股関節357 人工股関節置換術後の寝る姿勢

寝る姿勢 股関節

おはようございます!
うつ伏せで寝るのが好きな塗山です。





今回のテーマは、

人工股関節置換術後の寝る姿勢についてです。






塗山先生
塗山先生

人工股関節置換術後の寝る姿勢には注意が必要です。

あいこさん
あいこさん

それは気になるわね…



どーも、整形外科医の塗山正宏が股関節トークをする時間がやってまいりました!

人工股関節置換術(Total Hip Arthroplasty,:THA)を受けた患者さんにとって、術後の寝る姿勢は非常に重要です。

誤った姿勢で眠ってしまうと、股関節に不要な負担がかかり、脱臼のリスクが高まる可能性があります。

この記事では、人工股関節置換術後に推奨される寝る姿勢と注意点について、整形外科医の塗山正宏が整形外科医の立場から解説しますね!


1. なぜ寝る姿勢が重要なのか?

人工股関節は、正常な関節よりも脱臼しやすい構造的特徴があります。

特に術後早期は周囲の筋肉や靱帯が安定していないため、寝返りや不適切な姿勢によって股関節に過度な屈曲・内旋・内転が加わると脱臼につながる危険があります。

文献によると、人工股関節置換術後の脱臼発生率は1〜4%程度と報告されており(Masonis & Bourne, 2002)、その中でも術後3か月以内に集中しているとされています。

したがって、術後早期の寝る姿勢の工夫は非常に大切です。


2. 推奨される寝る姿勢

1. 仰向け(仰臥位)

  • 最も安全な姿勢とされています。
  • 脚の間に枕やクッションを挟むことで、股関節が内転しすぎるのを防ぎます。
  • 術後早期は仰向けで眠るのが基本です。

2. 横向き(側臥位)

  • 術側を上にして寝ることは可能です。
  • 脚の間に大きめの枕を挟むことで、股関節の内転やねじれを防ぎます。
  • 術側を下にするのは、圧迫や痛みを伴いやすいため、回復が進むまでは避けた方が良いでしょう。


3. 避けるべき寝る姿勢

  • 術後早期にうつ伏せ(腹臥位)で寝ることは、股関節に過度な伸展・外旋が加わり危険です。
  • 股関節が90度以上屈曲する姿勢(丸くなるような姿勢)は避ける必要があります。
  • 横向きで脚をクロスさせることも脱臼リスクを高めるため禁止です。



4. 快適に眠るための工夫

  • 抱き枕の使用:自然に脚の間に枕を挟めるので、無理なく安全な姿勢を維持できます。
  • ベッドの高さ調整:低すぎるベッドは立ち上がる際に股関節を深く曲げる必要があり危険です。
  • マットレスの硬さ:沈み込みすぎる柔らかいマットレスは股関節に不安定な力が加わる可能性があるため、中程度の硬さがおすすめです。


5. 参考文献

Berry DJ, et al. Epidemiology of hip and knee arthroplasty. J Bone Joint Surg Am. 1999;81(8):1159-1175.

Masonis JL, Bourne RB. Surgical approach, abductor function, and total hip arthroplasty dislocation. Clin Orthop Relat Res. 2002;405:46-53.




6. まとめ

人工股関節置換術後の寝る姿勢は、術後早期は仰向けで脚の間に枕を挟む姿勢が基本です。

横向きは創部周囲の腫脹が落ち着いてからにしましょう。

術後早期のうつ伏せや脚を組む姿勢は脱臼リスクを考慮し、避けるのが無難です。

実際には病院や医師によって、股関節の動きの制限やプランが変わるので確認するようにしましょう。

脱臼リスクがある術後3か月は特に注意が必要で、その後も油断せずに正しい姿勢を心がけることが長期的な股関節の安定につながります。

以上、参考になりましたでしょうか!?

では、さらば!

人工股関節置換術後の術後早期は寝る姿勢に注意して過ごしていきましょう!

「明日に向かって走ろうぜっ!」


毎日明日に向かって走り続ける整形外科医の塗山正宏でした!


【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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