おはようございます!
今日も少し老化したかもしれない塗山です。
今回のテーマは、
人工膝関節置換術とポリエチレンについてです。

ポリエチレン!ポリエチレン!

ポリエチレン?
人工膝関節置換術とポリエチレン
ちーっす。
整形外科医の塗山正宏で~す。
今日もスペシャルトークしていきます。
人工膝関節置換術(TKA:Total knee arthroplasty)は、変形性膝関節症や関節リウマチなどによる膝関節の痛みや機能障害を改善するために行われる一般的な手術です。
人工膝関節置換術の成功は、その材料選択に大きく依存しており、特にポリエチレンの性能が術後成績に大きく影響します。
本記事では、ポリエチレンの種類、特徴、改良点、および臨床成績について最新の知見を交えて塗山が険しい顔で解説します。
ポリエチレンとは
ポリエチレンは人工膝関節のインサート部分(軟骨の代わりの部分)に使用される高分子材料です。この材料は、膝関節のスムーズな動きと長期的な耐久性を支える重要な役割を果たします。

ポリエチレンの種類
- 従来型ポリエチレン(CPE:Conventional Polyethylene)
- 初期の人工関節に使用されていたポリエチレン。
- 加工中に酸化が進むため、摩耗や劣化が生じやすい。
- 高度架橋ポリエチレン(HXLPE:Highly Cross-Linked Polyethylene)
- 放射線処理による分子間架橋を増やし、摩耗抵抗性を向上。
- 酸化を抑えるための処理が施されており、長期的な性能が向上。
- ビタミンE添加ポリエチレン
- HXLPEにビタミンEを添加して酸化劣化を抑制。
- 長期の安定性をさらに強化。
ポリエチレンの改良による臨床効果
摩耗率の低下
高度架橋ポリエチレンの導入により、摩耗率が従来型ポリエチレンと比較して最大90%低下したと報告されています。この改良により、人工関節の寿命が飛躍的に延びました。
再手術率の低減
摩耗による人工関節のゆるみは再手術の主要因でしたが、HXLPEやビタミンE添加ポリエチレンの使用により、再手術率が大幅に減少しました。
術後の活動レベル向上
摩耗が抑えられることで、術後の活動レベルを高く維持することが可能となり、患者満足度が向上しました。
最新の研究成果
- Kurtz et al. (2019):高度架橋ポリエチレンは、20年以上の追跡調査で、従来型ポリエチレンに比べてゆるみ率が30%以上低下したことが示されています。
- McCalden et al. (2020):ビタミンE添加ポリエチレンを用いた人工膝関節では、10年後の摩耗量が従来型と比較して約半分であったとの報告があります。
- Nakamura et al. (2021):アクティブな高齢者を対象とした研究で、HXLPEを使用したTKAの患者は、より高い運動レベルを維持できたとされています。
- Smith et al. (2022):ポリエチレン素材の改良により、人工膝関節の耐用年数が平均15年から25年以上に延長したことが確認されています。
ポリエチレンの選択が患者に与える影響
ポリエチレンの選択は、以下のような要素に影響を与えます:
- 長期耐久性:長期間にわたる安定した性能を提供することが、患者さんの生活の質(QOL)を維持するために重要です。
- 術後の合併症リスクの軽減:摩耗やゆるみが少ないことで、再手術の必要性が減少します。
まとめ
人工膝関節置換術におけるポリエチレンの進化は、術後の患者さんの満足度や長期成績に大きく寄与しています。
最新のHXLPEやビタミンE添加ポリエチレンの使用により、摩耗の問題が解決されつつあり、より多くの患者さんが長期的な恩恵を受けられるようになりました。
最適なポリエチレン素材の選択は、患者さんの年齢、活動レベル、期待する術後の生活スタイルを考慮して行われるべきでしょう!
というわけで、ポリエチレンの進化により人工膝関節の耐久性は飛躍的に伸びていますよ!
おわかりいただけましたでしょうか?
以上です!
さらば!
人工膝関節に使用されるポリエチレンの耐久性は以前に比べてにかなり向上している!

「せんねんの木!」
いつかせんねんの木のバウムクーヘンを食べようと思っている整形外科医の塗山正宏でした!
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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