おはようございます!
今日も起きたらまずはトイレに向かう塗山正宏です。
毎日ずっと同じ事の繰り返しです。
今回のテーマは、
人工股関節置換術と偽腫瘍についてです。
偽腫瘍?なんですかそれ?
人工股関節置換術後の偽腫瘍
人工股関節置換術は、変形性股関節症やその他の股関節障害に対する代表的な治療方法ですが、手術後に偽腫瘍(ぎしゅよう)が発生する可能性があります。
偽腫瘍は、人工股関節置換術の術後合併症のなかでは頻度は非常に少ないのですが、稀に発生する場合があります。
偽腫瘍の発生メカニズム
人工股関節置換術後に発生する偽腫瘍は、人工股関節の金属摩耗粉が周囲の組織に反応して生じる病変です。これらの摩耗粉は、金属イオンが放出されることで周囲の組織に炎症を引き起こし、結果として偽腫瘍が形成されます。
これは、Metal-on-Metal(金属対金属)の摺動面や、骨頭とネックの嵌合部(trunnion)で腐食が起きた結果として知られています。
このような偽腫瘍は、adverse reactions to metal debris(ARMD)と呼ばれ、人工股関節周囲に発生する腫瘤の一種です。
ちなみに、セラミック on ポリエチレンの関節面の場合は偽腫瘍が発生する確率はかなり低いとされています。
偽腫瘍の診断
偽腫瘍の診断には、主にMRIやCTなどの画像診断が用いられます。
偽腫瘍の診断には、病理診断が必要であり、MRIやCTなどの画像検査も重要な役割を果たします。
これらの検査により、偽腫瘍の存在、大きさ、及び周囲の組織への影響を評価することができます。
また、血液検査により金属イオンの濃度を測定することもあります。
特に、MRIは金属摩耗粉に対する生体反応と考えられる疼痛や偽腫瘍等の症状の評価に有効です。
偽腫瘍の治療
偽腫瘍の治療は、その原因となる人工股関節の交換や、偽腫瘍の切除などが行われます。重要なのは、早期に適切な診断を行い、必要に応じて迅速な治療を実施することです。
偽腫瘍の治療には、腫瘤切除と再置換術が行われることがあります。
症例によっては、偽腫瘍がchronic expanding hematoma(CEH)と診断されることもあります。
これは、血腫が吸収されずに残り、血腫周囲に被膜が形成されることで生じるとされています。
まとめ
人工股関節置換術後の偽腫瘍は、患者の生活の質に大きな影響を与える可能性があります。
適切な診断と治療が重要です。
人工股関節置換術後に定期的な検診がやはり重要ということです。
偽腫瘍が大きくなればなるほど、手術が大変になりますからね。
定期検診は欠かさず行っていきましょう!
人工股関節置換術後の偽腫瘍には要注意!
「こなもの!!」
たまに粉ものを食べたくなる整形外科医の塗山正宏でした。
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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