膝関節119 変形性膝関節症と装具療法

装具療法 膝関節

おはようございます!
白髪が増えると老化を感じる塗山正宏です。
老化には逆らえないな~涙。




今回のテーマは、

変形性膝関節症と装具療法についてです。






塗山先生
塗山先生

今回は変形性膝関節症の装具療法についてちょこっとだけトーク!

では、早速はじめてみましょう~!

変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減って骨同士がぶつかり合い、炎症や痛みを引き起こす病気です。

高齢者や肥満者、スポーツ選手などに多く見られます。

変形性膝関節症は、一度傷ついた軟骨を元に戻すことは困難であるといわれています。

そのため、軟骨が傷んでいてもそれを補うような治療が中心となります。



変形性膝関節症の治療法には、運動療法、薬物療法、手術療法などがありますが、今回は装具療法について説明していきたいと思います。

装具療法とは、身につける道具(足底板やサポーターなど)によって、骨関節の安定性向上および負担軽減、痛みの緩和、動作の補助、保温などの効果を図る治療法です。

装具療法は、初期〜中期の変形性膝関節症にはある程度効果が見込める治療法です。




ここで装具療法について有用性について「変形性膝関節症のガイドライン」から紹介します。

変形性膝関節症のガイドライン

変形性膝関節症に対する膝装具、外側楔型足底板を用いた装具療法は鎮痛および機能改善に関して、その有用性は弱く推奨されます。

装具療法は膝関節痛の除痛効果があるという報告があり、装具のなかでも効果を示したのは膝装具外側楔型足底板とのことです。

それでは装具療法について少し掘り下げてみましょう。


①足底板:足の裏に傾斜をつけて膝の角度を調節する装具です。変形性膝関節症の患者さんの多くは、内側か外側のどちらか一方の軟骨がすり減っていて、O脚やX脚になっています。このような状態だと、内側や外側のどちらか一方の軟骨がすり減りやすくなるので、さらに変形性膝関節症が悪化していきます。

そこで、足底板を使用し足底に傾斜をつけ、膝の角度を調節することでO脚やX脚を矯正し、片側に偏ってかかっていた負荷を分散および軽減させます。その結果、膝全体でバランスよく体重を支えられるようになり、膝の痛みの緩和、変形性膝関節症の進行抑制などの効果が期待できます。

足底板は、靴のインソール(中敷)として使うタイプ、足にバンドで固定するタイプ、靴下のように履くタイプなどいくつかの種類があります。


②サポーター:膝の関節を支える装具です。サポーターは、大きく履くタイプと巻くタイプに分かれます。履くタイプのサポーターは、円筒状で膝全体を包み込むものが多く、主に保温目的で使用されます。膝が温まることで血流が改善し、痛み物質の排出が進み、痛みの緩和作用があるとされています。

巻くタイプのサポーターは、軽く膝を締め付けることで、そこに意識を向けかばうようになり、無理な動作を避ける作用があるとされています。履くタイプと比べて、歩行などの際に比較的ズレにくい、締め付け具合を調節できるといったメリットもあります。

サポーターの中には、金属やプラスチックでできた支柱入りのサポーターもあります。支柱入りのサポーターは、支柱無しのサポーターと比べて支える力が強く、膝関節の安定性は増します。


③機能的装具:膝関節の両側にプラスチックや金属製の蝶番形状の支柱、大腿と下腿に取り付けるバンドからできている装具です。左右の支柱により横揺れを、膝関節上下を圧迫するバンドにより前後方向の揺れを防ぐ装具です。

機能的装具は頑丈な形状なので、一般的なサポーターよりも膝関節の安定性を高めたり、膝関節への負荷を軽減したり、膝関節のバランスを矯正したりする効果が期待できます。その為、機能的装具は医療用として使用されることも多く、変形性膝関節症が進行している段階でもある程度の効果が期待できます。

ただし、機能的装具はその頑丈さゆえに、装具自体がやや重く目立つ、装着が少し面倒、費用が高くなる等の欠点があります。ですが現在では、軽い素材でできた軽量タイプの機能的装具も多くなってきています。


④杖・歩行器:変形性膝関節症の装具療法では、杖や歩行器が使用されることもあります。杖や歩行器を持つことで、起立時や歩行時の安定性を高め、膝関節への負担を軽くすることができます。

また、転倒予防にもなります。したがって、長時間立っていたり、長距離を歩くような時には、杖や歩行器を使用することをオススメします。杖や歩行器は、直接的に膝をサポートするものではありませんが、初期〜末期の変形性膝関節症の方まで幅広くご使用いただけます。

ちなみに、変形性膝関節症のガイドラインでは靴と一本杖に関しては有意な効果を認めなかったという報告があります。



というわけで、今回は装具療法について少し説明させていただきました。

個人的な見解では、装具療法は膝関節の変形が初期の段階であればに疼痛コントロールが十分期待できますが、やはり変形が重度になってしまうと効果はあまり期待できないでしょう。

装具療法はあくまでも対処療法であり、膝関節の変形が治るものではないので御理解いただければと思います。

以上です!!


変形性膝関節症には膝装具と外側楔型足底板を試してみるのはあり!

地震

「地震怖いよ~…」

南海トラフ巨大地震がいつ来るのかひやひやしている整形外科医の塗山正宏でした。



【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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