【整形外科医塗山が本音で徹底解説】
変形性股関節症とは?
初期症状・原因・やってはいけないこと
治療と手術の本当のタイミング
1. はじめに|「年のせいだから仕方ない」と言われた方へ
変形性股関節症は、我慢を続ける病気ではありません。
そして、必ずしもすぐ手術が必要な病気でもありません。
ただ一つ言えるのは、
「正しく知っている人ほど、痛みと不安が少ない」
ということです。
この記事では
「変形性股関節症」で検索してたどり着いた方が、
もう他の記事を読まなくて済むように、
- 初期症状
- 原因
- やってはいけないこと
- 保存療法と手術の違い
- 手術を考える“本当の基準”
を、整形外科医としての臨床経験を交えて丁寧に解説します。
2. 変形性股関節症とは?【30秒で理解】
変形性股関節症とは、
股関節の軟骨がすり減り、関節が変形することで痛みや動きの制限が起こる病気です。
股関節は
- 体重を支える
- 歩く・立つ・座る
- 生活のすべてに関わる
非常に重要な関節です。
そのため、症状が進むと
生活の質(QOL)に直結して影響します。
3. なぜ起こる?|日本人に圧倒的に多い原因
原因① 寛骨臼形成不全(最重要)
日本人の変形性股関節症の約80〜90%は
寛骨臼形成不全が関係しています。
これは、
股関節の「受け皿」が浅い状態
です。
受け皿が浅いと
- 荷重が一点に集中
- 軟骨が早く傷む
結果として、
40〜50代、時にはそれ以前から症状が出ます。
👉「若いのに股関節が痛い」のは、決して珍しくありません。
原因② その他
- 加齢
- 体重増加
- 重労働・スポーツ
- 外傷・先天性疾患
※実臨床では「加齢だけ」が原因のケースは少数派です。
4. 変形性股関節症の初期症状|見逃される理由
初期症状は非常にあいまいです。
- 歩き始めの一歩が痛い
- 長く歩くとだるい
- 靴下・爪切りがやりにくい
- あぐらがかけない
- 階段がつらい
👉 痛みが毎日ではないため、放置されがちです。
5. 痛みはどこに出る?【股関節だけではありません】
これは競合記事でほぼ触れられていない重要点です。
- 鼠径部(足の付け根)
- 太ももの前
- お尻の奥
- 膝の痛み(関連痛)
👉「膝が悪いと思っていたら、原因は股関節だった」
これは外来で本当に頻繁にあります。
6. 変形性股関節症は進行するとどうなる?
進行期
- 歩行時痛が明確
- 可動域制限
- 跛行(はこう:片足を引きずるように、正常に歩けない状態)
末期
- 安静時・夜間痛
- 日常生活動作が困難
- レントゲンで高度変形
👉 この段階で初めて受診される方も少なくありません。
7. 【重要】変形性股関節症でやってはいけないこと
ここは検索需要が非常に高いポイントです。
❌ 痛いからまったく動かさない
→ 筋力低下で悪化
❌ 我慢し続ける
→ 回復力が落ちる
❌ 自己流ストレッチ
→ かえって痛み増強
👉 「動かさない」も「動かしすぎ」もNGです。
8. 保存療法|手術をしない治療でできること
運動療法・リハビリ
- 中殿筋、腸腰筋の強化
- 動作指導
👉 正しく行えば、痛みが軽くなる方は多いです。
体重管理
体重が3kg減るだけで
股関節への負担は大きく減ります。
薬・注射
- 消炎鎮痛薬
- 注射
※「変形を治す治療」ではなく症状を抑える治療です。
9. 手術はいつ考える?【人工股関節置換術】
多くの方が誤解しています
❌「歩けなくなったら手術」
❌「限界まで我慢してから」
これは必ずしも正解ではありません。
判断基準はこの3つ
- 痛みでやりたいことができない
- 保存療法で改善しない
- 生活の質が明らかに低下している
「レントゲン」より「生活の困りごと」が大切です。
10. 外来で本当によくある相談(塗山の実感)

「もう少し我慢した方がいいですか?」
私はこう答えます。

今の生活”と“手術後の生活”、どちらを選びたいですか?
我慢しすぎると
- 筋力低下
- 歩行能力低下
- 回復の遅れ
につながっていきます。
11. よくある質問(FAQ)
Q. 変形性股関節症は治りますか?
A. 変形は戻りませんが、症状のコントロールは可能です。
Q. 両側とも悪くなりますか?
A. 寛骨臼形成不全がある場合、両側性も多いです。
Q. どのタイミングで受診すべき?
A. 「違和感」の時点で受診するのが理想です。
12. 医学的根拠(信頼性)
- 日本整形外科学会 変形性股関節症診療ガイドライン
- Learmonth ID et al. Lancet
- Murphy LB et al. JBJS
13. まとめ|股関節の痛みは、人生を諦める理由になりません
変形性股関節症は、
正しく知り、正しく選択すれば、人生を立て直せる病気です。

手術は魔法ではありません。
でも、未来を変える道具にはなります。
不安を抱えたまま一人で悩まず、ぜひ専門医にご相談ください。
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医


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