股関節314 人工股関節置換術と腸腰筋インピンジメント

腸腰筋インピンジメント 股関節

おはようっす!
今日も元気に大きな声で挨拶をしていきたい塗山です!






今回のテーマは、

人工股関節置換術と腸腰筋インピンジメントについてです。




塗山先生
塗山先生

腸腰筋インピンジメントのお話ですよ~

なんだか難しい言葉ですね。

こんにちわ、整形外科医の塗山正宏です!

人工股関節置換術(THA:Total Hip Arthroplasty)は、股関節の痛みや機能障害を解消するために広く行われる手術ですが、術後にまれな合併症として腸腰筋インピンジメントが発生することがあります。

この記事では、人工股関節置換術後に起こる腸腰筋インピンジメントについて、原因や症状、そして対処法を塗山が詳しく解説します。


腸腰筋インピンジメントとは?

腸腰筋インピンジメントは、人工股関節置換術後に腸腰筋が人工関節の一部に圧迫されることで痛みや不快感が生じる状態を指します。

腸腰筋は、腰椎から大腿骨にかけて伸びる筋肉で、股関節を屈曲(前に持ち上げる動作)する重要な役割を担っています。

腸骨筋
アトラスからお借りしました
大腰筋

人工股関節置換術後の腸腰筋インピンジメントの原因

腸腰筋インピンジメントは、いくつかの原因で発生することがあります。

  1. インプラントの位置
    人工股関節の設置位置や角度が、腸腰筋と干渉する場合があります。特に、寛骨臼カップの位置が前方に突出するとインピンジメントを起こす原因となることがあります。

  2. 人工関節のサイズや形状
    一部の患者さんでは、使用される人工関節のデザインやサイズが腸腰筋に影響を与えることがあります。特に、自分自身の寛骨臼よりも大きなカップが腸腰筋に近接しやすくなります。

  3. 術後の瘢痕組織や筋肉の癒着
    手術後に瘢痕組織が形成されることがあり、これが腸腰筋と人工関節との間に摩擦を生じさせ、インピンジメントを引き起こすことがあります。

腸腰筋インピンジメントの症状

腸腰筋インピンジメントの症状は、手術後の数週間から数ヶ月後に現れることが一般的です。

主な症状は次の通りです。

  • 股関節前面の痛み
    股関節前部に鈍い痛みや鋭い痛みを感じることがあります。痛みは、特に股関節を屈曲させる動作(椅子に座る、階段を登る、足を上げる)で悪化することが多いです。

  • 動作時の違和感
    股関節を動かすときに引っかかるような感覚や違和感を覚えることがあります。

  • 可動域の制限
    腸腰筋インピンジメントがあると、股関節の可動域が制限され、日常生活や運動時に支障をきたすことがあります。

腸腰筋インピンジメントの診断

腸腰筋インピンジメントの診断には、次のような手法が用いられます。

  1. 診察
    医師が患者さんの股関節の可動域や痛みの場所を評価し、インピンジメントの可能性を探ります。

  2. 画像診断
    X線やCTスキャン、MRIなどの画像検査を用いて、人工股関節の位置やインピンジメントの原因を特定します。これにより、インプラントの位置異常や瘢痕組織の有無が確認されます。

腸腰筋インピンジメントの治療法

腸腰筋インピンジメントの治療は、症状の重さや原因に応じて異なります。以下は代表的な治療法です。

  1. 保存療法
    軽度の症状の場合、リハビリテーションや物理療法を用いて腸腰筋を強化し、痛みを軽減することが可能です。炎症を抑えるための薬物療法(抗炎症薬)も有効です。

  2. 注射療法
    コルチコステロイドや局所麻酔薬を腸腰筋周囲に注射し、炎症を抑え、痛みを軽減します。

  3. 手術的治療
    保存療法で効果がない場合、手術が検討されます。腸腰筋の部分的な切除やインプラントの再配置が行われることがあります。稀に、寛骨臼カップの修正手術が必要となる場合もあります。

まとめ

人工股関節置換術は、生活の質を向上させる効果的な治療法ですが、頻度は少ないのですが術後に腸腰筋インピンジメントが発生する可能性があります。

術後早期は色々な痛みや症状が出やすいですが、術後に時間がしばらく経過しても、股関節前面の強い痛みを感じる場合は、早めに医師に相談することが重要です。

症状が続くようであれば、早期に治療を行いましょう。

適切な診断と治療によって、多くの患者さんが症状の改善を得られるでしょう。

以上、人工股関節置換術の腸腰筋インピンジメントについてお伝えしました!


人工股関節置換術の手術後に腸腰筋インピンジメントの症状が出る事がある!

クラーク

「少年よ、大志を抱け!」

いつだって大志を抱き続けたい気持ちをもっている整形外科医の塗山正宏でした!


【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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