おはようございます!
膝の怪我には日々気をつけている塗山です。
膝は大事にしたいですからね。
今回のテーマは、
変形性膝関節症と膝蓋下脂肪体炎についてです。

膝蓋下脂肪体炎って知ってますか?

知らんがな。
変形性膝関節症の痛みは「膝蓋下脂肪体炎」が原因かも?
こんにちは。整形外科医の塗山正宏です。
膝の痛みで整形外科を受診される患者さんの中には、「変形性膝関節症(Knee OA)」と診断されながらも、痛みの場所が関節の内側ではなく、膝の前面(お皿の下)に集中しているというケースがあります。
その原因の一つとして注目されているのが「膝蓋下脂肪体炎(Hoffa病)」です。
それでは、整形外科医の塗山正宏が解説していきましょう!
1. ✅ 膝蓋下脂肪体とは?
膝蓋下脂肪体(infrapatellar fat pad)は、膝蓋骨の下方にある柔らかい脂肪組織で、関節の動きを滑らかにするクッションのような役割を果たしています。
しかし、加齢や膝の変形、繰り返す膝の屈伸運動によってこの脂肪体が炎症を起こすと、「膝蓋下脂肪体炎(Hoffa病)」と呼ばれる状態になります。
2. 🔍 変形性膝関節症との関係
変形性膝関節症が進行すると、関節軟骨のすり減りに伴って膝のアライメント(軸)が乱れ、膝蓋下脂肪体に異常な圧迫や摩擦が加わりやすくなります。
その結果、以下のような症状が出現することがあります。
- 膝前面(膝蓋骨の下)の痛み
- 屈伸時のつっぱり感
- 長時間の立位や歩行で悪化
- 膝を完全に伸ばすと痛い
📖 文献:Clockaerts S, et al. The infrapatellar fat pad as a source of inflammatory mediators in osteoarthritis. Ann Rheum Dis. 2010;69(4):709-717.
3. 🧪 診断にはMRIや超音波が有効
膝蓋下脂肪体炎の診断は、視診・触診だけでなく、画像検査が非常に有用です。
- MRI:脂肪体の浮腫性変化や炎症所見を確認可能
- 超音波検査:肥厚や滑走障害をリアルタイムで評価可能
- 関節鏡:関節内での肥大や炎症所見を直視で確認
これらの検査を通して、単なる変形性膝関節症による痛みなのか、それとも脂肪体由来の痛みかを見極めることができます。
4. 🩺 治療は保存療法が基本
多くの場合、膝蓋下脂肪体炎は保存的治療で改善します。
主な治療法:
- 消炎鎮痛剤(NSAIDs):炎症を抑える
- リハビリテーション:太ももの筋肉強化、関節の柔軟性向上
- 膝蓋下脂肪体の滑走訓練
- ステロイド注射:腫脹や疼痛が強い場合に一時的に使用
- 膝蓋下パッドの装着:脂肪体への圧迫を軽減
📖 文献:Dragoo JL, et al. Fat pad impingement syndrome: diagnosis and management. Am J Sports Med. 2011;39(3):618-623.
5. 🛑 難治例では手術を検討
ごく一部の患者では、保存的治療に反応せず、日常生活に支障をきたすことがあります。その場合は、関節鏡視下での脂肪体部分切除が選択肢となります。
ただし、脂肪体は関節の潤滑や免疫にも関与しているため、切除は慎重に適応を判断する必要があります。
6. ✅ 予防とセルフケアのポイント
膝蓋下脂肪体炎の予防や再発防止には、日々のケアが欠かせません。
- 膝を伸ばした状態での長時間の立位を避ける
- 正しいスクワットフォームを学ぶ
- 大腿四頭筋とハムストリングスのバランス強化
- 軽いストレッチを習慣に
7. 📌 まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
疾患名 | 膝蓋下脂肪体炎(Hoffa病) |
関連 | 変形性膝関節症に合併しやすい |
主な症状 | 膝の前面の痛み、伸展時の違和感 |
治療 | リハビリ、消炎薬、注射、場合によっては関節鏡手術 |
予防 | 筋力強化・体重管理・膝の使い方の改善 |
8. 🗒 最後に
変形性膝関節症による痛みの陰に、「膝蓋下脂肪体炎」が隠れていることは少なくありません。
膝のお皿の下が痛む場合は、早期の診断・対応が重要です。
お困りの方は、ぜひ整形外科専門医にご相談ください。
その膝の痛み、放置しないで!
よろしくお願いしますよ!
では、また!
膝の痛みの原因が膝蓋下脂肪体炎の場合がある!

「ワイハ~~~!!」
たまにはハワイに行きたくなるけどしばらくハワイに行けてない整形外科医の塗山正宏でした!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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