おはようございます。
仕事の遅刻は基本しない派の塗山正宏です。
今回のテーマは、
大腿骨近位部骨折についてです。
大腿骨近位部骨折とは、
大腿骨の頚部の部分から下方にかけて起こる骨折のことで、
・大腿骨頚部骨折(股関節の関節内での骨折)
・大腿骨転子部骨折(股関節の関節外での骨折)
大きくふたつに分けられます。
さらに細かい分類は以下に示します。
大腿骨近位部骨折の分類
大腿骨近位部骨折の分類(診療ガイドラインより抜粋)
a.骨頭骨折 b.頚部骨折 c.頚基部骨折 d.転子部骨折および転子間骨折 e.転子下骨折
大腿骨頚部骨折は骨粗鬆症がある高齢者では頻度が非常に高い骨折のひとつで、高齢化社会を迎える中、年々増加してきています。
2010年には約17万人、2020年には約22万人、2030年には約26万人と今後も増加すると予想されています。
非常に多いですよね。
特に70歳以上の女性にとても多い骨折です。
多くの場合は転倒してお尻を打撲して骨折します。
しかし、骨粗鬆症のひどい人は転倒がなくても、骨折することがあります。
こういう骨折を脆弱性骨折と呼びます。
一方、若い人では交通事故や高所からの転落などの強い外力が、股関節に加わることによって骨折が起こります。
大腿骨近位部骨折を起こすと、骨折した足は短くなり、足が外側に開いたような形になります。
自分で骨折した足を動かすことはできず、他人に足を動かされると股関節に強く痛みを感じます。
しかし、時には骨折が軽度で、骨折した部分のずれが少なく、骨折した部分が噛み合って安定した形となっている場合、歩行が可能な場合もあります。
転んだけど、歩行が可能なら骨折なんてしていないでしょ!と思ったら、骨折している場合が意外にあったりするので要注意ですね。
また、転倒してレントゲンで骨折がなくても、股関節に痛みが続く場合には不顕性骨折と言って、MRIで診断がつく骨折の場合もあります。
というわけで、高齢者で転倒して、股関節に痛みがある場合にはレントゲンだけでなく、MRIなどの精密検査を行うことをお勧めします。
高齢者が転倒して股関節に痛みがある場合には、骨折している可能性あり!
将来高齢者になっても大腿骨頚部骨折はしたくない整形外科医の塗山正宏でした。
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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