変形性膝関節症と腰部脊柱管狭窄症
1.「膝が悪いと思ったら腰だった?」整形外科医が本音で解説
整形外科医の塗山正宏ですけどなにか?
「先生、膝が痛くて歩けません。」
そう言って来院された患者さんを診察すると、
実は――
👉 原因は腰だった
ということがあります。
逆に、
「腰部脊柱管狭窄症ですね」
と言われていた方が、
実際には
👉 変形性膝関節症が主犯だった
というケースもあります。
外来では珍しくありません。
患者さんからすると、

腰なの?膝なの?どっちなんですか先生!
という気持ちになりますよね。
私も診察室で画像を見ながら、
👉 「犯人は単独犯か、共犯か」
を探ることがあります。
実は変形性膝関節症と腰部脊柱管狭窄症は、
- 年齢とともに増える
- 歩きにくくなる
- 下肢痛が出る
という共通点があり、
非常に紛らわしい疾患です。
今回は、
✔ 変形性膝関節症と腰部脊柱管狭窄症の違い
✔ なぜ同時に起きるのか
✔ 見分け方
✔ 治療の考え方
を整形外科医の塗山が専門医としてわかりやすく解説します。
2. 変形性膝関節症とは?
変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減り、
- 痛み
- 腫れ
- O脚変形
- 歩行障害
を引き起こす病気です。
特に50歳以降で増加し、
日本では非常に多い疾患です。
3. 腰部脊柱管狭窄症とは?
腰部脊柱管狭窄症は、
加齢によって腰の神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、
神経が圧迫される病気です。
代表的な症状は、
- お尻〜脚の痛み
- しびれ
- 間欠性跛行(歩くとつらくなり休むと改善)
です。
4. なぜこの2つは間違えやすいのか?
理由はシンプルです。
👉 どちらも「歩けなくなる」から。
変形性膝関節症
- 膝が痛い
- 曲がらない
- 階段がつらい
腰部脊柱管狭窄症
- 脚がしびれる
- 歩くと悪化
- 休むと改善
しかし実際には、
患者さんは
👉 「足が痛い」
と表現することが多いため、
鑑別が難しくなります。
5. 実は同時に持っている人が多い
ここが重要です。
高齢になると、
- 膝も変形する
- 腰も変形する
ため、
👉 両方を合併しているケースが非常に多い
のです。
6. 膝が悪くなると腰も悪くなる?
答えはYESです。
O脚になる
変形性膝関節症が進行すると、膝が曲がった姿勢になります。
骨盤が後傾する
身体のバランスを取ろうとして、
骨盤や腰椎のアライメントが変化します。
腰に負担がかかる
その結果、腰椎へのストレスが増加します。
膝OA患者の腰痛には、骨盤後傾との関連が指摘されています。
7. Knee-Spine Syndrome(膝-脊椎症候群)とは?
最近注目されている概念です。
👉 膝と腰は別々ではなく連動している
という考え方です。
変形性膝関節症による姿勢変化が、腰椎アライメントへ影響し、腰痛や脊柱管狭窄症症状を悪化させる可能性があります。
8. 見分けるポイント①
前かがみで楽になる?
これは重要です。
脊柱管狭窄症
前かがみになると楽。
スーパーのカートを押すと歩ける。有名な特徴です。
膝OA
前かがみになっても膝はあまり変わりません。
9. 見分けるポイント②
しびれがある?
しびれは腰由来を疑います。
脊柱管狭窄症
✔ しびれ
✔ 灼熱感
✔ 電気が走る感じ
膝OA
主症状は痛みです。
10. 見分けるポイント③
レントゲンだけで決めない
これも大切です。
70代以降では、MRIやレントゲンで
👉 「腰も膝も悪い」
ことが普通にあります。
つまり、画像だけではなく
👉 「どちらが症状の主犯か」
を見極める必要があります。
11. 治療はどちらを先にする?
これが外来で非常によくある質問です。
ケース①
膝痛が主体
- 階段痛
- 膝の腫れ
- O脚進行
なら膝治療優先。
ケース②
しびれ・間欠性跛行主体
なら腰治療優先。
ケース③
両方強い
正直あります。
その場合は、
- 症状
- 画像
- 神経所見
を総合判断します。
12. 人工膝関節をすると腰も楽になる?
意外ですが、
👉 「腰痛も改善した」
という患者さんは少なくありません。
理由は、
- 姿勢改善
- 歩行改善
- 骨盤アライメント改善
などです。
ただし、本物の脊柱管狭窄症がある場合は、腰の治療が必要になることもあります。
13. 専門医の本音
私は外来で、
👉 「膝だけ見てはいけない」
と常に思っています。
膝の患者さんでも、
- 腰
- 股関節
- 足関節
まで診るようにしています。
なぜなら、身体は
👉 「チーム戦」
だからです。
膝だけ責めても、腰がサボっていたら解決しません。
逆も同じです。
14. まとめ|膝と腰はセットで考える
変形性膝関節症と腰部脊柱管狭窄症は、非常に似た症状を示します。
共通点
✔ 歩きにくい
✔ 下肢痛
✔ 高齢者に多い
違い
膝OA
- 膝痛主体
- O脚
- 階段痛
脊柱管狭窄症
- しびれ
- 間欠性跛行
- 前かがみで改善
15. 一番大切なこと
👉 「膝が痛い=膝だけの問題」
ではありません。
👉 「腰が悪い=腰だけの問題」
でもありません。
本当に重要なのは、“身体全体を診ること”です。
16. 参考文献
- Webb CW, Aguirre K, Seidenberg PH. Lumbar Spinal Stenosis: Diagnosis and Management. Am Fam Physician. 2024.
- 徳橋泰明, 大島正史.
「腰部脊柱管狭窄症の診断と治療」. 日大医学雑誌. 2012. - 阿部宙ほか.
「変形性膝関節症患者の腰痛と立位矢状面アライメントとの関連」. 理学療法学. - Kurniantara IMB, et al.
Knee Spine Syndrome Mechanism in Knee Osteoarthritis. Physical Therapy Journal of Indonesia.
17. 塗山からの最後のメッセージ
膝が原因だと思っていた痛みが、実は腰から来ている。
逆に、腰だと思っていたら膝だった。
整形外科の診療では、こうした“犯人の入れ替わりミステリー”が意外と多いのです。
だからこそ、膝だけでなく腰も含めて評価することが、正しい治療への近道になります。
以上、参考になりましたでしょうか!?
では、筋トレ行ってきます。
膝の痛みと腰の症状は関連することがあるので要注意!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医


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