股関節325 人工股関節置換術と骨頭径

骨頭径 股関節

おはようございます!!
小さい頃から頭が大きい塗山です。





今回のテーマは、

人工股関節置換術と骨頭径についてです。






塗山先生
塗山先生

今日は少しマニアックな話をしましょう!

しげぞうさん
しげぞうさん

難しい話は苦手なんじゃ…。

ちゅわーす!

整形外科医の塗山正宏です!

今日は少しマニアックな話をしていきましょう。

人工股関節置換術(THA:Total hip arthroplasty)は、変形性股関節症や関節リウマチなど、股関節疾患による痛みや機能障害を改善するための手術です。

このブログ記事では、人工股関節の「骨頭径」に焦点を当て、その重要性と選択におけるポイントを解説します。

骨頭径の選択が患者の術後成績にどのように影響するか、最新の文献を交えながら塗山が笑顔で詳しく述べます。


骨頭径とは

人工股関節の骨頭径は、人工関節の「球状部分」の直径を指します。

下の図でいうと、骨頭ボールの部分です。

通常、28mm、32mm、36mm、40mmといったサイズが用意されており、患者さんの骨のサイや股関節の安定性、活動レベルなどに応じて選択されます。

人工股関節

骨頭径の選択基準

  1. 脱臼リスクの低減:大きな骨頭径は、脱臼リスクを低減する効果があります。脱臼の防止は、特に活動性の高い患者さんや股関節の安定性が不安定な症例で重要です。

  2. 摩耗の影響:骨頭径が大きいと摩耗面積が増加しますが、近年の高度なポリエチレン素材やセラミック素材の進歩により、摩耗に対する懸念は大幅に減少しました。

  3. 患者さんの体格:大柄な患者さんには大径の骨頭、小柄な患者には小径の骨頭が適している可能性があります。

  4. 可動域の確保:骨頭径が大きいほど関節の可動域が若干広がる傾向があります。これにより、日常生活動作の改善が期待されます。

骨頭径のメリットとデメリット

骨頭径のサイズメリットデメリット
小径(28mm–32mm)・摩耗が少ない
・ライナーの厚みを確保できる
大径骨頭に比べて、脱臼リスクが若干増える可能性あり
大径(36mm–40mm以上)・脱臼リスクが低い
・可動域が若干拡大する
・ライナーの厚みが薄くなる
・摩耗面積が増える可能性あり

最新の文献からの知見

以下は骨頭径に関する重要な研究結果です:

  • Wroblewski et al. (2020):骨頭径36mm以上の患者群では、28mm群に比べて脱臼率が有意に低いことが報告されています。
  • Johnson et al. (2022):股関節可動域の改善と患者満足度は、大径骨頭の方が高い傾向があるとされています。
  • Taylor et al. (2018) 骨頭径32mmの使用が、中等度活動性の患者において脱臼率を抑えつつ摩耗リスクを最小化するのに有効であると報告されています。特に、セラミックポリエチレンカップとの組み合わせで良好な結果が得られました。
  • Kobayashi et al. (2021) 32mmの骨頭は、摩耗と脱臼リスクのバランスが取れており、体格が中程度の患者において安定した成績を示したとされています。

まとめ

人工股関節置換術における骨頭径の選択は、患者さんの特性や活動レベルに応じた慎重な判断が必要です。

大径骨頭は脱臼リスクの低減と可動域の若干の向上を期待できますが、摩耗への配慮も重要です。

骨頭径が大きくなることにより、ステムのネックにかかる負荷が増大するため、ネックが摩耗するリスクがあがる可能性やライナーの厚みが薄くなるなどのデメリットが考えられます。

私自身は、脱臼リスクの低減、人工股関節にかかる負荷、ライナーの厚みなどを考慮し、32mmの骨頭径の使用をメインにしています。

患者さんによっては、股関節の状態や体格、脱臼リスクなどを考慮し、36mmを選択する場合もあります。

そういうわけで、術前の詳細な評価を患者さんごとに行い、最適なサイズを選択するようにしています。

以上、人工股関節の骨頭径についてお知らせ致しました!

では、さらば!!

人工股関節の骨頭径には色々な種類がある!

一蘭
一蘭からお借りしました

「とんこつラーメンと言えば一蘭!」


年に2回くらいは一蘭を食べたい気持ちに駆られる整形外科医の塗山正宏でした!



【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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