おはようございます!
目玉焼きもスクランブルエッグも好きなエッグ塗山です!
今回のテーマは、
人工股関節置換術と外側大腿皮神経障害についてです。
外側大腿皮神経障害についての話ですよ~♪
ん?なんの神経ですか!?
人工股関節置換術と外側大腿皮神経障害
こんにちは、整形外科医の塗山正宏です。
今回は、「人工股関節置換術と外側大腿皮神経障害」というテーマで話を進めていきますよ。
人工股関節置換術(THA: Total Hip Arthroplasty)は、股関節の機能を回復させる非常に効果的な手術ですが、術後に発生しうる合併症の一つとして外側大腿皮神経障害が挙げられます。
この記事では、人工股関節置換術後に起こりうる外側大腿皮神経障害の症状、原因、そして予防法について、詳しく解説していきます。
人工股関節置換術とは?
人工股関節置換術は、変形性股関節症や関節リウマチ、外傷性の股関節損傷などによって股関節が変形した患者に対して行われる手術です。
この手術では、変形した股関節を人工の股関節に置換し、痛みを軽減し、関節の可動域を回復させることができます。特に高齢者や股関節の変形が進行している患者さんにとって、非常に有効な治療法です。
外側大腿皮神経障害とは?
外側大腿皮神経障害(Meralgia Paresthetica)は、大腿の外側にある外側大腿皮神経が圧迫されたり損傷されたりすることによって引き起こされる症状です。
この神経は、主に皮膚の感覚を司っており、感覚異常や痛み、しびれを感じることがあります。
人工股関節置換術と外側大腿皮神経障害の関係
人工股関節置換術では、手術中に様々な組織が関与しますが、その過程で外側大腿皮神経が影響を受けることがあります。以下のような原因が考えられます。
- 手術中の体位による神経圧迫
手術中に使用する機器や手術方法の影響で、外側大腿皮神経が圧迫されることがあります。固定する体位が適切でない場合、手術中に神経に過度の圧迫がかかることがあります。 - 手術による組織の損傷
手術中に神経周囲の組織や神経が損傷を受けると、神経が直接的に傷つく可能性があります。これにより術後に感覚異常やしびれが生じることがあります。特に前方アプローチ(Direct anterior approach:DAA)の手術アプローチで、外側大腿皮神経障害の発生率が他の手術アプローチに比べて高くなる傾向があります。 - 皮膚切開の位置による損傷
手術において鼠径部に近い位置の皮膚切開は外側大腿皮神経損傷を起こすリスクが高まります。鼠径部に近い皮膚切開を行う際には外側大腿皮神経を損傷しないように注意が必要です。 - 手術部位の腫れ
手術後、術部周囲に腫れが発生すると、それが神経に圧力をかけ、障害を引き起こすことがあります。この場合、腫れが引くにつれて症状も改善することが多いです。
外側大腿皮神経障害の症状
人工股関節置換術後に外側大腿皮神経障害が発生した場合、以下のような症状が現れることがあります。
- 大腿の外側部分にしびれや感覚異常
- 焼けるような痛み
- 触れると敏感に感じる
- 大腿外側に鈍い痛み
これらの症状は、多くの場合数週間から数ヶ月で改善しますが、持続的な場合には治療が必要になることもあります。
外側大腿皮神経障害の予防法
人工股関節置換術後の大腿外側皮神経障害を予防するためには、いくつかのポイントが重要です。
- 適切な手術体位の確保
手術中に神経への過剰な圧力がかからないよう、適切な体位を確保することが重要です。これには、手術前に患者の体型や骨格を考慮して計画を立てることが必要です。 - 手術中の神経保護
神経の位置を慎重に確認し、圧迫や損傷を避けるように注意深く操作することが求められます。特に神経が走行する部分では、丁寧な軟部組織の扱いが必要です。 - 術後の腫れを抑えるケア
術後の腫れが神経に影響を与えることがあるため、適切なアイシングや圧迫療法で腫れを最小限に抑えることが効果的です。また、リハビリも無理なく進めることが大切です。
外側大腿皮神経障害の治療法
もし術後に外側大腿皮神経障害の症状が出現した場合、治療として以下の方法が考えられます。
- 保存療法
ほとんどの場合、症状は時間とともに自然に改善します。そのため、初期段階では痛みやしびれを抑えるための鎮痛剤や消炎剤が使用されます。また、圧迫を避けるために服装や姿勢を見直すことも効果的です。 - 理学療法
神経への圧迫を軽減し、回復を促進するために理学療法が行われることがあります。特に股関節周辺の柔軟性を高める運動が効果的です。 - 神経ブロック
痛みが強い場合や、保存療法で改善が見られない場合には、神経ブロックを行い、一時的に神経の興奮を抑える方法があります。実際に行うケースは少ないでしょう。 - 手術
稀に、神経圧迫が持続し、症状が改善しない場合には手術による神経解放が必要になる可能性もありますが、これは極めて稀なケースです。
まとめ
人工股関節置換術後に発生しうる外側大腿皮神経障害は、神経の圧迫や損傷が原因で起こりますが、多くの場合は時間とともに改善します。
人工股関節置換術の前方アプローチ(DAA)では一定の確率で外側大腿皮神経障害は発生します。
そのため、私は外側大腿皮神経障害のリスクが少ない前外側アプローチ(ALS)で人工股関節置換術を行っております。
予防には、適切な手術手技や術後ケアが重要です。
もし術後にしびれや感覚異常を感じた場合には、早めに医師に相談し、適切な対策を講じることが大切です。
なにか疑問があれば、どうぞお気軽に塗山にお問い合わせください。
少しでも患者さんの生活の質を向上させるサポートを笑顔でいたします(笑顔)。
外側大腿皮神経障害は前方アプローチで一定の確率で発症しますが、基本は保存療法で改善していきます。
「しまった~!寝坊した~!!」
滅多に寝坊はしないタイプの整形外科医の塗山正宏でした!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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