股関節263 セメントステムかセメントレスステムか

セメントレスステム 股関節

おはようございます!
もう気が付いたら3月になっていることに驚く塗山正宏です。
ひなまつり~~~!




今回のテーマは、

セメントステムかセメントレスステムかについてです。





人工股関節のインプラントには、セメントを使用するタイプとセメントを使用しないタイプ(セメントレス)が存在します。

人工股関節のパーツのひとつとして、

骨盤に設置するカップと大腿骨に挿入されるステムがあります。


カップやステムのタイプは大きく二つに分かれていて、

人工股関節のインプラントの種類

セメントを使って骨に固定するセメントカップ、セメントステム

セメントを使わずに骨と固着するのを待つセメントレスカップ、セメントレスステム

があります。



私自身は現在は主にセメントレスステムを使用しています。

日本では8割以上の先生がセメントレスステムを使用しているのが現状です。


ちなみに、日本人工関節学会の2021年度のデータによると、

人工股関節の固定方法

・セメントレス(カップとステムの両方ともセメントレス) 83.54%

・ハイブリッド(カップはセメントレス、ステムがセメントステム) 10.72%

・セメント(カップとステムの両方ともセメント) 5.74%

このデータから、ステムだけに注目すると

セメントレスステムが84%セメントステムが16%になりますね。

というわけで、日本では圧倒的にセメントレスステムが多いということですね。




では、それぞれのセメントステムとセメントレスステムの特徴を考えてみましょう。

人工関節ドットコム
セメントステムの特徴

利点

・術後早期から良好な固定性が得られる

・大腿骨形状に応じてステムを使い分ける必要がない

・骨質が弱くても使用が可能

・ステム挿入時における骨折リスクが低い

・インプラントの抜去がしやすい

欠点

・骨セメントを扱うにあたってセメントテクニックが必要

・骨セメント使用に伴う血圧低下、ショックになる可能性がある

・セメントを使用するための手術時間が長くなる

セメントレスステムの特徴

利点

・セメント使用による合併症リスクがない

・経験と慣れが必要なセメントテクニックが必要がない

・手術時間が短縮できる

・骨と一体化すれば良好な長期成績が期待できる。

欠点

・大腿骨形状に応じてステムを使い分ける必要がある

・ステム挿入に伴う骨折リスクあり

・ステム抜去が困難な場合あり

まとめてみると、それぞれ一長一短があるってことですね。

以前はセメントステムの方が成績が良いされていましたが、現在はどちらがより良いとかは特に大きな差はないと思われます。

医師の考え方次第でセメントステムを使用するのか、セメントレスステムを使用するのかが決まると思います。

ちなみに、私は基本的にセメントレスステムを使用しています。

以上、セメントステムやセメントレスステムについてお知らせしました。


セメントステムもセメントレスステムもそれぞれ一長一短あり!

バームクーヘン

「バームクーヘン好きですか?」


定期的にバームクーヘンが食べたくなる整形外科医の塗山正宏でした。


【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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