おはようございます!
膝には大腿四頭筋の筋トレがとても大事だと思っている塗山正宏です。
太ももの筋肉ですよ!
今回のテーマは、
変形性膝関節症とPFC-FD注射についてです。
今まで変形性膝関節症の治療としての注射は、ヒアルロン酸の注射がメインでした。
関節の炎症が非常に強い時はステロイドの注射をする場合もあります。
しかし、ステロイド注射は効果が強い反面、合併症として骨の破壊が起きることがあり、ステロイド関節症を発症するため注意が必要です。
また、糖尿病がある場合にはステロイドの副作用で血糖値が上がってしまう可能性があるので要注意です。
では、それ以外になにか治療方法はないのでしょうか?
そこで登場するのがPRPの注射です。
そうです、PRPの注射です。
PRPの中でも、PFC-FD注射というものがあります。
では、変形性膝関節症に対するPFC-FD注射とは何でしょうか?
これは自分の血液を利用した最新の再生医療の注射です。
PRP(Platelet Rich Plasma)というのは、多血小板血漿と呼ばれ、血小板を濃縮した血漿のことを言います。
血小板には創傷治癒や組織再生に効果的な成長因子が多く含まれており、PRPを局所に移植することによって組織再生を促進させます。
実際にエンゼルスの大谷投手は以前にPRP治療を行ったと言われています。
現在は多くのスポーツ選手、アスリートがこのPRP注射を行っています。
PFC-FDは、傷の治癒に作用する血小板を濃縮したPRPを、さらに高濃度に構成したものをフリーズドライ化(凍結乾燥)したものになります。
PFC-FD注射は、Platelet-derived Factor Concentrate – Freeze Dryの略です。
日本語で言うと、「血小板由来因子濃縮物」になります。
最近再生医療でよくPRP(多血小板血漿)という言葉を聞く機会が増えたかと思いますが、そのPRPを濃縮したものがPFCです。
細胞分裂を促す成長因子を豊富に含んでいます。
このPFC-FDを損傷している部分に注入しすると、患部の修復機能を一次的に高める効果があります。
自分の血液を用いた治癒能力で痛みの改善を期待します。
副作用は、自分の血液内の成分を体内に戻すだけなので、拒絶反応などの心配がありません。
まれに注射した日に痛みが強くなる場合がありますが、2~3日で強い痛みは落ち着くことが殆どです。
このPFC-FDには具体的には以下のような多彩な成分がPRP-FD注射には含まれているのです。
今までの治療で効果が出ない場合に、再生医療は一つの治療の選択肢です。
上のグラフが示すように成長因子の濃度や総量が、通常のPRPと比較してPFCのほうが多いのが特徴です。
では、どういう状況のときにPRPの注射を考えたほうがいいのでしょうか?
このPRP注射を試してみる価値がある方というのは、
などが挙げられます。
実際の治療の流れですが、
中を開けると・・・
御自身の採血から加工されて濃縮されたPRPのFreeze dryが、2つのバイアルに入っています。
Freeze dry化されたPRPに生理食塩水を注入するとこんな感じになります。
この合計6mlを膝関節に注射します。
注射後は特に制限はありません。
通常の日常生活を送っていただいて構いません。
徐々に効果が出始めますが、症状が改善しはじめるのは目安として約1か月後くらいです。
手術を悩んでいるかたは、人工膝関節置換術をやる前に一度このPFC-FDの注射を試してみる価値は十分にあるかと思います。
ただし、PFC-FD注射は100%効果が出るというわけではありません。
もし注射しても痛みが改善しなければ、人工膝関節置換術の手術をしたほうがいいでしょう。
膝関節の変形が重度になると、やはりPRPの注射では改善の効果が得られない可能性が高くなります。
私は再生医療であるPRPの注射も、人工膝関節置換術もどちらも対応できますのでご安心ください。
以上、現場からPRPのなかのPFC-FD注射について塗山がお伝えしました!
手術するのを迷っているなら試しにPRPを考えるのもあり!
「こ、この・・・、この膝をなんとかしてくれぇ・・・ぐふッ」
中学生時代は腰痛に悩まされていた整形外科医の塗山正宏でした。
【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医
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