おはようございます!
冬はなにかと鍋を食べたくなる塗山です。
今回のテーマは、
人工股関節置換術後の散歩についてです。

散歩してますか?

最近は歩く量が減ってきてしまったわ…
人工股関節置換術後の散歩はいつから?リハビリとしての効果と注意点
1. はじめに
人工股関節置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)は、変形性股関節症や大腿骨頭壊死症などで関節の痛みや機能障害が強い場合に行われる代表的な手術です。
術後は多くの患者さんが痛みから解放され、日常生活の質(QOL)が大きく改善します。
リハビリテーションにおいて「散歩(ウォーキング)」は非常に重要な運動です。
しかし、患者さんからはよく次のような質問を受けます。
- 「人工股関節の手術後、散歩はいつから始められますか?」
- 「どのくらい歩いてよいのでしょうか?」
- 「長時間歩いても大丈夫ですか?」
本記事では、人工股関節置換術後の散歩の開始時期・効果・注意点について、医学的根拠をもとに整形外科の塗山正宏がとんでもない笑顔で解説します。
2. 散歩は人工股関節リハビリの基本
散歩は荷重訓練・筋力強化・バランス改善を兼ね備えたリハビリです。
特に人工股関節置換術後では、次のような効果があります。
- 歩行機能の回復
日常生活動作(ADL)の基盤となる。 - 筋肉の強化
大腿四頭筋や殿筋群を自然に使うことができる。 - 心肺機能の改善
軽度の有酸素運動として健康増進に有効。 - 心理的効果
屋外を歩くことは気分転換や自立心の回復につながる。
👉 散歩は「最も安全で継続しやすいリハビリ運動」と言えます。
3. 散歩開始の目安
以下はあくまでも一般的な目安です。病院や医師によって変わります。
術後すぐ
- 多くの施設では手術翌日から立位・歩行練習を開始
- 歩行器や松葉杖を用いて安全に移動
術後1〜3週間
- 病院やリハビリ室での歩行訓練
- 杖を使っての屋内歩行が可能になる
術後1〜3か月
- 徐々に屋外での散歩が可能(当初は5~10分程度)
- 平坦な道を中心に、徐々に歩行時間を延長する。
術後3か月以降
- 多くの方が杖なしでの歩行が可能に
- 長時間の散歩や旅行も徐々に可能
👉 個人差があるため、主治医や理学療法士と相談しながら段階的に進めることが大切です。
4. 文献で示される歩行回復
- Nilsdotter AK, et al. Arthritis Rheum. 2003;49(3):283-289.
人工股関節置換術後の患者は術後3か月で歩行能力が大幅に改善し、QOLも向上する。 - Husby VS, et al. Clin Rehabil. 2009;23(6):579-593.
術後早期からの歩行訓練は、筋力回復とADL改善に有効であると報告。 - Lombardi AV, et al. J Arthroplasty. 2010;25(6 Suppl):16-19.
人工股関節術後の患者の多くは、術後3か月で日常生活に必要な歩行が可能となる。
👉 散歩は科学的にも有効性が裏付けられたリハビリ運動です。
5. 散歩の注意点
- 歩きすぎに注意
痛みや疲労が強く出た場合は無理をしない。 - 転倒予防
雨の日や凍結路など滑りやすい場所は避ける。 - 靴の選び方
クッション性があり、安定したウォーキングシューズを使用する。 - 坂道・階段
術後早期は避け、平坦な道から始める。 - 休息を取り入れる
20分歩いたら休憩するなど、無理なく継続できるペースを意識。
6. 散歩以外の補助的運動
散歩に加えて、以下の軽い運動を組み合わせると効果的です。
- 室内でのストレッチ
- 椅子に座った状態での足上げ運動
- 水中ウォーキング(膝や股関節に優しい運動)
7. まとめ
注意点を守り、無理をせず、主治医や理学療法士と相談しながら安全に継続することが大切です。
散歩は人工股関節置換術後の基本的で効果的なリハビリ運動です。
術後翌日から歩行訓練が始まり、術後1〜3か月で屋外散歩が可能になります。
文献的にも歩行能力は術後3か月で大きな改善が示されています。
術後は継続した散歩を行い、歩行能力をあげていきましょう!
みんなで散歩をしていきましょう!
以上、参考になりましたでしょうか!?
では、さらば!!
人工股関節置換術後のリハビリとして散歩はとても大事な運動です!

「銀座の夜景!」
銀座に行くと街中外国人だらけだなと感じる整形外科医の塗山正宏でした!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医


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