膝関節193 変形性膝関節症と膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼 股関節

おはようございます!
とりあえず毎日水は2L以上は飲んでいる塗山です。
水分は大事!






今回のテーマは、

変形性膝関節症と膝蓋骨脱臼にについてです。




塗山先生
塗山先生

膝蓋骨脱臼を知ってますか?

まみこさん
まみこさん

いや、知りません。

オッス!おら、整形外科医の塗山です。

変形性膝関節症(OA: Osteoarthritis of the Knee)は、膝関節の軟骨が摩耗し、痛みや可動域制限を引き起こす疾患です。

一方、膝蓋骨脱臼(Patellar Dislocation)は、膝蓋骨が正常な位置から逸脱し、不安定性や疼痛を伴う状態です。

これら二つの疾患が併発することで、症状が悪化し、治療がより複雑になることがあります。

この記事では、変形性膝関節症と膝蓋骨脱臼の関連性、原因、治療法について塗山が優しい表情で解説します。


1.変形性膝関節症と膝蓋骨脱臼の関係

変形性膝関節症と膝蓋骨脱臼は、以下のようなメカニズムで関連しています。

  1. 膝関節のアライメント異常
    変形性膝関節症が進行すると、膝関節のアライメントが崩れ、特にO脚やX脚の変形が生じることがあります。これにより膝蓋骨の軌道が乱れ、脱臼しやすくなります。

  2. 軟骨損傷と膝蓋大腿関節症
    変形性膝関節症では、膝蓋大腿関節の軟骨が摩耗し、膝蓋骨の安定性が低下します。これにより、膝蓋骨脱臼のリスクが高まります。

  3. 筋力低下と膝蓋骨不安定性
    大腿四頭筋(特に内側広筋)の筋力が低下すると、膝蓋骨を内側に安定させる力が弱まり、脱臼しやすくなります。


2.症状

  • 膝の痛み(特に膝蓋骨周囲)
  • 膝蓋骨の不安定感
  • 膝の腫れや可動域制限
  • 歩行時の違和感や引っかかり感
  • 膝が突然崩れるような感覚(膝折れ)


3.診断

診断には以下の検査が有効です。

  • X線検査:膝蓋骨の位置異常や変形性膝関節症の程度を評価
  • MRI検査:軟骨損傷や靭帯の状態を詳細に確認
  • CT検査:膝蓋骨の形態異常やアライメントを詳細に分析


4.治療

保存療法

  1. リハビリテーション
    • 大腿四頭筋強化(特に内側広筋)
    • 股関節周囲筋のトレーニング
    • 膝蓋骨の動きを改善するストレッチ
  2. 装具療法
    • 膝蓋骨を安定させるためのサポーターやテーピング
  3. 薬物療法
    • 鎮痛剤(NSAIDsなど)
    • ヒアルロン酸注射

手術療法

膝蓋骨脱臼が頻発する場合や変形性膝関節症が進行している場合、手術が検討されます。

  1. 膝蓋骨再建術
    • MPFL再建術(内側膝蓋大腿靭帯の再建)
    • 脛骨粗面移動術(膝蓋骨の軌道を修正)
  2. 人工膝関節置換術
    • 変形性膝関節症が重度の場合、膝全体のアライメントを修正するために人工膝関節置換術が行われることがあります。通常の人工膝関節の手術に加えて、膝蓋骨脱臼を改善させるために外側解離などの追加処置が必要になる場合があります。


5.文献紹介

  • Nomura E, et al. (2018). “The relationship between patellar dislocation and osteoarthritis of the knee: A retrospective study”. Journal of Orthopedic Research.
    • 変形性膝関節症と膝蓋骨脱臼の関連性を示した研究。
  • Nha KW, et al. (2020). “Surgical Outcomes of Medial Patellofemoral Ligament Reconstruction in Patients with Osteoarthritis”. Clinical Orthopedics and Related Research.
    • MPFL再建術が膝蓋骨脱臼の管理に有効であることを報告。
  • Fithian DC, et al. (2017). “Epidemiology and Natural History of Acute Patellar Dislocation”. American Journal of Sports Medicine.
    • 膝蓋骨脱臼の疫学と自然経過についての研究。



6.まとめ

変形性膝関節症と膝蓋骨脱臼が併発すると、膝の不安定性や痛みが増し、QOLの低下を招きます。

早期の診断と適切な治療が重要であり、保存療法から手術療法まで幅広い選択肢があります。

患者さんの状態に応じた治療戦略を立て、長期的な機能回復を目指すことが重要です。

以上、参考になれば幸いです。

では、また!!


変形性膝関節症と膝蓋骨脱臼が合併すると治療が少し大変になります!

納豆ご飯

「安定の納豆ご飯!」




たまに朝食に納豆ご飯を食べてみたくなる整形外科医の塗山正宏でした!



【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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