股関節283 人工股関節置換術の体験談

体験談 股関節

おはようございます!
もう夏真っ盛りですね。
夏は汗が止まらなくなってしまう塗山正宏です。




今回のテーマは、

人工股関節置換術の体験談についてです。




塗山先生
塗山先生

今回は趣向を変えて、患者さんからの

人工股関節置換術の体験談を紹介させてください。

みつこさん
みつこさん

参考にさせてもらおうかしら…

2021年に私が執刀した人工股関節置換術を受けられたコピーライターの仲畑貴志様の記事が以前日本経済新聞に掲載されましたので、このブログでも共有したいと思います。


人工股関節置換術の体験談

川柳に「手術日は医師の体調気遣って」というのがある。体の不具合があるから手術をするのだが、手術当日は、自分のことより執刀医の体調を気にしている。これ、わかります。手術というのは、まさに俎上(そじょう)の魚。すべてを担当医に委ねているわけだから、まず何よりその方の好調を祈らざるを得ない。手術の途中に「アッ! 」なんて声が聞こえたらたまりませんからね。

昨年の12月1日に股関節置換手術をした。30代ぐらいから変形性股関節で左脚の具合が悪くなり、だましだまし使っていたのだが、74歳になってギブアップした。レントゲンで見ると、大腿骨の丸い頭の部分と骨盤の受け皿の間の軟骨が擦り切れ、骨と骨がぶつかり合っていた。最末期だそうで、即手術となった。

体の不調を抱えている人には、病院選び、医師選びは、重要課題である。ネット検索するとキリがないほど出てくるが、体のことを考えると手を抜くわけにいかない。わたしは調べた。名医ランキングだの口コミ評判だの執刀数だの。

まず注目したのは手術の方法である。切開部分が小さく、ダメージが少ないから回復が早い「最小侵襲手術」を前提とした。しかし、最小侵襲手術といっても、ただ皮膚切開が小さいだけで、筋肉や腱(けん)を切っては、従来の手術侵襲と変わらないから注意が必要である。

次に、股関節に進入するアプローチ方法を吟味。これには①仰臥位(ぎょうがい)前方②仰臥位前外側③側臥位(そくがい)前外側④側臥位後方の4つがあるが、この表記では、なんのこっちゃサッパリワカランので、結論をいうと、②の仰臥位前外側進入法が良いと判断した。手術台で仰向(あおむ)けに寝る仰臥位はインプラント設置が正確に行える。そして前外側進入法は筋肉や腱を切らないアプローチ。損傷が少なく回復が速い。術後の脱臼リスクも少ない。脚長差の確認が正確にできる。以上、総合的に完成度が高いのだった。

じつは20数年前に、股関節置換手術で入院し、手術当日早朝に逃げ出すという前歴がわたしにはある。その時は、手術前に10日入院し、自己血を貯血したり、検査をしたりした。その入院期間のうちに、なんとなくイヤ~な感じが膨らんで、手術が怖くなったのだった。結果、逃げて大正解。あれから今日までの20数年で、すべてが進歩した。当時は手術に1時間以上、入院期間は3か月だった。しかも、手術から3日間ベッドに仰向けに寝かされ、脚を砂袋で固定するという。寝返りを打てないというのは、相当つらいことらしい。「だいたい、男の人は、ギャーといいますね」と看護婦がコロコロと笑った。

それが今、手術は30分。筋肉を生かすため、手術日に少しだが歩いた。入院はたった1週間である。もひとつ、時を経て良かったことは、インプラント素材の進歩である。人工股関節で多いのはチタン合金製のカップ、骨頭ボール(セラミックや金属)、ステム(チタン合金)でできているものだ。人工関節自体の性能が良くなり耐久性や親和性が改善された。20~30年以上も機能するのだ。

医療の病気への対応も経済である。高齢化が進み、変形性股関節症のマーケットが膨らんだことから、参入も投資も増え、さまざまな改良を得た。マーケットを形成するには至らない難病には、まず公共資金の投入が必要だ。ビジネスで動く資金は待てないからである。

最後に残る最も大切な選択が、病院と医師を決めることだった。この吟味は、わたしの属する広告作りにおけるコピーライターやデザイナーの選択とよく似ている。「あの代理店が良い」とか「あのプロダクションが良い」と言うが、会社は直接手を下さない。あらゆる職人系の仕事は、個に属するスキルである。いくら立派な広告会社に依頼しても、技術も才能もない人をあてがわれたら、悲劇である。重要なことは、依頼目的に即した、最良の技を持つ個人を選び出し、指名すること。今回は、これ以上はないというまで検討し、ある医師を発見した。大いに納得できる選択だから、診察時に質問することは何もなく、すこやかに手術に向かうことができた。医師は塗山 正宏氏。医院は世田谷人工関節・脊椎クリニック。

罹病(りびょう)すると、観念せざるを得なかった病気は様々に存在する。そのひとつでもあった変形性股関節症。その置換術は今や安心の域に達した。かつては失明覚悟の白内障も同じく、誰もが悩むことなく改善できる。やがて、わたしたちはサイボーグのようになるのだろうか。 ま、とりあえずは良いことである。




貴重な人工股関節置換術の手術の体験談を投稿しただき有難うございました。

私としても今後さらに自分自身がレベルアップしていくための活力になりました。

これからも塗山正宏は全力で走り続けます!!


塗山はいつだって全力で手術を行います!


ざるそば

「ざる蕎麦大盛!」


たまにざる蕎麦を勢いよくすすりたくなる整形外科医の塗山正宏でした!




【執筆】塗山正宏 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定整形外科専門医

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