おはようございます!
もうあと数日で今年も終わると思うと焦って仕方ない塗山です。
とりあえず今年最後の肉の日!
今回のテーマは、
人工股関節置換術と入院期間についてです。

人工股関節置換術の入院期間知ってますか?

実は良く知らないわ…
人工股関節置換術と入院期間について
どーも、整形外科医の塗山正宏ですけどなにか?
今回は「人工股関節置換術と入院期間」について、患者さんからよく寄せられる質問にお答えしながら、最新の知見やガイドラインを踏まえて整形外科医の塗山正宏が解説していきます。
これから手術を検討している方やご家族にとって参考になれば幸いです。
1. 人工股関節置換術とは
人工股関節置換術(THA: Total Hip Arthroplasty)は、変形性股関節症や大腿骨頭壊死症、関節リウマチなどで強い股関節痛や歩行障害がある患者さんに行う手術です。
股関節を人工関節に置き換えることで、痛みの軽減と歩行機能の改善を目指します。
現在では手術技術や人工関節の進歩により、術後成績は非常に良好で「人生を変える手術」と呼ばれることもあります(Learmonth ID, et al. Lancet. 2007)。
2. 入院期間の目安
人工股関節置換術後の入院期間は、国や医療機関の方針、患者さんの全身状態や家庭環境によって異なります。
3. 日本における入院期間
- 一般的には、2〜4週間程度(入院期間が1週間以内の病院もあり)
- 高齢者や合併症のある方ではやや長くなる傾向
- リハビリを重視する病院では3週間前後が多い
ちなみに、
世田谷人工関節・脊椎クリニックでは、人工股関節全置換術の場合は
・片脚の股関節を手術した場合は術後6日(入院日数8日間)
・両脚の股関節を手術した場合は術後8日(入院日数10日間)
で退院日を設定しています(2025年12月現在)。
4. 欧米における入院期間
- 平均 3〜5日程度 と日本よりも短い
- 近年は「日帰り手術(same-day surgery)」を導入している施設もある
この差は、医療制度や在宅リハビリ体制の違いに起因しています。
5. 入院期間を決める要因
- 手術アプローチ
- 最小侵襲手術(MIS)では筋肉の損傷が少なく、回復も早い。
- リハビリ開始時期
- 術後翌日から離床・歩行訓練を始めることが一般的。
- 合併症の有無
- 深部静脈血栓症、感染、脱臼などの合併症があると入院期間が延びる。
- 家庭や社会的サポート
- 自宅環境や介助の有無によって退院時期が調整される。
6. 入院中の流れ(一般的な目安)
| 術後日数 | 内容 |
|---|---|
| 1日目 | ベッド上で足首運動、呼吸リハビリ開始 |
| 2日目 | 起き上がり、立ち上がり、歩行器で歩行練習 |
| 3〜7日目 | 松葉杖歩行、階段昇降練習開始 |
| 2週目以降 | 独歩または杖歩行、日常生活動作の練習 |
| 退院時期 | 自立歩行または杖歩行で安全に帰宅可能となった時点 |
7. 早期退院・短期入院の利点と注意点
- 利点
- 医療費の削減
- 在宅での生活に早く戻れる
- 入院による廃用症候群の予防
- 注意点
- 在宅環境の安全性(段差、手すり)
- 家族や介助者の協力体制
- リハビリ継続の意識
8. 文献・エビデンス
- Learmonth ID, et al. The operation of the century: total hip replacement. Lancet. 2007;370(9597):1508-1519.
- Husted H, et al. Fast-track hip and knee arthroplasty. Acta Orthop. 2012;83(6):577-592.
- 日本整形外科学会『変形性股関節症診療ガイドライン 2016』
9. まとめ
人工股関節置換術の入院期間は、日本では2〜4週間が一般的ですが、欧米では数日で退院するケースもあります。
手術方法や合併症の有無、家庭環境によっても異なるため、主治医や医療チームと相談しながら最適な退院時期を決めることが重要です。
退院後もリハビリや生活習慣の工夫が回復に直結します。
患者さんご自身の積極的な取り組みが、安心して社会復帰するための大切なポイントです。
以上、人工股関節置換術の入院期間についてのトークでした!
参考になりましたでしょうか!?
では、さらば!!
人工股関節置換術の入院期間は病院によって期間が変わります!

「あなたが食べたいのはどれですか?」
食べたいものは全部食べる派の整形外科医の塗山正宏でした!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医


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