おはようございます!
健康的な膝をキープしたいと願っている塗山正宏です。
大腿四頭筋を鍛えなきゃ!
今回のテーマは、
人工膝関節再置換術の原因についてです。
今回は人工膝関節再置換術の原因について
やさしく説明していきます!
人工膝関節置換術とは、膝関節の変形や痛みなどで歩行が困難になった患者さんに対して、人工の関節に置き換える手術です。
この手術は膝関節の変形を矯正し、多くの患者さんが膝の機能を改善しています。
しかし、人工関節はあくまで人工物ですので、長期間使っていると摩耗したり、緩んだり、感染したりすることがあります。
その場合、人工膝関節を取り出して新しいものに入れ替える手術が必要になることがあります。
これを人工膝関節再置換術と呼びます。
整形外科業界ではリビジョン(Revison)と呼びます。
人工膝関節再置換術が必要になる原因には、以下のようなものがあります。
①人工膝関節の緩み:人工関節と骨との固定が弱くなり、人工関節がゆるんでしまうことです。これは、骨の量や質が低下したり、人工関節の形やサイズが合わなかったりすることで起こります。また、靭帯のバランスがくずれ膝関節が不安定になる場合があります。緩みが進むと、骨が壊れたり、骨折したりすることもあります。
②ポリエチレンの摩耗:大腿骨と脛骨に間にあるプラスチックの部分(ポリエチレン)がすり減ることです。これは、人工関節の動きに伴って摩擦が生じることで起こります。ポリエチレンが摩耗すると、金属片やプラスチック片が周囲の組織に入り込んで炎症を起こしたり、人工膝関節の緩みの原因になったりします。
③インプラントの破損:人工関節そのものが壊れることです。これは、人工関節に過度な負荷がかかったり、製造上の欠陥があったりすることで起こります。インプラントが破損すると、激しい痛みや膝の不安定感が生じて歩行が困難になります。
④感染:人工膝関節は、体内に異物として存在しています。そのため、細菌などの感染源が体内に侵入すると、人工膝関節の周囲に感染が起こす可能性があります。感染は、手術の際に細菌が入り込むことで起こる術後早期感染と、手術後に体の他の部位から血液を介して細菌が移動することで起こる晩期感染に分けられます。感染は、創部周囲の痛みや発赤、発熱、創部から膿の排出などを引き起こします。感染が長期間続くと、細菌感染した骨が溶解し、人工膝関節がゆるむ原因になります。感染症は非常に重大な合併症で、早急な治療をしなければなりません。
⑤外傷:転倒などにより人工関節や周囲の組織を損傷をすることです。外傷(怪我)によって、人工関節が脱臼したり、骨が折れたり、靭帯が切れたりすることがあります。骨折を起こしてしまった場合には再置換術を行う可能性が高くになります。
以上が、主な人工膝関節置換術の再置換術の原因についての説明です。
では、実際に再置換術の原因としては何が多いのでしょうか?
人工膝関節再置換術の原因ベスト4を紹介します。
人工膝関節置換術の再置換術の原因 ベスト4
1位 感染
2位 脛骨インプラントのゆるみ
3位 大腿骨インプラントのゆるみ
4位 膝関節の不安定性
(2021年の人工関節学会のデータより)
1位は感染症でしたね。
術後感染症を発症した場合には再置換術が必要になる可能性があるっていうことですね。
人工膝関節再置換術は、一度目の人工膝関節置換術よりも難易度が高く、合併症のリスクも高い手術です。
そのため、人工膝関節再置換術を避けるためには、以下のようなことに注意する必要があります。
①定期的な受診と検査:人工膝関節の状態をチェックするために、定期的に受診し、画像検査などを受けることが大切です。早期に摩耗やゆるみ、感染などの異常を発見することで、小さな手術で済む場合もあります。
②骨粗鬆症の予防と治療:骨粗鬆症は、人工膝関節のゆるみや骨折などの原因になります。そのため、骨密度を測定し、必要ならば骨粗鬆症の治療薬を服用することが重要です。また、カルシウムやビタミンDなどの骨に良い栄養素を摂取し、適度な運動を行うことも骨粗鬆症の予防に役立ちます。
③適切な運動と負荷のコントロール:運動は、筋力や関節の可動域を維持するために必要ですが、過度な負荷や衝撃は人工膝関節に悪影響に与えるので気をつけましょう。例えば、水泳や自転車、ウォーキングなどは人工膝関節に適した運動です。
④感染の予防と早期発見:感染は、人工膝関節の機能を低下させるだけでなく、全身に重大な影響を及ぼすことがあります。そのため、感染の予防と早期発見が非常に重要です。感染の予防のためには、手術後の傷口の衛生管理、歯科治療や尿路感染などの他の感染症の治療などに注意する必要があります。また、感染の早期発見のためには、発熱や痛み、腫れなどの症状があったらすぐに医師に相談することが必要です。
人工膝関節置換術は、変形性膝関節症などで苦しむ患者さんの生活の質を向上させる素晴らしい手術ですが、再置換術を必要とする可能性もあります。
再置換術を避けるためには、上記のようなことに注意して、人工膝関節を大切に扱うことが大切です。
人工膝関節の寿命を延ばすためには、定期的な受診と検査、骨粗鬆症の予防と治療、適切な運動と負荷のコントロール、感染の予防と早期発見などが重要です。
人工膝関節を出来る限り長く使うことで、快適な生活を送っていきましょう!
人工膝関節置換術の再置換術にならないよう色々気をつけていきましょう!
「ソーキそばですがなにか!?」
たまに沖縄に行ってソーキそばを食べたくなる整形外科医の塗山正宏でした。
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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