しびれ
  • 間欠性跛行
  • 前かがみで改善



15. 一番大切なこと

👉 「膝が痛い=膝だけの問題」

ではありません。

👉 「腰が悪い=腰だけの問題」

でもありません。

本当に重要なのは、“身体全体を診ること”です。


16. 参考文献

  1. Webb CW, Aguirre K, Seidenberg PH. Lumbar Spinal Stenosis: Diagnosis and Management. Am Fam Physician. 2024.
  2. 徳橋泰明, 大島正史.
    「腰部脊柱管狭窄症の診断と治療」. 日大医学雑誌. 2012.
  3. 阿部宙ほか.
    「変形性膝関節症患者の腰痛と立位矢状面アライメントとの関連」. 理学療法学.
  4. Kurniantara IMB, et al.
    Knee Spine Syndrome Mechanism in Knee Osteoarthritis. Physical Therapy Journal of Indonesia.




17. 塗山からの最後のメッセージ

膝が原因だと思っていた痛みが、実は腰から来ている。

逆に、腰だと思っていたら膝だった。

整形外科の診療では、こうした“犯人の入れ替わりミステリー”が意外と多いのです。

だからこそ、膝だけでなく腰も含めて評価することが、正しい治療への近道になります。

以上、参考になりましたでしょうか!?

では、筋トレ行ってきます。


膝の痛みと腰の症状は関連することがあるので要注意!






【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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